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「ロクサーヌ嬢、ハンカチなどと言ってないで本体を心の支えにしないか?」

 ギュッと手を握り、ギャリーは見つめてくる。

 「えっ、えっ!?」

 ギャリー本体を心の支えに?

 「ロクサーヌ嬢、俺と結婚してくれないか?一生大切にする」

 「えっ・・・」

 「ふっ、急ぎ過ぎたな。返事は今で無くていい。あんまり待てないけど、返事待ってるよ」

 ロクサーヌの手の甲にキスを残し、ギャリーは微笑みながら去っていった。



 
 「きゃ~っ、お姉様っ!!ホントのお姉様になるのねっ!!」

 咲き誇った花の生垣からジュリちゃんが、黄色い声を上げて走ってくる。

 「ジュリちゃん・・・」

 覗かれていたのだ。

 「絶対にお兄様が何か言うと思ったら気になって。ごめんなさい。でも、お姉様っ!ジュリは嬉しいのっ!!」

 「あ、あはっ。まだ返事してないからね?」





 興奮するジュリちゃんを何とか宥め、ロクサーヌは屋敷に戻ってくる。屋敷には所狭しと何やら贈り物が届いている。

 父に呼ばれ書斎に行く。

 「ロクサーヌ、すでに噂が回っているんだが・・・。聞かせてもらえるか?」

 対面に向かいソファーに座る。

 「あ~、はい。ギャリーに結婚を申し込まれました」

 「それでっ!?」
 
 父は前のめりになりながら聞いてくる。

 「保留です」

 「はぁ?保留!?王族の申し出をか!?」

 父は大声で言うが。

 「仕方ないじゃないですか。ジュリちゃんとお茶してて、そんなつもり全くなかったのですから」

 寝耳に水状態だったのだ。

 確かにギャリーはステキな人で長年、心の支えにしてきた。だからと言って現実の支えになって欲しいなんてこれっぽっちも・・・、いや、少しは思った事あるけど。 

 王太子だよ?

 いやいや、私では無理でしょう。

 「ギャラレイ殿下からは先程手紙が届いた。返事はロクサーヌに任せると。身分や周りの事を考えずに素直にロクサーヌの気持ちが知りたいそうだ。あまりお待たせしないように返事をしなさい」

 と言われ、続々と届いている贈り物を処理するように言われる。改めてみるとかなりの量なっていて、まだまだ増えそうだ。

 どう処理すればいいの?




 母に相談し、手当たり次第返送する事にした。もちろん中は開けずにそのままだ。例え食べ物だろうが生モノだろうが構わず返送だ。今現在、もらういわれがないのだ。下手に手元に置いておくと、相手は勝手に繋がりを作ったと勘違いする可能性もある。面倒事には巻き込まれないのが1番だ。

 いやまあ、すでに巻き込まれていると言うか、真ん中にいるのだけどね。



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