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第92話
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超電脳狂詩曲という組織のボスによる華麗な土下座を披露され、僕たち二人は顔を見合わせて相談する。
「る、ルハ、どうする?」
「こんなアホ置いて行きたいけど、わたしたちじゃこのダンジョンの知識もそんなにない。連れて行った方が生存確率は高まると思うけど、判断はさくたに任せる」
「う~~ん……」
この場が電脳世界ではなくダンジョンの中ということなら、うなぴによる助けはあまり期待できないかもしれない。
かと言って僕らより詳しいこの人と協力したとて、土壇場で裏切られるっていう可能性もあるけど……。まぁ、なんとかなるよね!
「わかりました。それじゃあ一緒にこのダンジョンを攻略しましょう!」
「本当かしら!? ありがとうっ!!」
「気安くさくたに触ろうとするな」
「ひえぇん……!」
まるで神様でも見たかのようにキラキラした瞳をしながら僕に手を伸ばしたが、ルハの尻尾で殴打されていた。
「ち、ちゃんと役にも立つわ! この空間でもUntubeでなら配信できるから!」
「お~! それはすごい助かります!」
詳しく聞いてみると、どうやらこの人がアンチューブを作った人らしい。
警察、WDO、他にもU.W.I.Tという組織から追われる身らしいが、絶対にバレることがない特殊なネットワークを構築しているとのこと。
そんなにすごいのになんでこんなポンコツそうなんだろうとは思ったが、口を紡いでおいた。
◆おっ?
◆配信来ちゃ~~!
◆またサクたんじゃねぇか!!
◆染まってきたなぁ……ww
◆ラプソディーもいるマジ!?
◆ポンコツボスちゃんじゃ~んw
◆さっきのXランク探索者試験見たぞい
◆まさしく魔王だったぜ……
◆サクたんは「最強」なのだった
◆なぜのうのうと地上で暮らせているのか
◆↑こんな化け物を鎖で繋いでおけるとでもお思いか?w
「あ、配信始まったんですね。皆さんこんにちは~、サクたんです! ダンジョンに閉じ込められたので緊急で配信してます!!」
無事に配信もスタートし、早速この空論の迷宮攻略を進めることに。
「彩芭さん、このダンジョンはどんな特徴があるんですか?」
「ここは別名〝RPGダンジョン〟と言われていて、レベルの概念やターン制のバトルなどが強制されるの。試しにステータスオープンって言ってみてちょうだい?」
「わかりました。ステータスオープン!」
言われた通りそう呟くと、ブォンッと音を立てて半透明のプレートが出現する。
先ほどの試験の時に見たものと瓜二つなプレートだったが、そこには自分自身の情報が細かく書き記されていた。
△ △ △
◾︎サクたん(Lv.1)
ジョブ:テイマー(魔王級)
体力:5
魔力:14
攻撃力:1
防御力:1
速さ:3
幸運:450
魅力:999(MAX)
[所持スキル]
【テイム】
[装備]
普通の服(防御力+3)
[異能]
【動物に好かれまくる体質】
説明:動物や魔物から好かれまくり、バトル中に乱入して味方となる確率が上がる。代償としてレベルが上がらない。
▽ ▽ ▽
「……幸運と魅力以外よわよわなマスコットステータスなんだけど……」
◆草
◆サクたんはマスコットだるぉ?
◆弱すぎワロタww
◆幸運と魅力だけ頭おかしすぎ
◆ワイらもステータス見れるんや!
◆待て、そのジョブはなんだ
◆魔王級なテイマーだと……?w
◆異能でレベル上がらないデバフあるやん
◆サクたんがレベル上げてTUEEEEになるのは解釈不一致なので妥当
ゲームのような空間でも僕はみじんこ体力のもやしっ子のままなんだ……悲しい。
自分のステータスを見て不貞腐れていると、ツンツンとルハに突かれる。
「さくた……じゃなくて、さくたん。見て、わたしのジョブ忍者だった」
「お~、ルハはいつも忍者みたいでかっこいいから似合ってるね!」
「えへへ……♪」
ステータスのほとんどが二桁を超えていてとんでもなく強かった。羨ましい気持ちはあったけれど、嬉しそうなルハを見て僕も嬉しくなる。
頭を撫でると目を細めてはにかんだ。ふとルハから彩芭さんに視線を移したのだが、何やらワナワナと震えていた。
「サクたんは魔王級に恐ろしいジョブ……ルハは忍者……。ワタシも憧れの超すごい悪役ジョブだと思ったのに……! なんで勇者なのよーー!?!?」
◆これが悪のボスの姿か?w
◆超すごい悪役(勇者)は草すぎる
◆お前さぁ……犯罪者向いてねぇよ……
◆悪役ボスにあこがれて
◆不 憫 枠 一 丁 追 加
◆オチ要員として採用ッ!!
◆ちなこの前ボランティア活動に参加してるラプソディー見たゾww
◆なんでコイツ犯罪者してんの?(ガチで)
自分自身のジョブに嘆いている彩芭さんを引っ張って先に進もうとしていたのだが、突然頭の上に感嘆符が現れる。
「何これ?」
「うぅ……。それはモンスターとエンカウントした時に現れるものよ……」
「わたしたちまだレベル1なんだけど大丈夫なの?」
「ここらあたりは雑魚敵の餅型モンスターのもちりんしか現れないから大丈夫よ……。あ、でもたまに激レアモンスターにメタルもちりんがいるわね。まずはレベリングするが吉よ」
一体どんなモンスターなんだろうと思っていると、アナウンスとともに目の前にモンスターたちが出現した。
〈メタルもちりんが三十匹現れた!〉
銀色の金属光沢を持つもちもちしたモンスター。先ほど彩芭さんが言っていた激レアモンスターとやらが、三十匹も現れたのだ。
「る、ルハ、どうする?」
「こんなアホ置いて行きたいけど、わたしたちじゃこのダンジョンの知識もそんなにない。連れて行った方が生存確率は高まると思うけど、判断はさくたに任せる」
「う~~ん……」
この場が電脳世界ではなくダンジョンの中ということなら、うなぴによる助けはあまり期待できないかもしれない。
かと言って僕らより詳しいこの人と協力したとて、土壇場で裏切られるっていう可能性もあるけど……。まぁ、なんとかなるよね!
「わかりました。それじゃあ一緒にこのダンジョンを攻略しましょう!」
「本当かしら!? ありがとうっ!!」
「気安くさくたに触ろうとするな」
「ひえぇん……!」
まるで神様でも見たかのようにキラキラした瞳をしながら僕に手を伸ばしたが、ルハの尻尾で殴打されていた。
「ち、ちゃんと役にも立つわ! この空間でもUntubeでなら配信できるから!」
「お~! それはすごい助かります!」
詳しく聞いてみると、どうやらこの人がアンチューブを作った人らしい。
警察、WDO、他にもU.W.I.Tという組織から追われる身らしいが、絶対にバレることがない特殊なネットワークを構築しているとのこと。
そんなにすごいのになんでこんなポンコツそうなんだろうとは思ったが、口を紡いでおいた。
◆おっ?
◆配信来ちゃ~~!
◆またサクたんじゃねぇか!!
◆染まってきたなぁ……ww
◆ラプソディーもいるマジ!?
◆ポンコツボスちゃんじゃ~んw
◆さっきのXランク探索者試験見たぞい
◆まさしく魔王だったぜ……
◆サクたんは「最強」なのだった
◆なぜのうのうと地上で暮らせているのか
◆↑こんな化け物を鎖で繋いでおけるとでもお思いか?w
「あ、配信始まったんですね。皆さんこんにちは~、サクたんです! ダンジョンに閉じ込められたので緊急で配信してます!!」
無事に配信もスタートし、早速この空論の迷宮攻略を進めることに。
「彩芭さん、このダンジョンはどんな特徴があるんですか?」
「ここは別名〝RPGダンジョン〟と言われていて、レベルの概念やターン制のバトルなどが強制されるの。試しにステータスオープンって言ってみてちょうだい?」
「わかりました。ステータスオープン!」
言われた通りそう呟くと、ブォンッと音を立てて半透明のプレートが出現する。
先ほどの試験の時に見たものと瓜二つなプレートだったが、そこには自分自身の情報が細かく書き記されていた。
△ △ △
◾︎サクたん(Lv.1)
ジョブ:テイマー(魔王級)
体力:5
魔力:14
攻撃力:1
防御力:1
速さ:3
幸運:450
魅力:999(MAX)
[所持スキル]
【テイム】
[装備]
普通の服(防御力+3)
[異能]
【動物に好かれまくる体質】
説明:動物や魔物から好かれまくり、バトル中に乱入して味方となる確率が上がる。代償としてレベルが上がらない。
▽ ▽ ▽
「……幸運と魅力以外よわよわなマスコットステータスなんだけど……」
◆草
◆サクたんはマスコットだるぉ?
◆弱すぎワロタww
◆幸運と魅力だけ頭おかしすぎ
◆ワイらもステータス見れるんや!
◆待て、そのジョブはなんだ
◆魔王級なテイマーだと……?w
◆異能でレベル上がらないデバフあるやん
◆サクたんがレベル上げてTUEEEEになるのは解釈不一致なので妥当
ゲームのような空間でも僕はみじんこ体力のもやしっ子のままなんだ……悲しい。
自分のステータスを見て不貞腐れていると、ツンツンとルハに突かれる。
「さくた……じゃなくて、さくたん。見て、わたしのジョブ忍者だった」
「お~、ルハはいつも忍者みたいでかっこいいから似合ってるね!」
「えへへ……♪」
ステータスのほとんどが二桁を超えていてとんでもなく強かった。羨ましい気持ちはあったけれど、嬉しそうなルハを見て僕も嬉しくなる。
頭を撫でると目を細めてはにかんだ。ふとルハから彩芭さんに視線を移したのだが、何やらワナワナと震えていた。
「サクたんは魔王級に恐ろしいジョブ……ルハは忍者……。ワタシも憧れの超すごい悪役ジョブだと思ったのに……! なんで勇者なのよーー!?!?」
◆これが悪のボスの姿か?w
◆超すごい悪役(勇者)は草すぎる
◆お前さぁ……犯罪者向いてねぇよ……
◆悪役ボスにあこがれて
◆不 憫 枠 一 丁 追 加
◆オチ要員として採用ッ!!
◆ちなこの前ボランティア活動に参加してるラプソディー見たゾww
◆なんでコイツ犯罪者してんの?(ガチで)
自分自身のジョブに嘆いている彩芭さんを引っ張って先に進もうとしていたのだが、突然頭の上に感嘆符が現れる。
「何これ?」
「うぅ……。それはモンスターとエンカウントした時に現れるものよ……」
「わたしたちまだレベル1なんだけど大丈夫なの?」
「ここらあたりは雑魚敵の餅型モンスターのもちりんしか現れないから大丈夫よ……。あ、でもたまに激レアモンスターにメタルもちりんがいるわね。まずはレベリングするが吉よ」
一体どんなモンスターなんだろうと思っていると、アナウンスとともに目の前にモンスターたちが出現した。
〈メタルもちりんが三十匹現れた!〉
銀色の金属光沢を持つもちもちしたモンスター。先ほど彩芭さんが言っていた激レアモンスターとやらが、三十匹も現れたのだ。
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