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天高く陰謀巡る秋
お話合い その一
しおりを挟むそして、ずるずると藤城さんに引っ張られて社屋へ。そこに来て恵真さんが「外でお待ちしております」と。
えぇぇぇぇぇそんなぁぁぁぁ。
すがろうとしたら「龍雅様としっかりお話合いくださいませ」とにっこり微笑まれてしまいました。
まぁ、仕方ないですね。先ほどの話が本当なら、その一件はお礼をきちんと言わないといけませんね。
「お願いだからさ、話し合ってよ。一方的に言われたら、誰しも驚くものだろ」
にしても、かなりリアルすぎる話で、信じられるものだったんですが。特にあとから来た女性。それに普通、秘書さんって二人も連れて行くものでしょうか。
「その辺は俺からじゃなく、専務から説明されると思う。普段、女性秘書は連れてかない。日帰り出張は高部、泊りがけは俺って決まってるから」
……なおさら怪しいですよ?
エレベーターでそんな話をしながら、旦那様が待つという部屋(?)のあるフロアまで移動です。
藤城さんが案内する方向と反対側から妙な視線を感じました。
……あ。マンションまでつめかけた女性×二人です。まさかと思いますが二人とも旦那様の秘書さんなのでしょうか。
あとからマンションに来たであろう女性が、勝ち誇った笑みを浮かべてました。
なんだか少しだけ違和感がある二人から視線をそらし、藤城さんの後をついていくことにしました。
うん。お礼言って離婚届貰って帰りましょう。それが一番です。
「変なこと考えないようにね」
「考えてませんよ」
「下とカフェで言ったことを忘れないように」
「……はぁ」
思わず気のない返事をしちゃいました。
部屋に入ると、ものすっごく不機嫌な旦那様と高部さんが。
「はい。これから休憩です。昼の分も使って存分にお話合いくださいっ!!」
それだけ言って、高部さんと藤城さんは出ていきました。どうすればいいんでしょうか。
「えっとですね……あの時って旦那様の指示で助けられたのですか?」
なんでこんなことを言っちゃうんですかーー!! 私の口は!!
「あの時?」
もの凄く不機嫌な目で私を見据えてきます。ごごごごご……ごめんなさいっ! 余計なことをいいましたっ。
「いつの時のことか、しっかり、言って。それじゃ、分からない」
うん。言い方が怖いです。
「えっとですね。去年の、藤城さんが助けてくれたっていう……」
「あぁ、気にしなくていいよ。強いて言えば偶然だから」
ぐ……偶然、ですか。なんだか少し違う気もしますが、それで納得しましょう。
って、あれ? 先ほど見かけて秘書さん。お腹大きくなかったような……。違和感の正体はこれでしょうか。この間お会いした時は大きなお腹で……産まれたとうことでしょうか。
「……お子さん産まれたんですか?」
「は?」
いやぁぁぁぁ!! また失言しちゃいましたよ! そして久しぶりのブリザードがぁぁぁ!!
「えっとですね! あの時! 妊娠してるって言ってた方が、おなかぺたんこになってたので!」
「……もし、仮に、あのあと、出産していたとしたら、今頃は産休の真っ最中だよ」
ほうほう。初耳です。
「もっとも、産まれてたとしても私の子じゃないけど」
何を根拠に。
「私の言葉は疑うくせに、あいつらの言葉はすぐに鵜呑みにする!」
そんなんじゃないですよ! いろいろと重なっただけですから。
「じゃあ、あの方たちの話が嘘だとして、何かメリットでも?」
旦那様にそう言うと、がっくりと肩を落とし、ソファに座るよう指示されました。
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