上 下
169 / 197

空に浮く車

しおりを挟む

 それは、未来を想像するときに最もよく用いられるイメージだが、その実現は難しいと思われていた。

 最大の理由の一つに、安全性が上げられる。

 普通に考えて、空を飛ぶ車が故障などして落ちるのは危ない。

 それを言うなら飛行機はどうなのかとか、あるいは普通の自動車だって十分危険ではあるが、

 まあ確かにそんなものが実用化されれば外を歩く危険のリスクは高まるであろう。


 だが、しかしその世界では、実用化されたのだ。空飛ぶ車が。それも、安全性を以前よりも高めたうえでだ。

 その仕組みは、単純だった。

 いや、それは空を飛んでいると言っていいのだろうか、、。ともかくそれは空を飛ぶというよりも、空を泳ぐといったほうが説明しやすいであろう。

 空気中にナノマシンが満たされているのだ。それはウィルスほどに小さいが人体には無害である。

 そして車の表面の塗装に反応して周囲に圧力を与えるのだ。

 それは力のベクトル的には水の中を泳ぐようなものであり、水の中で落ちることはない。故に安全なのだった。

 
しおりを挟む

処理中です...