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第六話 異変
しおりを挟む「っていうか、なんか勢いで契約しちまったけど具体的にはなにがどうなるわけなんだ?」
クロキとの決闘を経てようやく役割の契約を果たしたリーリィ。
だが、なんの変化もなく、ましてや結ばれた契約の内容すらもわからないままに契約をしてしまったクロキが頭にはてなを浮かべながらリーリィに問う。
「…………あ」
「あ、じゃねぇぞ? 斬るぞ?」
クロキに疑問を問われたリーリィは言われてみれば詳細な内容を話してなかったと気付き呆然と声を漏らした。
「すぐ斬ろうとしないで頂戴! 確かに契約の詳細な内容を教えてなかったのは私の落ち度だわ」
「じゃあ、さっさと教えろ」
「貴方ねぇ人にものを頼むならもっとマシな態度ないの?」
「うるせぇ! 焼き妖精にしてやろうか? とっととしろ、俺は待つのが嫌いなんだ」
クロキは、左手でリーリィを握ると右手に出現させた炎をリーリィに近づけながら言った。
「きゃあっ! 熱い熱い! わかったから! すぐ話すから焼かないで!」
「最初からそうしろよな」
「はぁ…はぁ…本当に焼かれるところだったわ、なんでこんなのが攻略者なのかしら………」
れ炎で自分を本気で焼こうとしたクロキに対してリーリィはクロキの左手から解放された途端、息を切らしながら聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
「なんか言ったか? ツインテ妖精」
「えっ? いや? 何も言ってないわよ? さぁ、早速話しましょうか! 契約についてを」
「わかりやすく話せよ? 難しいのは嫌いなんだ」
「はいはい、じゃあまず、私についてから話すわね。まぁ、さっきも言ったと思うけど私は、このダンジョンに封印されていて、この封印はこのダンジョンが攻略されることで解かれる封印だった。そして、貴方が攻略したことによって解かれたの」
「あぁ、さっきそんなようなこと言ってたな、それで? なんで、お前は、このダンジョンに封印されてたんだ?」
「…………私が封印されていた理由、それは、最強を見つけそれを導くためにこのダンジョンと共に別の世界から送られてきたからよ」
「………あー?、てことはあれか? お前がこの世界を滅茶苦茶にした張本人ってわけか? やっぱ、燃やしていいか?」
リーリィの説明をリーリィがこの世界を滅茶苦茶にしたと解釈し、再び炎を右手に燃やしリーリィに迫るが。
「ちょっとまって! まだ続きがあるのよ! 最後まで聞いて頂戴!」
リーリィは慌てて今にも自分を焼こうとしているクロキを必死で抑える。
「あぁ? ちっ……わかったよ、はよ話せ」
「あ、ありがとう。えーと、確かにこのダンジョンは、貴方の住むこの世界を長い間、滅茶苦茶にしてしまったかもしれないわ、だけど、それには理由があるの、それが私と共にダンジョンがこの世界に送られてきたって言うのと私の役割最強を導くと言うのに繋がるの」
「ふーん」
「ふーん、って興味なさそうなんだけど!?」
「いいから続けろ、燃やすぞ」
「そ、それで、貴方が攻略したこのダンジョンは、最強を見つけ出すための言うなれば装置であって、私は、その装置によって見つけ出された最強を私達の世界に導くための契約を結ぶための存在なの」
「……………最強を見つけ出すための装置?」
「そうよ」
「このダンジョンが?」
「えぇ」
「……………」
「貴方どうしたの? 様子が……」
「…………………ざけるな」
「え?」
「………………ふざけるなよ? この糞でけぇ塔が装置? はぁ? この塔のおかげで、今まで何人、何千人、いや、この世界に、どれだけの恐怖と絶望を味合わせやがったと思ってんだ!!!」
クロキは、ダンジョンが最強を見つけるための装置と聞かされた途端、炎を体から燃やしながらリーリィに激昂し迫る。
「!? ちょっと! 落ち着いてよ!」
炎をたぎらせながら我を忘れている様子でリーリィに徐々に迫るクロキ、その姿はまるで狩りをする獣。
「てめぇ………ハァ…この……塔のせいで………俺の…………!」
リーリィの目前まで迫らんとしていたクロキの動きが突然止まる。
「…………大丈夫?」
動きが止まりピクリともしないクロキに心配そうに声をかけるリーリィ。
「ハァ……ハァ………ふぅ…すまねぇな怪我はないか?」
リーリィの声が届いたのか、頭を押さえながら辛そうに返事をするクロキ。
「……えぇ、私は大丈夫よ、だけど貴方は…………」
「あぁ、大丈夫だ……よゆーだ」
「そう………安心したわ…ちょっと驚いちゃったけど」
「すまねぇな、それで? その最強ってのがこのダンジョンを攻略した俺ってことになるわけだな?」
まだ、先程の出来事の余韻がある中、謝罪を入れて話を戻すクロキ。
「…………そう言うことになるわね、この世界に送られたこのダンジョンは貴方によって攻略され私たちにとってのこの装置は枠割を終え機能を停止し貴方の住むこの世界には平和が訪れる」
「………そっか」
平和になるということを聞いて一言だけ呟くリーリィの瞳に映るクロキの表情は穏やかに微笑んでいるように思えた。
「そして、これが最後、私の話の中で何度も出てきている私の住む貴方とは別の世界についてよ」
「それが最強と繋がるわけだな?」
「あら、察しがいいじゃない」
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