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距離の近づく猛暑日和

一緒に作業も楽しいです

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 慌ただしくも日常が過ぎ、ベランダ菜園の野菜も何度かお目見えしていたころ。

 旦那様が出張となりました。
 ほんと、いつものことです。取締役に名を連ねているからこそ出張なのかもしれませんが。

 その日はいつものように夕方の水やりがてら、受粉しておりました。
 いや、さすが高層マンション。虫来ないんですよ。おかげで、野菜食べたくば、人の手で受粉が必要なわけで。
 ついでですから、朝顔の種ができるようにそちらも受粉しようと思ったのですよ。
「……麻帆佳、何やってるの?」
 キッチンから見えるベランダ部分の朝顔を受粉していたら、旦那様が帰ってきましたよ。
「おかえりなさい。受粉です」
「受粉?」
「はい。そうしないと野菜が出来ないので」
 胡瓜も糸瓜もゴーヤも雄花と雌花があるんで、虫がいないところでは人工授粉必須です。
「そこ、野菜の場所じゃないよね」
「ついでなので、朝顔から種が取れればいいなって」
 朝顔は本当に趣味です。こういうのも悪くないんですよね。
「綿棒、そんなにいる?」
 ……気にするのそこですか?
「私もやろう。やり方教えて」
「え!?」
「麻帆佳が楽しそうにやってるからね」
 しゃあないですね。朝顔はともかく、ゴーヤとか上になっているやつをお願いしましょう。
「蔓毎に変えてるの?」
「そっちが胡瓜の蔓なんです。こっちがゴーヤ。混ぜないためです」
「雄花と雌花があるんだね。知らなかったよ」
 知っといてください。糸瓜なんて、小学校で育てたと思うのですが。
「さすがに三十年近く前のことだし、忘れちゃったよ」
 綺麗な笑顔で、そんなことを言われました。

 ついでなので、野菜の収穫をして晩御飯の支度をしましょう。今日はゴーヤチャンプルと、あと何にしましょうかね。
 そこまでやって気が付きました。千夏のお母さんに以前分けてもらったぬか床、結婚するときに捨てられていたということと、もらう約束をしてそのままになっているということに。
 胡瓜の糠漬けはあきらめて、浅漬けにして明日食べましょう。……ここのところ浅漬けと酢漬けばっかりでした。好きだからいいんですけどね。


 そんなことをしていたので、夏に旦那様との距離は近くなりました。
 植物効果万歳! と二人に言ったら、見事に叩かれましたが。

 でも、一緒に作業するというのは楽しかったです。


 だから、あんな「手紙」が来て、女性が来たとき頭が真っ白になりました。
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