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天高く陰謀巡る秋

飢えた獣のお仕置きはきついです

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 部屋に到着するまでに、誰とも会わなかったのがせめてもの救いでしょうか。時折生暖かい目で私を見る方がいらっしゃるので。声とか聞こえてるんじゃないかと思うと、恥ずかしいのですが。
「麻帆佳のいやらしい声は聞こえてないはずだよ」
 そのはず・・というのが怖いですよ。
「私も聞かれたくないしね」
 そんなことを言うと、やっと肩から降ろしてくれました。あとは拘束しているネクタイを外してもらうだけです。
「麻帆佳、私がそう簡単にネクタイを外すと思う?」
「はぃ?」
「外したら、麻帆佳は逃げる。まだお仕置きが済んでない」
 え? と思っているうちに、壁ドンされました。無駄に大人の色香があるからなおさら動けません。
「麻帆佳、私は一度言ったよね。麻帆佳は私が望んだって。それを忘れてほしくない」
 そんなこと言われても……ねぇ。顔面偏差値が高い上に、財力ありは信用に乏しいというか、今まで会ったことのない人にそんなことを言われても、どうしようもないと思うのですが。
「やっぱり覚えてないか」
 喫茶店にお客さんとして何度か来た、というのはカウントしないでくださいね。明日さんくらいの常連さんじゃないと、顔は覚えられませんから。
「そのあたりは、また今度かな。麻帆佳から見て私が信用ないというのは痛いほどによく分かった……でもね」
 そこで言葉を切るなり、私の顎を掴みました。これが顎クイですか……じゃなくて!!
「私が麻帆佳しか見てないことくらい、分かるでしょう」
「分かりませんから!」
 思わず即座に突っ込みを入れました。旦那様のお顔が何とも言えない表情に。
「もう、いい! そこまで言うなら、分かるまで離さない!!」
 なんでそうなるんですかぁぁぁ! 言葉で教えてくださいよぉぉぉ!
「言葉で言ってもわからない麻帆佳には、身体に教え込む」
「ひゃぁっ! だん……さまっ……ここ……げんかっ……」
 開きなった旦那様にショーツをずらされ、指で弄られる羽目に。ここじゃ、外に聞こえるかもって以前言ったの、旦那様ですよね!?
「あっ……あぁっ……」
「麻帆佳が感じるところ、もっと教えて」
 無駄に色香のある声で囁くの厳禁です! 腰がっ……。

 自分の体重を足で支えきれなくなるのを、旦那様が受け止めてくれました。
「このままここで挿れるよ」
 そう言うなり、旦那様のものが私の中に挿ってきました。
「あぁぁぁぁっ」
 そんな風に足を持ち上げられたら、私どうしていいか分からないです。

 しゅるりと、数時間ぶりに腕が自由になり、思わず旦那様の首に腕を回しました。
「あっあっあぁぁぁ!!」
 外に聞こえるかもしれない、というのは頭からすっぽりと抜け、旦那様がもたらしてくれる気持ちよさだけが頭を支配して。旦那様の深いキスにも貪欲に感じて。自分が自分じゃなくなるような、それが怖いと感じず、心地いいとすら思えて。

 頭が真っ白になる頃、旦那様の身体が小刻みに震えました。
「ごめん。おさまらない。このままベッドに行こう」
 その言葉で正気に戻りました。

 ちょっと待ってーー! 旦那様避妊してないですよね!? そしてこのまま行くってどうやって!?
 その言葉を発する前に動かれ、動いた振動で感じてしまい、文句をつけれずです。


 ぽふんとベッドに落とされ、旦那様の服を見ると、色々・・汚れておりまして。
 ……ということは。
 私の制服も汚れてるってことですよね!? 月曜からどうすりゃいいんですか!!
「明日中にクリーニングに出すから、だいじょう……」
「大丈夫じゃないです! 恥ずかしいです!」
 こんな汚れが付いた服をどこのクリーニングに出すというんですか!?
「だから、ここのコンシェルジュに出せばもんだ……」
「問題大有りです!」
 明日からどんな顔で挨拶すればいいんですかぁぁぁ!!
「もう、私の服の汚れは見られてるけど」
 さらりと旦那様がのたまいます。
 ……え? ってことは会社の人にも? いやぁぁぁぁ!! 穴掘って埋まりたいぃぃぃぃ!!
「布団被るのいいけど、制服脱がないと。なおさら皺になるよ」

 さっさと裸になった旦那様に、制服をひんむかれたのは、言うまでもありません。

 教訓が出来ました。
 旦那様を飢えた状態にしちゃいけないということと、私の不満は全部旦那様にぶつけること。旦那様を信用するしないは別としてです。

 一度腹を割って二人で話さないといけませんね。

 そうしないと私の体力も精神力も持ちません!


 翌日には千夏と花音たちに報告したいと思っていたのですが、旦那様を甘く見ておりました。
 日曜夕方まで離して貰えませんでした。

 夕方になって解放してくれたのも、恵真さんとお義姉様のおかげです。
 ありがとうございます。


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飢えた獣=イコール龍雅です。信用はまだされておりません。

腹を割って話すのは、この後もうひとつ事件が起きてからです。これくらいじゃ、三章タイトルになりませんから。ヘタレな龍雅は陰でデレまくり。麻帆佳至上主義みたいな感じです。それゆえ、その思いの半分くらいは麻帆佳に伝えていると思っていた高部さんと藤城さん。話していないというヘタレっぷりを明日さんから聞いてあきれております。
明日さんが今回龍雅を優先にした理由は次回から明らかになります。
もう少し話そうや、龍雅さんや。
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