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天高く陰謀巡る秋

呆気ない幕引きでした

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 ……毎回思うのですが。
 この老爺、ひたすら罵倒しまくるだけで、何の実にもなりません。

 どうしたらいいのでしょうかね。というか、これを聞いている皆さんがどれくらい怒っているのか、というのがものすっごく気になりますけど。
「……親父は怒る気力もないってさ」

 げっそりとした表情でここにたどり着いた、東輝さんがそんなことを言いました。

 あ、東輝さん。お疲れ様です。
 そして気力も削がれたロードリックさんはどこに?
「親父は今、検察とか警察呼びに行ってるよ。ついでに祖父さんの所と提携している瀬和に話を持っていってる」
 瀬和? 存じ上げませんが。
 ですが老爺の顔色が見る見るうちに変わっていきます。
「麻帆佳は知らなくて当然。厳原にも出資しているでかいお家だよ」
 そんなことを言っていたら、老爺の隣にいる男の携帯が鳴りました。こういう時音くらい切っておけと言いたくなるのは、私だけでしょうかね。

「お……大旦那様っ」
 携帯を取り上げた男が、なにやら慌てております。
「龍雅がね、『旦那様』って言われたくないのは、これが理由なんだな」
 初めて知りましたよ。気が向いたら名前で呼んであげて、なんて東輝さんは優しいですねぇ。

「麻帆佳、現実逃避しない」
「だって、ねぇ?」
 先ほどまで偉ぶっていたあの老爺が、いきなりへりくだってますよ。どうしろっつうんですか。
「少し調べればわかるのにさ。瀬和の家と祖父さんの家は大正期から繋がりあるってのに」
「……そう、なんですか?」
「らしいよ? 俺も又聞きだけど」
 正確には東輝さんの曽お祖母様まで遡るとか。知らなくて当然ですよねーー。


 で、そんなことをしている間に、警察の方々がやって来てあっという間に捕らえてしまいました。

 逮捕の時に老爺たちが暴れたため、恐喝という罪状に公務執行妨害が追加され、ひと段落というところで、警察官に連絡が。

 どうやら園田さんが老爺名義の建物の地下から衰弱して見つかったそうです。予断を許さない状況なのだとか。
「恵麻さんにすぐ連絡とらないと!!」
 恵麻さんの連絡先を知るのは旦那様だけ。急いで連絡です。

 ですが、どんなに急いでもスマホのロックがうまく解けず、そのあとは電話帳がどこにあったかが分からなくて。
「……麻帆佳、落ち着く。俺が今龍雅にメール送ったから」
 東輝さん、早い対応ありがとうございます。


 園田さんが一命を取り留めたという知らせは、この事件から一週間後に届きました。

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……もっと狡猾だったはずの老爺。気づけばただの小物に。
取りあえず、秋編これにて終了です。

次回は冬。やっと季節に追いついた(ヽ''ω`)
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