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第13話『今日私たちが来た事は、忘れて下さい』③
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「分かりました。では、大丈夫です」
「は?」
「リアムさんも、フィンさんも、カー君も、キャロンさんも、何もしなくても大丈夫です。私が全て終わらせます。こんな使命も何もかも」
「お前……何言って」
「私は皆さんと違って、使命感があります! 果たさねばならぬという責任も感じております。ですから、私一人が居れば十分です。これまでの歴史上、二人、三人で封印した例もあります。ですから今回私が一人で封印するとしても、それほどおかしな事では無いでしょう」
そう。そうなのだ。
キャロンさんにも言った通り、やりたくない人はやらなくても良い。
行きたくない人は行かなくても良い。
この世界を護りたい人が護れば良い。
ただ、それだけの話だと私は思う。
「一人で行くつもりか」
「はい」
「出来る訳がない。魔物はどうする」
「共に行ける人を探します。護衛として雇って、現地では私が一人でやります」
「出来る訳が無い」
「出来ます! やってみせます! 私にはそれだけの覚悟がありますから!」
「どうして……? アメリア。貴女はどうしてそんなに強くあれるの?」
キャロンさんの問いに、私は始まりの日を思い出していた。
何も見えない暗闇の中で、ただ一人、家族も兄弟も友人も誰も居ない世界で、このまま終わると思っていた世界の果てで出会った光を。
私の世界を照らしてくれた光を。
生きるという喜びを教えてくれたリリィを、幸せをくれたあの子に。リリィに私は貰った全てを返したいから。
「私はこの世界を護りたいから。ただ、それだけです」
「……アメリア」
「だから、皆さんは日常へ帰って下さい。今日までありがとうございました」
私は深々と頭を下げてから、元に戻り、笑う。
あの日私を照らした光、大切な妹の様な笑顔を。
「は?」
「リアムさんも、フィンさんも、カー君も、キャロンさんも、何もしなくても大丈夫です。私が全て終わらせます。こんな使命も何もかも」
「お前……何言って」
「私は皆さんと違って、使命感があります! 果たさねばならぬという責任も感じております。ですから、私一人が居れば十分です。これまでの歴史上、二人、三人で封印した例もあります。ですから今回私が一人で封印するとしても、それほどおかしな事では無いでしょう」
そう。そうなのだ。
キャロンさんにも言った通り、やりたくない人はやらなくても良い。
行きたくない人は行かなくても良い。
この世界を護りたい人が護れば良い。
ただ、それだけの話だと私は思う。
「一人で行くつもりか」
「はい」
「出来る訳がない。魔物はどうする」
「共に行ける人を探します。護衛として雇って、現地では私が一人でやります」
「出来る訳が無い」
「出来ます! やってみせます! 私にはそれだけの覚悟がありますから!」
「どうして……? アメリア。貴女はどうしてそんなに強くあれるの?」
キャロンさんの問いに、私は始まりの日を思い出していた。
何も見えない暗闇の中で、ただ一人、家族も兄弟も友人も誰も居ない世界で、このまま終わると思っていた世界の果てで出会った光を。
私の世界を照らしてくれた光を。
生きるという喜びを教えてくれたリリィを、幸せをくれたあの子に。リリィに私は貰った全てを返したいから。
「私はこの世界を護りたいから。ただ、それだけです」
「……アメリア」
「だから、皆さんは日常へ帰って下さい。今日までありがとうございました」
私は深々と頭を下げてから、元に戻り、笑う。
あの日私を照らした光、大切な妹の様な笑顔を。
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