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第86話
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――天宮城さんとの案件配信から数日後。
僕はWDO日本支部トップの駆動さんととある話をするため、休日に再び東京へと来ていた。
「ふわぁ……よく来たな咲太。寝起きだからよろしく頼むわ」
「何を頼んでるんですか駆動さん。も~、ちゃんと起きてくださいっ!!」
「のう咲太、やはりこやつは怠惰すぎて信用ならぬぞ」
「なんか適当すぎな気がすんだけど……」
ついでにということでルハも連れてきているが、黒狐は「最近会えてなくて寂しいからついて行くのじゃ!!」と言って勝手についてきた。
まぁ黒狐がいても問題ないと思うし、追い返すことはしていない。
駆動さんは相変わらず気だるげな顔をしながらソファに深く座っており、タバコに似たお菓子を食べている。
僕らはそんな駆動さんと机を隔てて座っているが、ルハと黒狐の尻尾でぐるぐる巻きにされていて少し苦しい。
「そんで何の話だっけ? ……あ゛ー、アレか。メールで伝えた通りなんだが、条件が揃ったから連絡させてもらった。ちゃんと読んだか?」
「バッチリです!」
「ここまで来たってことはもう決まってんだろうが……まぁ、お前の口から聞かせてくれ」
「はい! 目的を果たすため、僕は今から――世界を滅ぼします!!」
# # #
「ふっふっふ、皆さんこんにちは。破壊神サクたん……だっ!! 今日は世界を滅ぼしていこうと思います」
:あっ(察し)
:とうとうその時が来たかぁ……
:甘んじて受け入れようぞ
:人 類 滅 亡 確 定 演 出
:【悲報】サクたん、世界滅ぼすってよ
:最後の晩餐何食おっかな~
:とりま辞世の句詠むべ
:まぁサクたんになら滅ぼされてもいいやw
:頑張れーー!!
「あ、あれ? なんか僕が想像してた反応と違う……」
場所を移動して配信を始めたけれど、リスナーさんたちはもっと驚くと思っていた。なんだか達観してるというか諦めているというか……。
自分が想像していた反応と違い、少し狼狽する。
「言葉足らずじゃぞサクたん。そして皆の衆、久しぶりじゃの~。黒狐じゃ!」
「……駆動ゼロ……。はぁ、なんで俺まで配信に出なきゃいけねぇんだよ……」
「貴様からの提案じゃろうて。お主も責任持って行動せぬか」
「だりぃ……」
今回は久しぶりに黒狐と駆動さんとの配信だ。場所はWDO日本支部の建物の一室で、高そうな機器がたくさん置いてある。
「えっとですね、簡単に言うと今からXランク探索者になるための試験をします!!」
:えっ
:は?
はぁあああああああ!!?
:うぇいわっつ!?
:ファーーーーwww
:なんで事前告知しねぇんだよォ!?!?
:はっやっくっ言っえっよォ~~!!
あまみやch:ちょっと何言ってるかわからないわ……
:ゲリラで始めていい配信じゃねぇww
:Xランク探索者試験を配信なんて前代未聞ですが……
:メディアが大騒ぎしそうな予感w
:早くSNSで情報ばら撒くぞッ!
:これこそサクたんクオリティー
:このまま常識に囚われず進もう
いつまでも誰かに頼って高ランクダンジョンに連れてってもらうのも悪いなと思い、駆動さんにランク上げについて相談したらXランクにできるかもと言って話を通してくれたのだ。
ちなみにルハはというと、そもそも探索者にすらなっていないので別室で試験を受けている。
凛理のお父さんに戸籍とか色々いじってもらって無事に試験を受けれたので、配信終わりに感謝を伝えに行こう。
「それで駆動さん、試験はどうやるんですか? 本当に世界を滅ぼすわけじゃないですよね?」
「あぁ、流石にそりゃねぇ。……そこで使うのがアレだ」
駆動さんは視線を後ろに向ける。
そこには、メカメカしいゴーグルが付いているマッサージチェアーのようなものが鎮座していた。
「〝フルダイブ型のVRゴーグル〟じゃな。ダンジョンに潜るほどの力量を持ち得ない者がゲーム内でダンジョンを探索したり、ダンジョンにに潜る前のシミュレーションとして利用されることが多いのう」
「ま、いわゆる〝仮想現実〟って空間の世界を滅ぼしてもらって、Xランクに値するかを見極めるっつーわけだ」
Xランク探索者になるためには様々な条件があるらしいが、一応全部満たしていたらしい。
例えば、現Xランク探索者の半分以上の賛成や、Sランクダンジョンの攻略などなど……。ちなみにXランク探索者さんの五人中三人が賛成してたらしいが、残り二人は反対していたらしい。
「まぁ実際にやってみれば説明されるし、後はお前らだけで頑張――ぐぇ」
「阿呆めが。お主も責任持って付いて来ぬか!」
「おサボりは禁止ですよ~」
「クソが……」
:VRMMOとかよくやってたなぁ……
:神ゲー&クソゲーが溢れてたw
:少し昔までは夢のまた夢だったのにね
:ダンジョンコアの仕組みを利用したとかだっけ?
:WDOのVR技術見れるとか最高か?
:てか配信はどうなるんや
:ゲーム内でカメラあるからいけやろ
VR内で配信もできるらしいので、一旦ダンジョン配信用カメラは電源を切らせてもらった。
一瞬、とんでもないスピードで同接数が増えているように見えた気がしたが、怖くなったので考えるのをやめておく。
「お~、すごいいい座り心地ですね!」
「あぁ、余裕で寝れる……」
「くっ、少々尻尾が苦しいが致し方がないのう……」
僕らは件の椅子に座り、ゴーグルをセットした。
黒狐は尻尾が九本もあるから座るのが大変そうだ。
「それじゃあ……いきますっ!!」
こうして、僕ら三人は電脳世界へと飛び込んだ。
僕はWDO日本支部トップの駆動さんととある話をするため、休日に再び東京へと来ていた。
「ふわぁ……よく来たな咲太。寝起きだからよろしく頼むわ」
「何を頼んでるんですか駆動さん。も~、ちゃんと起きてくださいっ!!」
「のう咲太、やはりこやつは怠惰すぎて信用ならぬぞ」
「なんか適当すぎな気がすんだけど……」
ついでにということでルハも連れてきているが、黒狐は「最近会えてなくて寂しいからついて行くのじゃ!!」と言って勝手についてきた。
まぁ黒狐がいても問題ないと思うし、追い返すことはしていない。
駆動さんは相変わらず気だるげな顔をしながらソファに深く座っており、タバコに似たお菓子を食べている。
僕らはそんな駆動さんと机を隔てて座っているが、ルハと黒狐の尻尾でぐるぐる巻きにされていて少し苦しい。
「そんで何の話だっけ? ……あ゛ー、アレか。メールで伝えた通りなんだが、条件が揃ったから連絡させてもらった。ちゃんと読んだか?」
「バッチリです!」
「ここまで来たってことはもう決まってんだろうが……まぁ、お前の口から聞かせてくれ」
「はい! 目的を果たすため、僕は今から――世界を滅ぼします!!」
# # #
「ふっふっふ、皆さんこんにちは。破壊神サクたん……だっ!! 今日は世界を滅ぼしていこうと思います」
:あっ(察し)
:とうとうその時が来たかぁ……
:甘んじて受け入れようぞ
:人 類 滅 亡 確 定 演 出
:【悲報】サクたん、世界滅ぼすってよ
:最後の晩餐何食おっかな~
:とりま辞世の句詠むべ
:まぁサクたんになら滅ぼされてもいいやw
:頑張れーー!!
「あ、あれ? なんか僕が想像してた反応と違う……」
場所を移動して配信を始めたけれど、リスナーさんたちはもっと驚くと思っていた。なんだか達観してるというか諦めているというか……。
自分が想像していた反応と違い、少し狼狽する。
「言葉足らずじゃぞサクたん。そして皆の衆、久しぶりじゃの~。黒狐じゃ!」
「……駆動ゼロ……。はぁ、なんで俺まで配信に出なきゃいけねぇんだよ……」
「貴様からの提案じゃろうて。お主も責任持って行動せぬか」
「だりぃ……」
今回は久しぶりに黒狐と駆動さんとの配信だ。場所はWDO日本支部の建物の一室で、高そうな機器がたくさん置いてある。
「えっとですね、簡単に言うと今からXランク探索者になるための試験をします!!」
:えっ
:は?
はぁあああああああ!!?
:うぇいわっつ!?
:ファーーーーwww
:なんで事前告知しねぇんだよォ!?!?
:はっやっくっ言っえっよォ~~!!
あまみやch:ちょっと何言ってるかわからないわ……
:ゲリラで始めていい配信じゃねぇww
:Xランク探索者試験を配信なんて前代未聞ですが……
:メディアが大騒ぎしそうな予感w
:早くSNSで情報ばら撒くぞッ!
:これこそサクたんクオリティー
:このまま常識に囚われず進もう
いつまでも誰かに頼って高ランクダンジョンに連れてってもらうのも悪いなと思い、駆動さんにランク上げについて相談したらXランクにできるかもと言って話を通してくれたのだ。
ちなみにルハはというと、そもそも探索者にすらなっていないので別室で試験を受けている。
凛理のお父さんに戸籍とか色々いじってもらって無事に試験を受けれたので、配信終わりに感謝を伝えに行こう。
「それで駆動さん、試験はどうやるんですか? 本当に世界を滅ぼすわけじゃないですよね?」
「あぁ、流石にそりゃねぇ。……そこで使うのがアレだ」
駆動さんは視線を後ろに向ける。
そこには、メカメカしいゴーグルが付いているマッサージチェアーのようなものが鎮座していた。
「〝フルダイブ型のVRゴーグル〟じゃな。ダンジョンに潜るほどの力量を持ち得ない者がゲーム内でダンジョンを探索したり、ダンジョンにに潜る前のシミュレーションとして利用されることが多いのう」
「ま、いわゆる〝仮想現実〟って空間の世界を滅ぼしてもらって、Xランクに値するかを見極めるっつーわけだ」
Xランク探索者になるためには様々な条件があるらしいが、一応全部満たしていたらしい。
例えば、現Xランク探索者の半分以上の賛成や、Sランクダンジョンの攻略などなど……。ちなみにXランク探索者さんの五人中三人が賛成してたらしいが、残り二人は反対していたらしい。
「まぁ実際にやってみれば説明されるし、後はお前らだけで頑張――ぐぇ」
「阿呆めが。お主も責任持って付いて来ぬか!」
「おサボりは禁止ですよ~」
「クソが……」
:VRMMOとかよくやってたなぁ……
:神ゲー&クソゲーが溢れてたw
:少し昔までは夢のまた夢だったのにね
:ダンジョンコアの仕組みを利用したとかだっけ?
:WDOのVR技術見れるとか最高か?
:てか配信はどうなるんや
:ゲーム内でカメラあるからいけやろ
VR内で配信もできるらしいので、一旦ダンジョン配信用カメラは電源を切らせてもらった。
一瞬、とんでもないスピードで同接数が増えているように見えた気がしたが、怖くなったので考えるのをやめておく。
「お~、すごいいい座り心地ですね!」
「あぁ、余裕で寝れる……」
「くっ、少々尻尾が苦しいが致し方がないのう……」
僕らは件の椅子に座り、ゴーグルをセットした。
黒狐は尻尾が九本もあるから座るのが大変そうだ。
「それじゃあ……いきますっ!!」
こうして、僕ら三人は電脳世界へと飛び込んだ。
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