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第25話『ただ、お話をしたいなと考えているのです』②
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「陰魔さん」
「マーセ!!」
「あー。マーセさん」
「なぁに!? 私のお姫様! あれ? この場合だと私が王子様になるの!? どうしよう。私、王子様なんてやった事ない! どうすれば良いの!? でもお姫様にリードされる王子様なんて私の理想じゃない!! そう! 王子様は格好良くて完璧でいつだってお姫様を導いていて……」
「あの。まず訂正したいんですが、私、お姫様じゃありません」
「嘘だ!!!!!」
マーセさんの声の勢いで、家が揺れ、外で鳥が飛び去って行く音が聞こえた。
「ど、どどどどどうしてそんな嘘を吐くのかなぁ! カナカナカナァ!」
「いえ。嘘ではなくて、ですね」
「うしょだ!! だって、そんなに綺麗でお姫様じゃなかったらなんだっていうの!? 生まれた瞬間からプリンセスフォームで生まれてきたみたいな見た目してぇ! レインボーバーストしながら産声を上げたんでしょぉおお!?」
「お待ちなさい! マーセ!」
「この声は! お姉様!!」
どこから聞こえてきた声に、私はその声がしているであろう方へ目を向けると、怪しげな仮面を付けた人が腕を組みながらやたら大きな窓の向こうに立っていた。
窓はおそらく勝手に開かれている。
「生まれた時からプリンセスな方なんて居ないわ! 皆、絶望を抱えながらも希望と共に夢を追いかけて本当のプリンセスになるハズよ!! つまり、彼女もそうなのだわ!」
新しく現れた陰魔さんは、やや高い窓を乗り越えて中に入ろうとしたが、足を引っかけてしまい部屋の中に転びそうになってしまった。
私は咄嗟に風の魔術を使って移動して、その新しく現れた陰魔さんを支える。
「っ!!!?」
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ、貴女は、もしや私のお姉様?」
「え?」
「そんな! お姉様のお姉様だなんて、薔薇さまだと言うの!? では、お姉様は」
「私は薔薇のつぼみという事になるわ。そしてマーセ! 貴女は薔薇のつぼみの妹よ!!」
「なんて事!! 私、まだまだお姉様方から遠い存在だったのですね!?」
「いいえ。そんな事ないわ。マーセ。貴女もいずれ一輪の薔薇になるのですから」
「お姉様!!」
なんだこれ?
もうここまで来ると彼女たちが何を話しているのかさえ分からない。
完全に置いてきぼりである。
しかし、長い間見てなかった間に陰魔さん達も独特の文化を築いているんだなと感慨深い気持ちになる。
楽しそうだし。
多分良い事なんだろう。
「マーセ!!」
「あー。マーセさん」
「なぁに!? 私のお姫様! あれ? この場合だと私が王子様になるの!? どうしよう。私、王子様なんてやった事ない! どうすれば良いの!? でもお姫様にリードされる王子様なんて私の理想じゃない!! そう! 王子様は格好良くて完璧でいつだってお姫様を導いていて……」
「あの。まず訂正したいんですが、私、お姫様じゃありません」
「嘘だ!!!!!」
マーセさんの声の勢いで、家が揺れ、外で鳥が飛び去って行く音が聞こえた。
「ど、どどどどどうしてそんな嘘を吐くのかなぁ! カナカナカナァ!」
「いえ。嘘ではなくて、ですね」
「うしょだ!! だって、そんなに綺麗でお姫様じゃなかったらなんだっていうの!? 生まれた瞬間からプリンセスフォームで生まれてきたみたいな見た目してぇ! レインボーバーストしながら産声を上げたんでしょぉおお!?」
「お待ちなさい! マーセ!」
「この声は! お姉様!!」
どこから聞こえてきた声に、私はその声がしているであろう方へ目を向けると、怪しげな仮面を付けた人が腕を組みながらやたら大きな窓の向こうに立っていた。
窓はおそらく勝手に開かれている。
「生まれた時からプリンセスな方なんて居ないわ! 皆、絶望を抱えながらも希望と共に夢を追いかけて本当のプリンセスになるハズよ!! つまり、彼女もそうなのだわ!」
新しく現れた陰魔さんは、やや高い窓を乗り越えて中に入ろうとしたが、足を引っかけてしまい部屋の中に転びそうになってしまった。
私は咄嗟に風の魔術を使って移動して、その新しく現れた陰魔さんを支える。
「っ!!!?」
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ、貴女は、もしや私のお姉様?」
「え?」
「そんな! お姉様のお姉様だなんて、薔薇さまだと言うの!? では、お姉様は」
「私は薔薇のつぼみという事になるわ。そしてマーセ! 貴女は薔薇のつぼみの妹よ!!」
「なんて事!! 私、まだまだお姉様方から遠い存在だったのですね!?」
「いいえ。そんな事ないわ。マーセ。貴女もいずれ一輪の薔薇になるのですから」
「お姉様!!」
なんだこれ?
もうここまで来ると彼女たちが何を話しているのかさえ分からない。
完全に置いてきぼりである。
しかし、長い間見てなかった間に陰魔さん達も独特の文化を築いているんだなと感慨深い気持ちになる。
楽しそうだし。
多分良い事なんだろう。
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