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「ええと」
「イーサンが日曜日、エリオットが土曜日の魔術師よぉ。ユウイチ君を呼びつけたのは、イーサンのほうね」
そうですか、とユウイチは頷いた。
「魔術師ってね、変な人が多いのよぉ。自分の欲に忠実な人が多いとも言えるかしら。エリオットはまだまともだけど、イーサンはなかなかに癖が強いから、頑張ってねぇ」
何を頑張れっているんだろうか。
まあ、会って喋るだけで疲れる相手であることは間違いない。そういう意味では、とりあえず頑張れという言葉はあながち間違いでもないのかも知れねぇな。
走行しているうちに、馬車はセントラルへと到着した。
腕のいい行者だったな、と思う。揺れも、遅れもほとんどなかった。
「さて、じゃあ中央魔術師会の建物へ行きましょうか」
グレイシアがそういうと、「いらっしゃーい!」と声をかけられる。
嫌な予感…というより声で相手を理解して、俺は思わずため息をついた。
「イーサン、お前、呼び出したならちゃんと待ってろよ……」
そう、そこにいたのは俺たちを呼び出した張本人。日曜日の魔術師であり、この国の魔術師のトップである、イーサンだった。
「キミ達があの門を潜った時点で、あ、到着したなーってわかるもん。どうせならちょっとしたドッキリがあってもいいじゃない?あっきみがマンディのマスター?へぇ、結構可愛い顔してるじゃない。いいねいいね、やっぱ顔も大事だよね!初めまして、僕はイーサン。日曜日の魔術師だよ、よろしくね‼︎さあ、じゃあ早速ホテル行こうか!いい部屋とったんだー。みんなで来るって分かったから結構広めで部屋数の多いところとってあるから安心してね!ああ、そうだ、エリオットも後で来るって」
いつ会っても、イーサンは変わらない。この怒涛のノンストップおしゃべりだ。
こいつが言った【門】と言ったのは、こいつがセントラルに貼っている結界のことだ。それだけ、ポカンと圧倒されているユウイチに伝える。ユウイチは、
「あ、え、そうですか…?」と返事をした。
俺たちが馬車内で張っていた防音の魔術は解いていたが、こう見えて抜け目のないイーサンはちゃんと自分でそれを張ってから、なおかつ認識阻害の魔術も重ねてからの突撃だったようで、こんなに曜日の魔術師がぞろぞろと集まっていても、周りは気にする様子もなかった。そうして、すぐそこだからと徒歩でイーサンの言うホテルまで移動する。
「サンディはどうしたんだよイーサン」
「ホテルで待ってもらってるよー!サンディも早くマンディとそのマスターに会いたがっていたけど、今ちょっとサンデー怪我しててさー。めだっちゃうから置いてきた」
「怪我?」
「そ。まあ、そのへんも含めてホテルについてから詳しく教えるよ!ところでユウイチくんだっけ、誰に魔術教わりたいか決めてる?決めてないなら僕おすすめだよ!なんてったってこの国で最強の魔術師だからね‼︎まあ、でも正直教えるの下手というか、教えようとしたらみんな逃げちゃうからおすすめっていったけどおすすめじゃないかも!ヤンよりはマシだと思うけど、あっはっはっは」
「は、はぁ…」
助けて、というでもように俺を見るなユウイチ。
ホテルに着くまでの五分程、どこで息をしているのかというスピードで喋り続けるイーサンを、ヤンは無視して、俺とグレイシアは聞き流し、ユウイチだけは困惑しながらもすべてちゃんと聞いていた。
「イーサンが日曜日、エリオットが土曜日の魔術師よぉ。ユウイチ君を呼びつけたのは、イーサンのほうね」
そうですか、とユウイチは頷いた。
「魔術師ってね、変な人が多いのよぉ。自分の欲に忠実な人が多いとも言えるかしら。エリオットはまだまともだけど、イーサンはなかなかに癖が強いから、頑張ってねぇ」
何を頑張れっているんだろうか。
まあ、会って喋るだけで疲れる相手であることは間違いない。そういう意味では、とりあえず頑張れという言葉はあながち間違いでもないのかも知れねぇな。
走行しているうちに、馬車はセントラルへと到着した。
腕のいい行者だったな、と思う。揺れも、遅れもほとんどなかった。
「さて、じゃあ中央魔術師会の建物へ行きましょうか」
グレイシアがそういうと、「いらっしゃーい!」と声をかけられる。
嫌な予感…というより声で相手を理解して、俺は思わずため息をついた。
「イーサン、お前、呼び出したならちゃんと待ってろよ……」
そう、そこにいたのは俺たちを呼び出した張本人。日曜日の魔術師であり、この国の魔術師のトップである、イーサンだった。
「キミ達があの門を潜った時点で、あ、到着したなーってわかるもん。どうせならちょっとしたドッキリがあってもいいじゃない?あっきみがマンディのマスター?へぇ、結構可愛い顔してるじゃない。いいねいいね、やっぱ顔も大事だよね!初めまして、僕はイーサン。日曜日の魔術師だよ、よろしくね‼︎さあ、じゃあ早速ホテル行こうか!いい部屋とったんだー。みんなで来るって分かったから結構広めで部屋数の多いところとってあるから安心してね!ああ、そうだ、エリオットも後で来るって」
いつ会っても、イーサンは変わらない。この怒涛のノンストップおしゃべりだ。
こいつが言った【門】と言ったのは、こいつがセントラルに貼っている結界のことだ。それだけ、ポカンと圧倒されているユウイチに伝える。ユウイチは、
「あ、え、そうですか…?」と返事をした。
俺たちが馬車内で張っていた防音の魔術は解いていたが、こう見えて抜け目のないイーサンはちゃんと自分でそれを張ってから、なおかつ認識阻害の魔術も重ねてからの突撃だったようで、こんなに曜日の魔術師がぞろぞろと集まっていても、周りは気にする様子もなかった。そうして、すぐそこだからと徒歩でイーサンの言うホテルまで移動する。
「サンディはどうしたんだよイーサン」
「ホテルで待ってもらってるよー!サンディも早くマンディとそのマスターに会いたがっていたけど、今ちょっとサンデー怪我しててさー。めだっちゃうから置いてきた」
「怪我?」
「そ。まあ、そのへんも含めてホテルについてから詳しく教えるよ!ところでユウイチくんだっけ、誰に魔術教わりたいか決めてる?決めてないなら僕おすすめだよ!なんてったってこの国で最強の魔術師だからね‼︎まあ、でも正直教えるの下手というか、教えようとしたらみんな逃げちゃうからおすすめっていったけどおすすめじゃないかも!ヤンよりはマシだと思うけど、あっはっはっは」
「は、はぁ…」
助けて、というでもように俺を見るなユウイチ。
ホテルに着くまでの五分程、どこで息をしているのかというスピードで喋り続けるイーサンを、ヤンは無視して、俺とグレイシアは聞き流し、ユウイチだけは困惑しながらもすべてちゃんと聞いていた。
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