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番外
三人娘の卒業旅行! 5
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「麻帆佳!!」
……幻聴でしょうか。旦那様のお声が。
「麻帆佳、幻聴やない。旦那さんホテルのロビーにおるで」
花音ありがとうございます。私にだけ聞こえた幻聴ではな……って苦しいですよ! 旦那様!!
「龍雅、麻帆佳が潰れる」
あっさり間に入ってきてくださったのは東輝さん。というか、お二人ともアメリカにいるはずですよね?
「これでも遅くなったんだけど。夕方だし」
そんな風にのたまいますが、東輝さん。仕事とか時差とか飛行機のチケットとか色々ありますよね。
「仕事は片せるものは片してきた。あとは高部に任せた」
「ちょっ!?」
「高部君も藤城君も快く出してくれたからね。時差は最悪飛行機の中で治せばいい。寝てればいいんだから」
「……問題はその飛行機のチケットだと思います、東輝さん」
「イギリス行った時は普通に航空会社使ったから知らなかったか。親父に自家用ジェット借りて飛んできた」
スケールが違い過ぎますよ! って誰が運転できる……お抱えのパイロットいらっしゃるんですね、もう何も言いますまい。
ちなみに、東輝さんはセスナなら自分で運転できるのだとか。そんな免許までお持ちだとは、いやはや驚きです。
あの場所では目立つということで、私たちが泊っているお部屋……ではなく会議室のようなところに全員で移動となりました。
「龍雅の怒りも凄かったが、うちの両親がな……」
東輝さん、なにゆえ黄昏ていらっしゃるのですか?
自家用ジェットを借りるのに、お父様とお母様に説明しなくてはいけなくなったらしく。かるーい説明でお二人ともガチギレしたらしく。「奴らに厳罰を与えるまで帰ってくるな」と言われたそうです。
……何というか、ご愁傷さまです。
「なのに、龍雅は厳罰に処さなくてもいいって言いだすし」
その言葉に、千夏と花音がぎろりと旦那様を睨みます。
「……あのねぇ、お二人にも電話で説明したけど、それで逆恨みされて困るの誰?」
「麻帆佳」
「だよね。だったら、逆恨みされない程度で、親がぎっちり監視する程度の処罰が一番いい。ついでに贅沢できなくすればそれでよし」
旦那様は、千夏と花音に言い聞かせるように説明をはじめました。
一応、あのヒトたちを名誉棄損で訴えるのは確定していらっしゃるとか。しかも、きっちり内容証明で弁護士事務所から届くようにするのだそう。その上で、裁判所からも通知が行くようにするとか。
その辺りは明日さんのお知り合いの弁護士さんに頼むそうですが。
「麻帆佳への名誉棄損に関しては、証人も多いしね。それにホテル側だって、馬鹿じゃない。営業妨害で損害賠償を求める手続きをするだろうさ。無論、恐喝で被害届を出していた方々もいらっしゃる上に、器物損害と公務執行妨害。保釈するにも色々手続きが必要になるわけだ。
とすると、普通の親なら子供に対して再教育くらいするだろうよ」
「しない場合は?」
千夏、煽らんでよろしい。
「それこそ一家全員社会的に抹殺されると思うよ。あとは堕ちるところまで堕ちるか。まぁ、調べただけでも、あの子たちは自分たちから堕ちていくんじゃないかな。そんな輩に、厳罰なんてしても意味がない。
まぁ、堕ちてった先でどんな目にあおうが私は知らない」
「え?」
「麻帆佳は知らないだろうけど、裏社会は裏社会で独自のルールがあるんだ。もし、それ故意に破ったとしたら……」
そこで旦那様は首に親指をあてて横に動かします。
「命があるだけましな状態になるんじゃない? よくて薬漬けとか」
……ぜんっぜんよくないのですが。
まぁ、相手方には持っている資産と、借入できるお金ギリギリで損害賠償を求めるそうです。
旦那様の後ろで今まで黙って聞いていらした、ホテルの支配人さんがいい笑顔で頷いております。
え? 旦那様のお話に乗るんですか? しかも会社の顧問弁護士ではなく、弁護団にお願いするんですか? スケール大きすぎです。
「当ホテルに限らず、客商売のところはイメージと噂であっという間に閑古鳥が鳴きますので。騒ぐにしても、あのような下品な騒ぎ方をなさる方には元々証拠をそろえて対応させていただいておりますので」
こっわ!!
そのにこやかな笑顔が猶更怖いですよ!!
夢の国を見てはしゃぐのは騒ぎに入らないのだとか。酔っぱらって器物を壊す方とかアメニティグッズ以外を持ち出す方とか、やたらクレームをつけてくる方に対して毅然と対応されていらっしゃるだけだとか。
「そういうホテルだから、麻帆佳たちの宿泊場所にしたはずなんだけどね」
「そうおっしゃっていただけて嬉しゅうございます。まぁ、時折ああいったお客様はいらっしゃいます。そういった場合にも当ホテルの法務部は動きますので」
被害届を出すか法的に訴えますよ? って言ってしまうわけですね。そしてそれを無視した場合は、無論訴えたり、被害届を出すのですね。訴えられた側が文句を言ってきた場合は、あっさりと防犯カメラ等を提出してしまえば、どちらが悪いかが分かってしまうと。
「無論、その辺りはお分かりいただいて泊っていただけていると思っておりますので」
……それでチェックインした時に誓約書のようなものにサインをしたわけですね。ホテル側も、そういった個人情報は警察への提供、裁判に利用する以外では使用しないという文言を書いて。
「法的手段まで行くことは、滅にございませんが」
夢の国開園と同時に出来てたこのホテル、経営者が変わり、このような体制になってから数件目だそうです。……珍しいということですね、分かります。
そんな絡まれ方したくなかったです。
……幻聴でしょうか。旦那様のお声が。
「麻帆佳、幻聴やない。旦那さんホテルのロビーにおるで」
花音ありがとうございます。私にだけ聞こえた幻聴ではな……って苦しいですよ! 旦那様!!
「龍雅、麻帆佳が潰れる」
あっさり間に入ってきてくださったのは東輝さん。というか、お二人ともアメリカにいるはずですよね?
「これでも遅くなったんだけど。夕方だし」
そんな風にのたまいますが、東輝さん。仕事とか時差とか飛行機のチケットとか色々ありますよね。
「仕事は片せるものは片してきた。あとは高部に任せた」
「ちょっ!?」
「高部君も藤城君も快く出してくれたからね。時差は最悪飛行機の中で治せばいい。寝てればいいんだから」
「……問題はその飛行機のチケットだと思います、東輝さん」
「イギリス行った時は普通に航空会社使ったから知らなかったか。親父に自家用ジェット借りて飛んできた」
スケールが違い過ぎますよ! って誰が運転できる……お抱えのパイロットいらっしゃるんですね、もう何も言いますまい。
ちなみに、東輝さんはセスナなら自分で運転できるのだとか。そんな免許までお持ちだとは、いやはや驚きです。
あの場所では目立つということで、私たちが泊っているお部屋……ではなく会議室のようなところに全員で移動となりました。
「龍雅の怒りも凄かったが、うちの両親がな……」
東輝さん、なにゆえ黄昏ていらっしゃるのですか?
自家用ジェットを借りるのに、お父様とお母様に説明しなくてはいけなくなったらしく。かるーい説明でお二人ともガチギレしたらしく。「奴らに厳罰を与えるまで帰ってくるな」と言われたそうです。
……何というか、ご愁傷さまです。
「なのに、龍雅は厳罰に処さなくてもいいって言いだすし」
その言葉に、千夏と花音がぎろりと旦那様を睨みます。
「……あのねぇ、お二人にも電話で説明したけど、それで逆恨みされて困るの誰?」
「麻帆佳」
「だよね。だったら、逆恨みされない程度で、親がぎっちり監視する程度の処罰が一番いい。ついでに贅沢できなくすればそれでよし」
旦那様は、千夏と花音に言い聞かせるように説明をはじめました。
一応、あのヒトたちを名誉棄損で訴えるのは確定していらっしゃるとか。しかも、きっちり内容証明で弁護士事務所から届くようにするのだそう。その上で、裁判所からも通知が行くようにするとか。
その辺りは明日さんのお知り合いの弁護士さんに頼むそうですが。
「麻帆佳への名誉棄損に関しては、証人も多いしね。それにホテル側だって、馬鹿じゃない。営業妨害で損害賠償を求める手続きをするだろうさ。無論、恐喝で被害届を出していた方々もいらっしゃる上に、器物損害と公務執行妨害。保釈するにも色々手続きが必要になるわけだ。
とすると、普通の親なら子供に対して再教育くらいするだろうよ」
「しない場合は?」
千夏、煽らんでよろしい。
「それこそ一家全員社会的に抹殺されると思うよ。あとは堕ちるところまで堕ちるか。まぁ、調べただけでも、あの子たちは自分たちから堕ちていくんじゃないかな。そんな輩に、厳罰なんてしても意味がない。
まぁ、堕ちてった先でどんな目にあおうが私は知らない」
「え?」
「麻帆佳は知らないだろうけど、裏社会は裏社会で独自のルールがあるんだ。もし、それ故意に破ったとしたら……」
そこで旦那様は首に親指をあてて横に動かします。
「命があるだけましな状態になるんじゃない? よくて薬漬けとか」
……ぜんっぜんよくないのですが。
まぁ、相手方には持っている資産と、借入できるお金ギリギリで損害賠償を求めるそうです。
旦那様の後ろで今まで黙って聞いていらした、ホテルの支配人さんがいい笑顔で頷いております。
え? 旦那様のお話に乗るんですか? しかも会社の顧問弁護士ではなく、弁護団にお願いするんですか? スケール大きすぎです。
「当ホテルに限らず、客商売のところはイメージと噂であっという間に閑古鳥が鳴きますので。騒ぐにしても、あのような下品な騒ぎ方をなさる方には元々証拠をそろえて対応させていただいておりますので」
こっわ!!
そのにこやかな笑顔が猶更怖いですよ!!
夢の国を見てはしゃぐのは騒ぎに入らないのだとか。酔っぱらって器物を壊す方とかアメニティグッズ以外を持ち出す方とか、やたらクレームをつけてくる方に対して毅然と対応されていらっしゃるだけだとか。
「そういうホテルだから、麻帆佳たちの宿泊場所にしたはずなんだけどね」
「そうおっしゃっていただけて嬉しゅうございます。まぁ、時折ああいったお客様はいらっしゃいます。そういった場合にも当ホテルの法務部は動きますので」
被害届を出すか法的に訴えますよ? って言ってしまうわけですね。そしてそれを無視した場合は、無論訴えたり、被害届を出すのですね。訴えられた側が文句を言ってきた場合は、あっさりと防犯カメラ等を提出してしまえば、どちらが悪いかが分かってしまうと。
「無論、その辺りはお分かりいただいて泊っていただけていると思っておりますので」
……それでチェックインした時に誓約書のようなものにサインをしたわけですね。ホテル側も、そういった個人情報は警察への提供、裁判に利用する以外では使用しないという文言を書いて。
「法的手段まで行くことは、滅にございませんが」
夢の国開園と同時に出来てたこのホテル、経営者が変わり、このような体制になってから数件目だそうです。……珍しいということですね、分かります。
そんな絡まれ方したくなかったです。
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