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消す

　人は、少なくともこの現代における多くの人は、何か問題があった時に、それが正しいか正しくないかで判断することが多い。

　それは争い、古来から続く、派閥同士の争いが原因なのだろうか。そう言った歴史が、自身の考え方の根幹をつくっているのだろうか。

　だが、それは、現実のことではない。知恵ではない。

　ただの、イメージ上、妄想上の出来事だ。

　だからこそ、俺は、そういった不快な問題を見たときに、心の中で、それを消滅させている。

　そいつが最初から生まれなかったことにするのだ。

　そうすれば終わりだ。無いものを考えても無意味だからだ。

　明晰夢とかいう奴があるだろう？あれは自分の世界。自分の妄想の世界。

　ならば、こうやって物を考えているときも、自分の世界であることに変わりはない。

　この世界なら俺は自由。何物にも縛られない。俺が王様、神様。

　だから、消す。問答無用で。気に入らないものを全て。

　そうやって、あらゆるものを消していった。

　偉い人を消す。通りすがりの人を消す。ウザいものを消す。習慣を消す。

　ついに世界で俺だけになった。

　寂しい？いや、、
　
　とても心地いい。

　天国というものがあるとすれば、そこには俺以外に人はいないのだろう。

　お手伝いロボとか、メイドロボとかはいてもいいけどな。

　だってそいつらに魂はないんだから。