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第55話
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深層三階のボスを撃破したあと、ダンジョン内をズンズンと進んでいたのだが、なんだか雰囲気が変わったような気がした。
ついてきていた周囲の魔物もバタバタと倒れて、妙な気配が奥から感じられる。
「みんなだらしないな~。急に寝ちゃって」
:異常だよな?
:「だらしないなー」で済ましてるサクたんも異常w
:なんか魘されてるくね?
:少しは慌てなさいww
:精神汚染系の攻撃っぽいな
:↑じゃあなんでサクたんは効いてないん??w
:またバナナ考えてる顔してるし……
「精神汚染とかあるんですね……。まぁ僕の脳には今電子鰻いるので心配ごむよーです!」
:体 内 で 飼 育 し て る
:そう考えると強いなぁ……w
:寄生虫を体内で飼う人思い出したww
:怖いよぅ
:精神攻撃無効化ッ!w
うなぴ以外にも二匹の幻獣が体内にいるが、一人は僕から大体500mlの血がなくなった時に現れる子。もう一人は僕のどこかしらの体の部位が消失した時に現れる子だ。
どちらも暴れ始めたら涼牙を呼ばなきゃいけないくらい大変だし、大人しくしていてほしいね。
その後もダンジョンを進んでいたのだが、やはりどの魔物も魘されているのようでついて来ることはない。
さらに、ボス部屋の魔物もその影響があって相手にされず、そのままスルーをすることができた。
「はぁー……疲れた。けどここがラストですね!」
延々と歩きつ助けること数十分、とうとう第七階層のボス部屋の前までたどり着く。
:いよいよだな……
:なんで魔物サポートなくて辿り着けてんだよw
:サクたんって多分豪運体質でもあるよな
:不幸体質でもあるような……
:↑どちらもありうる、そんだけだ
:お前ら備えろッ!
:ボス部屋入るぞ~
:これがラストバトルか
ボス部屋に入るとそこには、紫色の靄のような存在がいた。目はないのだが、こっちを確かに見ているような気がする。
これが七階のボスなのだろうか?
「んー? あれなんですかね?」
:確か『ザ・ナイトメア』って魔物だった気がする
:幽○紋みてぇな名前だな
:海外のダンジョンでも見つかったやつよな?
:夢空間に連れて行ってそこで戦闘。時間内に倒せなかったら永遠に悪夢に囚われる……とかだったような?
:じゃあ今のサクたんには効かねぇな!
:勝ったな。風呂を食え
:いや、しかし様子がおかしいぞ?(英語)
:私たちの国で目撃されたものはもっと小さいものだったような……(英語)
:まずいぞ。それは強化個体かもしれない!(英語)
しばらく様子を見ていると、靄を中心にこの空間がみるみる塗り替えられていった。
モノクロの世界で、大都市のようだが木々が生い茂り、蔦が蔓延っている。どこか懐かしい空間だ。
そして、靄はボコボコと音を立て、違う姿へと変身してゆく。
「そ、そんな……あれは……!!?」
『オ、ァ、ァア゛ア゛……!!!』
「い、イヤだぁぁあ~~っっ!!!!」
緑と紫の体色でギョロギョロとした目玉や口がついている僕の天敵……もとい、ピーマンがそこにいたのだ。
:天 敵 降 臨
:やはりピーマンが立ちはだかるww
:キモすぎるww
:人型+多眼+悪い体色+奇声
:前回のピーマン戦負けてるからなぁ……
:【悲報】ボスの強化個体、ピーマンの姿になる
:サクたんメタで草
:もう終わりだ猫の配信w
:さしずめ〝ナイトメアピーマン〟といったところか
――深層七階ボス、ザ・ナイトメア。
本来ならば夢空間のみに異常性を発揮するその魔物だが、強化によってその悪夢は現実にまで干渉をし始めた。
第一段階、対象の心の空間を現実に展開。第二段階、対象が最も恐るものへの形態変化。第三段階、対象を内側から蝕み始める……。
「あば、あばばばば!! どどどどうしよう……と、とりあえず誰か来てーー!」
その心の蝕みは絶大であった。
心を悪夢で染め上げる。つまり、咲太の場合ではピーマンで埋め尽くすしかないのだ。
彼の〝鍵〟は心で強く願った幻獣や魔物の召喚。それつまり――
『ピ、ピマァン……???』
:ムwキwムwキwピwーwマwンw
:お前、あの時の……ッ!w
:ピーマン「待たせたなぁ!」
:帰ってくれw
:やめろピーマン! 戻れ!!
:相も変わらずシックスパックがお美しい
追い討ちのようにやってきた魔物。料理配信の時に会ったムキムキのピーマンを見てしまい、もうだめだった。
「カヒュッ――」
――バタンッ。
気絶をしてしまった。
:え、あ、あれ? サクたーん?
:これってもしかしてだけど……
:めっっちゃピンチでは!!?
:起きろサクたんんんんんん!!!!
:サクたんが起きてないと幻獣召喚できない。他の階層の魔物は魘されてる
:ピーマンなんとかしてくれぇ!!w
:深層強化個体ボスとかいう無理ゲー
:ピーマンの荷重すぎんだろ!
『ピマピマ……ピィマピィーマン』
咲太の前に立ちはだかり、ナイトメアから守ろうとする。
:守ろうとしてくれている……!?
:盛 り 上 が っ て き た
:何言ってるかわかんねぇーww
翻訳マン:「状況がまだわからないが……ピーマンの風上にもおけない風貌だな」って言ってるぜ!
:↑キッショ、なんでピーマン語わかんだよw
:翻訳マン、同時翻訳しろ。
翻訳マン:わかった!
『この少年はピーマンを食べてくれた優しき少年だ。手を出すことは許されんぞッ! うぉおおおおおお!』
――パキョッ!!
ピーマンはナイトメアの拳を腹に受けて良い音が鳴り、中に詰まっていた小さい粒の種を散らしながら天井へ吹き飛ばされた。
そして、一歩一歩咲太に近づき始める。
:ピーマァーーン!!!!
:やっぱり、ダメだったよ
:ま、待てナイトメアピーマン。鼻☆塩☆塩
:や、やめてぇ……
:やばいやばいやばい
:助けがこねぇ!
:まぁ深層七階だし……
:ボスだから体質もやっぱ効かないじゃん
近づく死に対し、リスナーたちは無力にもただ見続けることしかできない。
そしてとうとう、床に横たわる咲太の側まで来てしまい、腕を振り上げる。
『ア゛……ハハ……ッ!!!』
:やめろぉおおおおおおお!
:終わった
:だからやめとけって……!!!
:もう無理
:あぁ……
――ドゴォォォンッ!!!!
瞬間、このダンジョンが大きく揺れるほどの轟音が響き渡った。
ついてきていた周囲の魔物もバタバタと倒れて、妙な気配が奥から感じられる。
「みんなだらしないな~。急に寝ちゃって」
:異常だよな?
:「だらしないなー」で済ましてるサクたんも異常w
:なんか魘されてるくね?
:少しは慌てなさいww
:精神汚染系の攻撃っぽいな
:↑じゃあなんでサクたんは効いてないん??w
:またバナナ考えてる顔してるし……
「精神汚染とかあるんですね……。まぁ僕の脳には今電子鰻いるので心配ごむよーです!」
:体 内 で 飼 育 し て る
:そう考えると強いなぁ……w
:寄生虫を体内で飼う人思い出したww
:怖いよぅ
:精神攻撃無効化ッ!w
うなぴ以外にも二匹の幻獣が体内にいるが、一人は僕から大体500mlの血がなくなった時に現れる子。もう一人は僕のどこかしらの体の部位が消失した時に現れる子だ。
どちらも暴れ始めたら涼牙を呼ばなきゃいけないくらい大変だし、大人しくしていてほしいね。
その後もダンジョンを進んでいたのだが、やはりどの魔物も魘されているのようでついて来ることはない。
さらに、ボス部屋の魔物もその影響があって相手にされず、そのままスルーをすることができた。
「はぁー……疲れた。けどここがラストですね!」
延々と歩きつ助けること数十分、とうとう第七階層のボス部屋の前までたどり着く。
:いよいよだな……
:なんで魔物サポートなくて辿り着けてんだよw
:サクたんって多分豪運体質でもあるよな
:不幸体質でもあるような……
:↑どちらもありうる、そんだけだ
:お前ら備えろッ!
:ボス部屋入るぞ~
:これがラストバトルか
ボス部屋に入るとそこには、紫色の靄のような存在がいた。目はないのだが、こっちを確かに見ているような気がする。
これが七階のボスなのだろうか?
「んー? あれなんですかね?」
:確か『ザ・ナイトメア』って魔物だった気がする
:幽○紋みてぇな名前だな
:海外のダンジョンでも見つかったやつよな?
:夢空間に連れて行ってそこで戦闘。時間内に倒せなかったら永遠に悪夢に囚われる……とかだったような?
:じゃあ今のサクたんには効かねぇな!
:勝ったな。風呂を食え
:いや、しかし様子がおかしいぞ?(英語)
:私たちの国で目撃されたものはもっと小さいものだったような……(英語)
:まずいぞ。それは強化個体かもしれない!(英語)
しばらく様子を見ていると、靄を中心にこの空間がみるみる塗り替えられていった。
モノクロの世界で、大都市のようだが木々が生い茂り、蔦が蔓延っている。どこか懐かしい空間だ。
そして、靄はボコボコと音を立て、違う姿へと変身してゆく。
「そ、そんな……あれは……!!?」
『オ、ァ、ァア゛ア゛……!!!』
「い、イヤだぁぁあ~~っっ!!!!」
緑と紫の体色でギョロギョロとした目玉や口がついている僕の天敵……もとい、ピーマンがそこにいたのだ。
:天 敵 降 臨
:やはりピーマンが立ちはだかるww
:キモすぎるww
:人型+多眼+悪い体色+奇声
:前回のピーマン戦負けてるからなぁ……
:【悲報】ボスの強化個体、ピーマンの姿になる
:サクたんメタで草
:もう終わりだ猫の配信w
:さしずめ〝ナイトメアピーマン〟といったところか
――深層七階ボス、ザ・ナイトメア。
本来ならば夢空間のみに異常性を発揮するその魔物だが、強化によってその悪夢は現実にまで干渉をし始めた。
第一段階、対象の心の空間を現実に展開。第二段階、対象が最も恐るものへの形態変化。第三段階、対象を内側から蝕み始める……。
「あば、あばばばば!! どどどどうしよう……と、とりあえず誰か来てーー!」
その心の蝕みは絶大であった。
心を悪夢で染め上げる。つまり、咲太の場合ではピーマンで埋め尽くすしかないのだ。
彼の〝鍵〟は心で強く願った幻獣や魔物の召喚。それつまり――
『ピ、ピマァン……???』
:ムwキwムwキwピwーwマwンw
:お前、あの時の……ッ!w
:ピーマン「待たせたなぁ!」
:帰ってくれw
:やめろピーマン! 戻れ!!
:相も変わらずシックスパックがお美しい
追い討ちのようにやってきた魔物。料理配信の時に会ったムキムキのピーマンを見てしまい、もうだめだった。
「カヒュッ――」
――バタンッ。
気絶をしてしまった。
:え、あ、あれ? サクたーん?
:これってもしかしてだけど……
:めっっちゃピンチでは!!?
:起きろサクたんんんんんん!!!!
:サクたんが起きてないと幻獣召喚できない。他の階層の魔物は魘されてる
:ピーマンなんとかしてくれぇ!!w
:深層強化個体ボスとかいう無理ゲー
:ピーマンの荷重すぎんだろ!
『ピマピマ……ピィマピィーマン』
咲太の前に立ちはだかり、ナイトメアから守ろうとする。
:守ろうとしてくれている……!?
:盛 り 上 が っ て き た
:何言ってるかわかんねぇーww
翻訳マン:「状況がまだわからないが……ピーマンの風上にもおけない風貌だな」って言ってるぜ!
:↑キッショ、なんでピーマン語わかんだよw
:翻訳マン、同時翻訳しろ。
翻訳マン:わかった!
『この少年はピーマンを食べてくれた優しき少年だ。手を出すことは許されんぞッ! うぉおおおおおお!』
――パキョッ!!
ピーマンはナイトメアの拳を腹に受けて良い音が鳴り、中に詰まっていた小さい粒の種を散らしながら天井へ吹き飛ばされた。
そして、一歩一歩咲太に近づき始める。
:ピーマァーーン!!!!
:やっぱり、ダメだったよ
:ま、待てナイトメアピーマン。鼻☆塩☆塩
:や、やめてぇ……
:やばいやばいやばい
:助けがこねぇ!
:まぁ深層七階だし……
:ボスだから体質もやっぱ効かないじゃん
近づく死に対し、リスナーたちは無力にもただ見続けることしかできない。
そしてとうとう、床に横たわる咲太の側まで来てしまい、腕を振り上げる。
『ア゛……ハハ……ッ!!!』
:やめろぉおおおおおおお!
:終わった
:だからやめとけって……!!!
:もう無理
:あぁ……
――ドゴォォォンッ!!!!
瞬間、このダンジョンが大きく揺れるほどの轟音が響き渡った。
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