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何故だろう
しおりを挟む最近、巷ではチートものやなろう系のものが嫌われているらしい。
なるほど、確かに彼らの言い分の通り、チートやなろうには、『努力』『苦労』が少ないか、あるいはまったくないように思える。
でも、何故それでダメと言われるのだろうか。『苦労』がないことと、作品の面白さは別だと思うのだけれど・・。
僕は、小説家だった。どちらかといえば、自分の書きたいものを書くより、流行のテーマだったり、皆に需要がある小説を書くタイプの小説家である。
だからこそ、そのムーブメントの流れをしる必要があった。
だが、、いくら考えても分からない。
何故努力がないことが、面白くないにつながるのだろうか。
努力があるよりも、ないほうが読者はうれしいはずではないか。だからこそなろうやチートはここまで流行しているはずではないか。
しかし、案ずるよりも生むがやすしだ。僕は考えるよりも、いっそのこと実験的なある作品を作ることにした。
それは、『苦労』や『努力』を濃縮したかのような作品だった。
100の努力に対し、1、あるいは0に近い報酬が貰える、いわば鬱作品だ。
主人公は、あらゆるものを代償に、この世界や、ヒロインなど、自分の大事なものを守ろうとする。だがそれで守れるのはたった一部だけだ。容赦ない敵、そして不運に主人公は見舞われつつ、諦めることをしない。
もし、努力が多いほど面白い、になるならば、これがヒットするかもしれない。
結果、その作品は、大ヒットした。
一時、市場売り上げのトップに立ったその作品を見て、僕は思った。
(そういうものなのか)
納得はしていなかった。今でも、何故この作品が何故売れたのかが分からない。
だが、僕は、読者の需要を考えて書く小説家だ。納得せずともこのノリで次々と書いていこう。
そして、僕は次々と鬱小説を書き、ヒット作を生み出していった。
僕は、次第に残酷な展開、陰鬱な描写を描くことが上手くなっていった。どのようにしてキャラクターを苦しめるか、そのアイディアは一つ一つが致命的で、僕や、読者の精神を削っていったのだ。
そして、、ある日のことだ。
「お前、見どころあるな」
「・・・え?」
「私は神だ。貴様は、魔王の素質がある。
貴様はこの世界の敵に任命しよう。そのためのスキルは渡しておくから、好きに荒らすがよい」
そうして、僕は、人類を滅ぼす役目を持つことになってしまった。幸い、そのためにアイディアは無数にある。
さっそく、人類を虐待(いじ)めてみることにした。
「それじゃあ、、手始めに、、」
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