上 下
8 / 197

うめぼし

しおりを挟む


 梅干し



「よし、てめぇら、梅干しを作るぞ」

「うぃーっす!!」

 梅干し。それは製造の許可が要るための中毒性の高いすっぱい憎い奴だ。
 
 それは密造すると逮捕されるものである。
 
 そう、時代は某禁梅干し法時代。正規の悪法がまかり通っていた時代だった。
 
 この時代多数のギャングが世の中を暗躍したと言われている。
 
 彼らもその中の一派だった。
 
 素行の悪そうなやつらが薄暗い一室でとぐろを巻いている。中にはコーヒーシガレットなどを服用するものもいた。歯も連日のティーパーティで、ステイン汚れている。
 
 彼らはOKASIRAWOを見て、思い思いにつぶやいた。
 
「へへ、おかしら・・俺たちは梅干し中毒でさぁ・・!!」

「もっと梅干しをくれ!!」

「ああ、今から梅干しを付けるからな」

 梅干しの製造こそ禁止されているが、その作り方は容易だ。おそらくどこの家庭でも作ろうと思えば作れるはずだろう。
 
 だが、しかし、この時代の法律でその法を犯すと、最悪死刑ともなる重い罰だ。それほど梅干しというものの中毒があるというわけだ。
 
 そう、梅干しのすっぱさは、疲れに聞くクエン酸などと言った健康に良い成分が多く含まれている。危険なレッドボールだった。
 
 さらにその酸味も日々のストレスをいやすことに役立っており、全国に中毒者が多発してたのだ。
 
 これを政府は重く見て、税率を上げるなどの措置を取っていたが、当時有力だった酸っぱいマソが政権を握ると、方針を変え全面禁止になったのである。
 
 おかしらはパチンと指を鳴らすと、手下の一人があるものを運んできた。
 
「これが上質の梅だぜぇー!!」

「yeah!!!」

 そう、極秘ルートから入手したその梅は、一粒一粒が肉厚であり、芳醇な香りがあたりに漂う。ここまでの大物は稀に見ないだろう。彼らははごくりと唾を飲み込んだ。
 
 何ならこのままいただいてもいいかもしれないが、それでは梅の本来の味を楽しむことができないであろう。何より生のままのカリカリ梅は名前からしても下品だ。
 
 粗悪な梅干し中毒者のギャングファミリーたちも、そういった食し方を想像することはしても、実際に行動を移すものはいない。しかし、周囲に剣呑な雰囲気が濃厚に漂った。
 
 表情だけで(早く梅干しをくれ!!)(梅干しをくれ!)という叫びが聞こえるかのようだった。
 
 リーダーが叫んだ。
 
「さあ早く瓶を出せ!瓶を!!」

 そう、梅干しは、なんか瓶に入れることによって発行し、梅干しになるのだ。詳しいことはググれ。
 
 だが、それが問題だった。
 
 手下の一人が叫ぶ。

「お、おかしら!!瓶が・・!!」

「あん?便がどうしたぁ!!」

 てしたが指さした方向をお頭は見ると、目を見開く。
 
「こ。こいつぁ・・!!」

 そう、その瓶には、なぜか小目目がくりりとしたキュートなハムスターが住み着いていたのだ。
 
「誰だ・・!こんなところにハムを置いたやつは・・!!」

 ぎぎぎ・・と歯ぎしりをしながらお頭は手下たちを睨みつける。その凶暴な表情に自らの罪を長く隠し通すことはできまい。その中の一人が観念して前に出て土下座する。
 
「おやっっさん!!すいません!!」

「お前がやったのか・・?」

「はい!!道端に捨てられていたのを拾ってきましたぁ!!!」

「・・・そうか。だったらてめぇは・・!!」

 びしっ!と彼はそいつを指さして、判決を言い渡した。無慈悲にも。
 
「動物係だ」

「えっ・・?」

 手下たちはおやっさんを見た。
 
「飼っていいんですか?!」

 おやっさんは葉巻に火を付けながら、

「面倒見切れようなら・・な」

「おやっさーーーーん!!!」

 そう、今夜はパジャマパーティだった。
 
 心温まるエピソードを肴に女子会がはかどったのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

処理中です...