達観した紫の上と、年上旦那様

エピローグ

卒業式です！

　卒業式で名乗る苗字は「水速」のままで。
　それでも、千夏と花音、二人と一緒に卒業できるのが嬉しくて。

　そして、この制服に袖を通すのも、これが最後なのかと思うとしみじみとしちゃいます。


　……いろんなことがあったなぁ。と振り返ると。
　ヤバいものを思い出してしまいましたとも。
「麻帆佳、どうした？」
「思い出したくないことを思い出しただけ」
　そういや、この制服で、旦那様の勤め先で、あんなことをしたのを思い出しました。

　……皆には黙っておきましょう。うん、それがいい。

　入場すれば保護者席には旦那様と東輝さんに明日さん。そして養父母となってくれたロードリックさんに、恵美香さんが。恵美香さんと明日さんの和装姿がお綺麗です。

　入学式は、千夏と花音の両親が私の保護者代わりを務めてくれたのまで思い出しました。

　本当に二人とその家族にはたくさんお世話になりました。


　どんなお祝いの言葉よりも、二人の両親に「おめでとう」と言ってもらえたのが嬉しくて。
「麻帆佳、顔ぐしゃぐしゃ」
「ふっ……ふたりだって！！」
　式の途中から目にじんわりと浮かんでいた涙は、教室で二人の両親を見た瞬間に決壊して、止まらなくなりました。
　そしたら二人ももらい泣きしちゃって。

　クラスメイトがドン引きするくらい三人で泣きました。


　中学の途中から引っ越しをして、二人に会って。二人と馬が合って親友になって。進学した高校が偶然一緒で。
　克人さんにいいアルバイト先を紹介してもらって。

　叔父夫婦に色んな妨害を受けたけど、二人とその家族のおかげで頑張れて。

　だから、どんなに辛いことでも悲観的にならずに済みました。


　まさか在学中に結婚するとは思いもしなかったですけど。
　で、この卒業式でクラスメイトに旦那様と新しい養父母＆義兄夫婦を紹介することになって、全員が驚いておりました。
　まぁ、そうですよね。私もそちらの立場だったら驚きますとも。


　涙が止まらずにいたら、旦那様に公衆面前で抱き上げられてまして。びっくりして一瞬で涙が止まりましたとも。
「な……な……なっ」
「門出なんだから、笑顔で」
　旦那様の笑顔だけで充分だと思います。


　……抱き上げられたまま、撮った写真しかないのが心残りです。

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これにて本編完結です。
番外編は時間を見て投下していきます。
ありがとうございました！！