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世界の中心へ!
しおりを挟むある世界があった。
その世界は広大だった。
あるとき、冒険家が、世界の端を見たいと冒険に出た。
海を渡り、大陸を渡り、危険な島、猛獣、嵐、吹雪などに見舞われながらも、とうとう世界の中心の近くまでたどり着こうとしていた。
(俺にはわかる・・!!もう少しで世界の中心にたどり着く・・!!)
何故彼が、そんなことを分かるのか分からない。
そこは、暗闇だった。
だが、なんとなくわかるのだ。
そうここは、普通の空間ではない。
いうなれば、世界と世界のはざま。
本当はここに人が来てはいけないのだろうと彼は思った。直感したというのが最適な言葉だが
と、同時に、何やらここに来てから何者かに見られているような気がしていた。
生物ではなく、精神だけの存在、いわば神的な存在だろうか。
それは、雰囲気的に邪悪でも善良でもない。感情を持っているかすら怪しい。
ただそれは自分の仕事をこなすだけの存在のようだった。
そう、その仕事はおそらく、、彼を生かすか殺すか、
つまり、世界の中心へ通すか通さないか、と言ったことだ。
それが、もしかすると自分の息の根を止めるのではないかと同時に、
ここまでたどり着き、修羅場をいくつも潜り抜けてきた彼ならば理解できた。
もはや抵抗は無意味だと。
あるいは、言葉や、『それ』に対する取り繕い、や嘘は無意味なのだ。
相手はこちらの全てを見通している。
一種の試験のようなものだが、しかし、彼にできることは何もなかった。
ただ、命運をそれに任せ、ただ進み続けるだけ。
そして、、ついに、「いいだろう。通るがよい」
そう言われた気がした。
貴様はこの世界に認められた。そう何者かの意志を理解すると同時に、
「・・!!」
そう、ついに彼はついに世界の中心へとたどり着いたのだ。
ちゅんちゅん
「・・・・?」
何だここは?
そう彼は呆然と足を止めるしかなかった。
そこは、彼が見てきた中でも最も奇妙な都市だった。
謎の継ぎ目のない石によって舗装された道。
目の前を通り過ぎる、流線型の鉄の塊。
さらには人々は様々な服を着ている。黒服が多いようだが、不可思議なのは手に持っている小さな金属の板だ。
「あの、すいません」
「あんだよ」
「ここはどこですか?」
「・・は?」
そう、そこはある者が望んだ世界。
あるとき理由は置いておくとして、
人々はバラバラになり、一人一つの世界を持つようになっていった。
この世界にいるものは、全てがその個人が作り出したもの。
全ては一人の願望から生まれた存在だ。
そう、世界の中心とは、ある個人が思い描いた世界。
だが、人々がバラバラになったことにより、元に戻ろうと、世界と世界が引き合い衝突しようとする現象も起き始めた。
それを防ぐために、『それ』は、個人の願望の世界の周りに、別のダミー的な世界を置くことにした。
世界の衝突を防ぐためには、同じく世界で蓋をしなければならない。
そうその障壁の役割をした世界が、その冒険家が元居た世界だ。
一つの世界の周りに、いくつもの無数の無意味な世界があるのである。
『それ』は、時たまくる、その周囲の世界からの来訪者を見定める仕事をしていた。
その仕事は、「それ」が持ついくつもの仕事の中の一つにすぎない。
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