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起きてびっくりな朝

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 翌日のお祝いには、何故かお義父様もご一緒なさるとおっしゃって、お義母様、お義姉様と旦那様という豪華な顔ぶれになりました。お兄様はお義父様に仕事を押し付けられて恨みがましい目で見ていた……ような気がします。気のせいかもしれませんが。

 喫茶店で知ったことですが、マスターとお義姉様はお知り合いなんだそうです。大学がご一緒だったとか。
「何か安心しちゃったわ。あなたのお店だったのね」
 お義姉様がマスターに向かってそんなことを言ってます。
「覚えていていただき至極光栄に存じます、女王陛下」
「その呼び名やめてよ!」
「呼び始めた当人と結婚しているのだから、大丈夫かと思ったのですが」
 マスターがにやりと笑ってそんな返しをしているあたり、かなり仲がいいのでしょうか。
「改めさせました」
 なんだかコントのようです。奥さんも吹いております。
「あ、麻帆佳ちゃん。女王陛下ってのは悪い意味じゃなくて、いい意味でなの。彼女、それまで女王扱いされていた我が侭な人をぶった斬った挙句、いい意味で風紀をまとめちゃって」
 奥さんもご存じな由来ですか!? びっくりです。
「それで呼ばないでぇぇ!」
 お義姉様が絶叫しております。どうやら黒歴史に近いものがあるんですね。

 お店の常連さんの中にも、お義姉様のお知り合いもいたらしく、かなり驚かれました。ってか、私の方が驚きましたよ! 旦那様を知っている方もいらっしゃるらしく、克人さん紹介で始めたバイトだったんですが、びっくりです。
「あのむっつりのお相手が麻帆佳ちゃんかぁ」
 マスターのお知り合いが意味深なことを言い出しましたよ。
 旦那様むっつりなんですか!?
「そうそう、思い人がいるとかって、言い寄る人物全員ことごとく振ってたしね」
 別の方からも情報が。その方が愛人さんなんですね。その方と結婚できないから、愛人にして私と結婚したと。いい情報ありがとうございます。
「女王陛下からの情報だと、色々と訳アリみたいだったからねぇ」
 訳アリですか、そうですか。この方、わざとらしくお義姉様を見て言ってますよ。
「だからそっちでもその呼び名で呼ばないでぇぇぇ!!」
 お義父様とお義母様が温かい目でお義姉様を見ております。
「だからね、あいつら・・・・を出禁にしたところで痛くも痒くもないの。というか、あのハイエナどもは……ってハイエナに失礼よね。あの連中は、ここにいるやつらに媚び売ったり、玉の輿やら逆玉を狙ったりしていたのよ」
 奥さんの台詞に硬直です。
 初耳ですよ。だから長時間居座ったりしてたんですね。納得です。私がバイトで入る前から入り浸っていたらしく、でも出禁にするまでの問題を起こさなかったとか。
 だから、私が入って無銭飲食に近いことをしたので、これで出禁に出来るとほくそ笑んでいたそうですよ。……したたかです。

 そのあともわいわいと楽しく話して、終わりました。

 時間はあっという間に過ぎてしまいました。
 お義母様とお義姉様はお買い物があるとかで、別行動です。旦那様と二人きりです。話すこともないので、静かです。……眠くなってきました。
 寝ちゃいけません。……ねちゃ……いけま……せ……ん。


 何だか動きにくいです。がっちりホールドされた感じがあるんですが。
「!!」
 声を挙げなかった私を褒めてください! 何故か腕枕してます。ってか後ろにいるの誰ですか!?

 いやぁぁぁ!! 初のご尊顔です! 寝顔です。旦那様の寝顔ですよ! どうしてですか!
「……起きたようですね。おはようございます」
「……オハヨウゴザイマス」
 ……えっとどうしてこうなったか、ご説明願えませんか?

 どうやら車の中で眠ってしまった私を、旦那様が寝室まで運んでくれたようです。で、そのまま起こすのに忍びなく、腕枕して寝たのだとか。
 起こしてくれてよかったんですが。誤解を招く行動というのはどうかと思うわけですよ。
 愛人さんにも悪いですし。
「……愛人?」
 不思議そうな顔をしてますが、憶測ですがいますよね。

 バイトに行くのにお義姉様が「送っていくから~~」と楽しそうにおっしゃってくれたので、甘えることにします。朝の出来事は黙っておくことにします。
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