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人肌恋しくなる冬模様

入試とバレンタイン

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 そういえば、旦那様最近げっそりとしております。お仕事が大変なのかと思ったら、いきなり抱きつかれました。
「旦那様!?」
「充電させて」
 って私、コンセントじゃないんですが。
「麻帆佳が二人のために色々手を尽くしている時に、私が口出ししていいものじゃないのも分かる。でも、寂しかった」
 ……はぃぃぃ?
 意味が分からないのですが。

 よくよく聞いてみると、ここのところ夕飯を一緒に食べることはあっても、寝るのは別。千夏と花音の受験勉強に合わせてご飯が作れるようにと、二人と寝ていたんですよ。
 夜十時ぐらいに就寝して、朝四時に起きる生活をここのころ続けております。朝勉強した方が夜勉強するよりも頭に入るんだそうです。私もその口ですが。
 で、四時に少しつまめるものと、その後の朝食。リフレッシュのため少し動いてから食べるおやつ。英語教師が来てからの英語レッスン。その時の茶菓子。そして家庭教師として来る大志さんたちにも出すお菓子。……大半を私が作っております。その合間に私も勉強をしているといった感じですね。
 夕飯時は大志さんたちもいるので、旦那様と食べておりましたが、それ以外は二人と食べてました。
 それが続いたため、寂しかったのだとか。

 すみません。寂しいとかよりもおさんどんしているのが楽しかったです。
「だと思ったからずっと言わなかった。でも一人寝が凄く堪えてる」
 あははは。分かっていただけたようで何よりです。もう少しこらえ性を出してくださいな。
 現在二人とも私立大学入試でバタバタしているんですから。


 その日は二人とも別々の大学とはいえ、入試試験の日。
 朝ごはんのメニューは豚まんでした。理由ですか? 千夏のリクエストですが、何か。
ネタが作り終わったところで、あっという間に千夏のお母さんが綺麗に包んでいきます。美味しいんですよね、この豚まん。そして大きい! 私までよだれが出てきそうです。

「大丈夫よ。私たちの分もあるから」
 ありがとうございます! またしても悔しそうなのは風吹さんで。これも悪阻が収まったら食べるつもりのようです。
 相変わらず食に対する執念が凄いです。早く悪阻が収まることを祈ります。

「麻帆佳ちゃーーん。お願いがあるんだけど」
 そんな青い顔で言わないでくださいよ。で、何事かと思ったら、私がアルバイトしていた喫茶店に行って欲しいとのこと。
「何かありましたっけ?」
「麻帆佳ちゃん、忘れてるね。今日は二月十四日だ。つまりバレンタインデーなのだよ」
 ……ん? 二月十四日? ということは。
「あぁぁぁぁ!!」
 忘れておりました!!
「やっぱりか」
「マスターのフォンダンショコラがぁぁぁ!!」
 そう、二月十四日限定で喫茶店で出されるフォンダンショコラ。あれ美味しいんですよ。この二年間絶対にアルバイトを入れていたというのに!! しかもあれ、スタッフと常連さんにしか振舞われないという限定品なんですよ!
「そっちかい! ってかあたしもだけど」
「それ以外何かありましたっけ?」
「わざとか? 素なのか!?」
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