142 / 197
閉じこもる
しおりを挟む技術の進歩が進み、あらゆる建築を作れるようになった時代の世界。
あるサービスがあった。
それは、自分だけの世界。引きこもり専用の建物だ。
元は宇宙船での生活に関する技術を地球上でも応用してサービスを出そうとしたのがきっかけだった。
その建物の中は、外部から最低限の食料や水、ネット回線以外は誰も侵入できないのである。
それは徹底的であり、人や動物はもちろん、病原菌や虫ですら侵入することができないのだ。
さらに内部は完全に清潔な状態がナノマシンやロボによって保たれている。
ラインニングマシンなどが完備したものは運動不足に悩む必要もないため、快適に引きこもることができたのだ。
家賃も安かったので人気があった。
個人用、家族用、あるいは集団用など。他人を排斥する時代だった故に、その人気も高かった。特にリストラされたサラリーマンや老後の夫婦などがお金のために引きこもることが多かった。
そして、、ついには多くの住人をその巨大な町一つ入る程度の建物に入れることになってしまった。
理由は当時世界に蔓延する病原菌によるものだった。
空気感染ゆえに、多くの者をその脅威から守らなくてはならないゆえに、世界中で引きこもりの町が生まれたのだ。
それによって、一つのコロニーと呼ぶものが大量に表れるようになっていった。生まれてから一度もその外に出たこともないものも多かった。
外に出る専門の職業などもいたが、外の世界は人の手が入らなくなっていき、次第に猛獣や得体のしれない生物も増えていった。木々も大量にありまさに未開の地といったところだった。
いつしか外の世界はあまり意識されないようになり、人々はその建物の内側だけで満足していた。
そして、ある時病原菌がまたその建物の中に発生したのだ。
故に、人々はまたさらにその内側にまた建物を作り、隔離することになった。その建物は広大ゆえに、隔離して手放す地区があったとしてもまだまだ十分な広さがあったのだ。
そうやって、いくつも入れ子上に建物を作り、また外側に向けて増築を繰り返していった結果、世界には建物が際限なく増えていき、森と建物が支配する世界になっていったのだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる