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番外編
7 お酒 後※
しおりを挟む――――――――クライヴ 視点
「クライヴさま……?」
俺は少し、やり過ぎてしまったかもしれない。
シュリエルは白いナイトガウンが少しはだけているのにも気付かぬまま、今まで酒を疎んでいたなどは微塵も感じさせない勢いで飲んでいた。
何度かやんわりと止めたのだが、やんわりと躱され、気づけば瓶の半分もない。
確かにこの酒は極上の逸品ではある。だが、こんな勢いで飲むものではない。俺は強めに静止をかけた。
「シュリエル、そろそろ辞めにしよう。初めての飲酒なんだ、身体に負担が……」
「え?まだまだ、大丈夫ですよ?ぼくは、水のせいじゃ、ですからね?お酒も、水ですから、ぼくはもっとよく知って……学ばなければ」
そう言うシュリエルの瞳は、いつになく読めなかった。おかしい。アクアマリンの美しい目が、坐っているような気がする。
やはり、止めておこう。ここはシュリエルが使用人を掌握しているため安全ではあるが、その本人がこんな姿でふらふら出てしまえば意味はない。
そう思って酒瓶を遠ざけると、シュリエルは『あっ』という顔をした。悲しそうに眉尻を下げたのだ。
俺は、シュリエルのその顔に弱い。
しかし初めての彼にはもう多すぎる飲酒量。ぐっ、と心を鬼にして酒瓶を腕輪収納にしまった時だった。
「クライヴさま、なんだか、あつい、ですね……」
シュリエルは、おもむろにナイトガウンを脱ぎ出した。
剥き出しになった上半身は、俺の知っているものより赤く火照っていた。汗ばんだのか、肌の透明度が増して艶々と美味しそうで。
酒によって血行が良くなったのか、頬も唇も胸の飾りも、艶々と赤く染まって俺を誘い、潤んだ瞳が挑発的に俺を見据えている。
……シュリエルには公の場で酒を飲ませないことを決心した。
「あ、いいこと、思いつきました、ぼく」
少し舌ったらずのあどけない声で、シュリエルは卓上の蜜――酒のつまみに、ジタリヤがガレットと共に用意したもの――を掴んだ。……何を?
「ねぇ、クライヴさま……、勝負、しましょう。この一晩、クライヴさまはぼくを襲うのを『我慢』して下さい。ぼくを襲ったら、ぼくの勝ち。そしたらさっきのお酒の残りを出してください……ね?もしがまんできましたら、なんでも一つ、おねがいをきいて差し上げます」
「シュリエル……?」
「たまには、遊ぶのも……いいでしょう?」
何をするのか、と見ていると。
その壺を逆さにし、たらたらと自身の鎖骨に注いでいく。
俺は、ただ、目を最大限広げて見つめるしかなかった。
うっそりと笑ったシュリエルは、壮絶な色気を湛えていた。
一瞬頭が真っ白になりかけ、深呼吸して取り戻す。その勝負、俺はとても不利だ。いつもいつも襲っているのは俺だし、というか、もう既に身体が熱い。どこでそんな技を仕入れてきたのか?ジタリヤではあるまいな。
しかし、『なんでも一つ願いを聞いてくれる』のは……非常に、興味深い。普段のシュリエルなら理性が優ってやってくれないこと、か。
ふむ。その勝負、勝つしかない。
みるみる内に白く華奢なシュリエルの鎖骨の皿へ、金色に輝く蜜が溜まっていく。
そこから一筋だけ垂れた蜜は、ピンクの乳首を彩るように流れて落ちて。
「クライヴさま……、ぼくの、お皿で、食べてくれます?」
最後のグラスを持ち上げながら、見たことのないシュリエルの挑発的な微笑み。
それは俺を滾らせるのに十分だった。
じゅゔぅっ!
綺麗なシュリエルの鎖骨に齧り付く。舐め尽くすように、柔らかで薄い肌を思う存分に味わい、蜜の案内に従って下へ降りると、甘い乳首が待っていた。
「んッ……は、あ、……ん……っ!」
シュリエルの声が、腰に響く。今すぐにでも突き入れたい気持ちを必死に抑え、コリコリといじらしい胸の粒を愛でる。
すると。シュリエルの足の先が、俺の中心、雄の象徴のあたりを弄る!
思わずびくりと動きを止め、シュリエルを見上げると。
爪先を使ってすーっと、俺の太もものあたりを弄んでいる。……悪くない。どころか、大変結構である。
しかし、恍惚とした俺を叱咤するように、シュリエルは自分のガウンをキツく閉めてしまった。
「少し、冷えてしまいました。クライヴさま、ぼくの脚、もみもみして……?」
シュリエルが、その形の良い脚をすらりと持ちあげ、俺の膝に乗せる。お願いの体をしているが、その顔には恍惚とした優越感があった。
そうだ。俺にとって、シュリエルの足は興奮材料だということを、よく分かっている。
完全なるご褒美だった。何か考える前に、シュリエルの白くて形の良い脚を掲げ持つように触れる。
そっと、優しく、摩って。最初は弱く、次第に、強く。
滑らかな肌に直に触れたくなって舐めると、『んんッ……』と吐息が漏れるようだ。下から徐々にちろちろと愛撫をし、鼠蹊部にたどり着いた時には、シュリエルは息も絶え絶えに、涙目で俺を見つめていた。
「んっ、んっ、んぁっ、ああッ……!」
「何故拒む?君も、欲しくなっているだろう?……ココに」
シュリエルの薄い腹をぐっと押す。確実に、きゅんと締まったはずだ。少しビクついた彼の腹筋が物語る。
このきゅっとくびれた細い腰がたまらなく好きだ。もちろんそこから小尻にかけての曲線も。その先も全部。
「だって……っ、クライヴさま、我慢はっ?」
「君をイかせる分は問題ないだろう?」
そのままガウンを捲って、シュリエルの芯をペロリと舐めしゃぶる。やはり、甘い。先ほどの蜜の後味も混ざって、最高級の酒の当てだ。
「えっ……あ、あ、――っ」
シュリエルは、俺の顔を見つめたまま、達した。
こぽこぽと涎を垂らす花芯が愛おしくて、全てを飲み干す。何度もしているこの行為に、恥いったシュリエルは引き剥がすように俺の頭をかき抱くのだ。
肩で息をして、放った後の余韻でぼうっとしているシュリエル。
……こんなに、可愛らしい存在がいていいのか?
「ああっ……!」
蕾に指を潜らせると、すっかり潤みきっている秘壺。ひくひく、きゅうきゅうと誘うように、俺の指を締め付けている。本人は涙目で首を横に振っているが、そんな頬を赤らめて、びくびくと震えているシュリエルを見て、襲わずにいられる男がいるはずもない。
もっと深みに、堕としたい。
シュリエルは、俺のモノなのだから。
頭の中にはもう、それしか残っていなかった。
早く早くと追い立てられるように己の雄を当てがおうとして、はたと止まった。シュリエルの手が、阻んでいる……?
「はっ、はっ……、あ、だめ、クライヴさま。今日は、がまん、なの……っ」
「なん……っ!」
拷問かっ?
いや、違った。そういえば俺はここに入ってしまうと負けてしまうのだった。一瞬で忘れていた。
しかしもう限界も限界。そうだ、それなら……。
「では、君は俺に抱かれるのを我慢できるのか……?出来なければ、君の負けだぞ」
「できます……っ!そのくらい、かんたんで……んんッ!」
言質を取った。ニヤリと笑う。
酔っているシュリエルは、問題がすり替えられたことに気づいていない。
これで俺はシュリエルを抱ける上、勝負にも勝てる。
俺の雄の心に火がついた。手の先から爪先まで、丹念に丁寧に愛撫しつくしてやる。後悔をしてももう遅い。彼が泣き叫んだとしても、止めない。そのぷりっとした小尻を開き蕾を曝け出して、『どうぞ』するまで。
その対決は深夜までかかり、
『クライヴさま、もう、来』
で突き入れた俺は、僅差で勝利を勝ち取ったと……言えるだろう。いや、そうに違いない。
少し強気なシュリエルに翻弄された俺は、いつも以上に燃え上がったのだった。
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