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カオスから尊厳へ

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「まったく、勝手に休みにするとは一体どういうことです。麻帆佳さんのきちんとした・・・・・・了承も取らずに」
「……麻帆佳の了承は……」
「それは事に及ぶ前ですか? 後ですか?」
 お義母様の言葉に旦那様が視線をそらしました。……道理で私も休みを了承した記憶がないと思いましたよ。まぁ、こうなってしまった手前明日謝罪するしかないですが。
「このけだものが!! 今日一日麻帆佳さんに近づくことを禁止いたします! その間麻帆佳さんはわたくしと若菜さんが一緒にいます!」
「お義母様、それいいですわね。外商を呼びましょうか。それとも……」
「お買い物に決まっているでしょう? お店で見て選びたいもの!」
 ……何を選ばれるのでしょう。
「それに三人でお茶して、ランチを食べてくる! これで決まりですわね」
 お二人がはもってそんなことをおっしゃります。お茶ですか。
「……盛り上がっているところ悪いけど、若菜さん、つむぎさん」
 お義父様がお二人に話しかけました。
「我ら夫のことは放置? やっと休みが取れたのに」
「仕方ありませんね。龍雅以外はよしといたしましょう。龍雅は本日お仕事しなさいな」
「ちょっ!?」
「自業自得というものですよ。厳原家に嫁いだ奇特な女性をこのような目に合わせたのですから」
「……それってさ、祖母さんと母さんのせいもあると思うけど」
 甥っ子さんの言葉にお義母様とお義姉様が、「文句あるのか」と言わんばかりに睨みを聞かせております。……やっぱり美形さんがそういう顔をすると怖いです。
「だってさ、二人新婚だろ? その間を姑と小姑が邪魔するってどうよ」
「……私もその通りだと思うねぇ。私だっていつも紬さんと一緒にいたいし」
「そういう問題ではありませんのよ」
 そういい返すものの、お義母様は耳まで真っ赤です。
「こほん、ではこうしましょう。仕方ありませんわね。お休みにしてしまったのはどうしようもありませんし。皆で出かけましょう」
「祖母さん! 人の話聞いてた!?」
「だったらお前は来なくてよろしい。その代り、お前の恋人をお借りしますよ」
「……え゛?」
 甥っ子さんの言葉に対して、お義母様はどこ吹く風。
「いいじゃない。女子会! 憧れてたのよ!」
 お義姉様も同様のようです。

 そのままどこかへ電話なさってます。
「あ。いちごちゃん? これから龍雅さんのお嫁さんと、お義母様と女子会をするの。いちごちゃんもいかが?」
「ちょっ……なんで母さんがいちごの連絡先知ってんの!?」
「若菜に隠したつもりだろうが、そうはいかないと思うぞ。逆に色々・・調べた上に、何度かこっそり会ってる」
 甥っ子さんの肩をポンと叩いて、お義兄様がおっしゃいます。それって慰めになるんでしょうか。
「父さん止めてよ!!」
「……私で止められるなら、とっくに止めてる。お前の幼少期の恥ずかしい写真の流出を避けただけ、頑張ったと褒めて欲しい」
 またしてもカオスです。どうやら厳原家はお義母様とお義姉様のお力が強いようです。
「……確実に、いちごちゃんのほうが年齢近いわよ~~。…………そう、なら一時間後にうちに来て」
「ちょっと待ってーー!! いちご! これから俺たちデートだよね!?」
 お義母様の携帯を奪って甥っ子さんが叫んでいますよ。
「……え!? ちょっ……それないっ! 俺だって久しぶりにいちごと一日一緒にいたい!!」
 その言葉に食らいついたのがお義母様とお義姉様。二人何やらひそひそと話しております。

 ……一時間後。女装・・して疲れ果てた甥っ子さんがいたことだけ報告しておきます。
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