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人肌恋しくなる冬模様
遅いですよ、旦那様!
しおりを挟む千夏と花音、二人とも私立大学の入試はすべて終わったようで。あとは国公立大学のみとなったようです。
こちらが本命なので、二人とも頑張っております。
今日は先日買ってきた魚介類をまたしても使います。というか、買い過ぎました。
保存きくものは保存してますし、お土産として色んなところ(高部さんのところは物凄く喜ばれましたとも)に渡したのですが。
ほとんどがこのマンションの、このフロアにいるわけで。融通しあうことが難しかったわけですよ。その前に、私がお土産を渡すところも限られているわけで。うっかりしておりました。
多めに買った一部の魚介類は厳原のお家と、以前アルバイトしていた喫茶店へ恵真さんが届けてくれました。
で、今回のことがあったので恵真さんは三月いっぱいで厳原の家のお手伝いさんを辞めてしまうのだとか。その後どうするのかと聞いたらあっさりこう答えられました。
「龍雅様の秘書と麻帆佳奥様の世話をさせていただきたく」
……え? 旦那様の秘書と私の世話が一緒に扱われています?
「本音を言えば麻帆佳奥様の世話だけをしたいのですが、麻帆佳奥様はご自身のことはご自身でやる方ですから。建前として龍雅様の秘書ですね」
いや、そんなことをドヤ顔で言われましても。
「恵真はパーティ用ドレスやアクセサリーを選ぶのにもそれなりに慣れている。東輝の妹になったからにはパーティに出る時も出てくるだろうから、その時は頼るといい」
パーティなんざ、謹んで遠慮申し上げますよ!
その答えが予想で来ていた旦那様は苦笑して「必要最低限のものだけ厳選させるよ」と言われました。え? そんなものもあるのですか。やっぱり平々凡々な暮らしがしたいですよ。
そういえば、マナーを覚えることに関してだけは、母´ズが乗り気なようで。私がアメリカ行こうが行くまいが、二人もマナーを勉強することになりましたとな。
そのお金の大半は、旦那様がこっそりと厳原から慰謝料として分捕ったそうで、そのお金を充てるのだとか。
まぁ、そういったものを学ぶにもお金がかかりますからねぇ。
というか、旦那様。いつの間に厳原から慰謝料を分捕ったのか聞きたくなります。
「私の口座に振り込まれたのは、最近かな。瀬和の家が出て来たあたりから動いたから。大志たちが勉強教えるだけじゃ、詫びにもならない。
私は厳原の人間だからまだいい。だけど麻帆佳とその友人家族は全く関係ないのに巻き込まれた。その辺りはなぁなぁにしてはいけない。今後、もしそのことで友人家族に迷惑をかけるというのなら、父も母も腐りきったと見做すと伝えたよ」
……さっさとその行動力を見せればよかったのに。
ついでに言うと、あの老爺は現在入院中なのだとか。そちらの方にもお見舞いに行って来たらしく、決別してきたそうです。
遅いですよ、旦那様!
「それは、言われなくても分かっている。その辺りは金で解決できる問題ではないから、誠意を見せるしかない」
「なにしたんですか?」
「特には。麻帆佳の後見人にあの二家族が名乗り出てる。私が何かしたら、あの二家族も物理的に止めに入れる」
それだけじゃありませんよね?
「……察しがいいね。ただ、他のことに関して私は言う気はないよ。
一つだけ言えるのは、両家とも信頼に値するし、さすがとしか言えなない」
どんなお約束をなさったのでしょうかね。二人の家族のことに厳原が出てきたら、旦那様が真っ先に動くのは確定として、他が思い当たりません。
口ぶりからするに、お金で解決したわけでも、強請ったわけでもないというのだけは分かりました。
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