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うめぼし
しおりを挟む梅干し
「よし、てめぇら、梅干しを作るぞ」
「うぃーっす!!」
梅干し。それは製造の許可が要るための中毒性の高いすっぱい憎い奴だ。
それは密造すると逮捕されるものである。
そう、時代は某禁梅干し法時代。正規の悪法がまかり通っていた時代だった。
この時代多数のギャングが世の中を暗躍したと言われている。
彼らもその中の一派だった。
素行の悪そうなやつらが薄暗い一室でとぐろを巻いている。中にはコーヒーシガレットなどを服用するものもいた。歯も連日のティーパーティで、ステイン汚れている。
彼らはOKASIRAWOを見て、思い思いにつぶやいた。
「へへ、おかしら・・俺たちは梅干し中毒でさぁ・・!!」
「もっと梅干しをくれ!!」
「ああ、今から梅干しを付けるからな」
梅干しの製造こそ禁止されているが、その作り方は容易だ。おそらくどこの家庭でも作ろうと思えば作れるはずだろう。
だが、しかし、この時代の法律でその法を犯すと、最悪死刑ともなる重い罰だ。それほど梅干しというものの中毒があるというわけだ。
そう、梅干しのすっぱさは、疲れに聞くクエン酸などと言った健康に良い成分が多く含まれている。危険なレッドボールだった。
さらにその酸味も日々のストレスをいやすことに役立っており、全国に中毒者が多発してたのだ。
これを政府は重く見て、税率を上げるなどの措置を取っていたが、当時有力だった酸っぱいマソが政権を握ると、方針を変え全面禁止になったのである。
おかしらはパチンと指を鳴らすと、手下の一人があるものを運んできた。
「これが上質の梅だぜぇー!!」
「yeah!!!」
そう、極秘ルートから入手したその梅は、一粒一粒が肉厚であり、芳醇な香りがあたりに漂う。ここまでの大物は稀に見ないだろう。彼らははごくりと唾を飲み込んだ。
何ならこのままいただいてもいいかもしれないが、それでは梅の本来の味を楽しむことができないであろう。何より生のままのカリカリ梅は名前からしても下品だ。
粗悪な梅干し中毒者のギャングファミリーたちも、そういった食し方を想像することはしても、実際に行動を移すものはいない。しかし、周囲に剣呑な雰囲気が濃厚に漂った。
表情だけで(早く梅干しをくれ!!)(梅干しをくれ!)という叫びが聞こえるかのようだった。
リーダーが叫んだ。
「さあ早く瓶を出せ!瓶を!!」
そう、梅干しは、なんか瓶に入れることによって発行し、梅干しになるのだ。詳しいことはググれ。
だが、それが問題だった。
手下の一人が叫ぶ。
「お、おかしら!!瓶が・・!!」
「あん?便がどうしたぁ!!」
てしたが指さした方向をお頭は見ると、目を見開く。
「こ。こいつぁ・・!!」
そう、その瓶には、なぜか小目目がくりりとしたキュートなハムスターが住み着いていたのだ。
「誰だ・・!こんなところにハムを置いたやつは・・!!」
ぎぎぎ・・と歯ぎしりをしながらお頭は手下たちを睨みつける。その凶暴な表情に自らの罪を長く隠し通すことはできまい。その中の一人が観念して前に出て土下座する。
「おやっっさん!!すいません!!」
「お前がやったのか・・?」
「はい!!道端に捨てられていたのを拾ってきましたぁ!!!」
「・・・そうか。だったらてめぇは・・!!」
びしっ!と彼はそいつを指さして、判決を言い渡した。無慈悲にも。
「動物係だ」
「えっ・・?」
手下たちはおやっさんを見た。
「飼っていいんですか?!」
おやっさんは葉巻に火を付けながら、
「面倒見切れようなら・・な」
「おやっさーーーーん!!!」
そう、今夜はパジャマパーティだった。
心温まるエピソードを肴に女子会がはかどったのである。
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