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第5話『私が行かねば他の方が危険な目に遭うだけです』①
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リアムさんから絶対に出るなと言われた部屋の中で大人しくしていた私だったのだけれど、気が付けば妹さんが病気だった男の子が住んでいた所の様な小さな家の集まる場所に立っていた。
宿屋の人に連れてこられたのだが、リアムさんが怒らないかだけが心配だ。
「よく来たな。聖人様?」
「いえ。私の事は聖人ではなく、アメリアと呼んでくだされば」
「んだよ。聖人って事は隠しておきたいってか? まぁ良いけどな」
「えっと」
「アンタが癒しの力を持っているってのは昨日露店で見せてもらった」
「あ、はい」
「そこでだ。お前に頼みがある」
「なんでしょうか?」
「貧民街の連中を治してやってはくれねぇか?」
「分かりました」
「そ、そうか。話が早くて助かるぜ。それで報酬の話だが、聖人様だって言うんなら相場より大分安くても……」
「報酬など要りません。そんな事よりも、病気か怪我の方はどちらですか?」
「……は? なに?」
「いえ。ですから、病気か怪我の方はどちらですか?」
「違う。そうじゃない。報酬が要らないだと? どういう事だ」
「どういうも何も、必要無いから必要ないと言いました」
「何故だ!」
「いや、何故と言われても困るのですが……」
だって、別に要らないし。
今の所お金には困っていないし。
お金無くて宿に泊まれないなら野宿すれば良いし。
ご飯も町の外に行けばいっぱいあるしね。
そう。森には食べられる物がいっぱいある。無理してお金を使う必要は無いのだ。
「お、お前は癒しの力があるんだろう!?」
「はい」
「なら、なんで金を欲しがらない!?」
「……?」
えっと、どういう事だ?
癒しの力を使えるのならばお金を欲しがらないといけない。
……ううーん。よく分からない!
「どういう事でしょうか?」
「っ! だから!」
それから幾度か話をしたけれど、何度聞いてもよく理解出来ない事ばかりだった。
しかし途中から、もしかしたらこれは町のルールなのかもしれないと思い始めた。
ならば、と私は男の人に自分の事情を話す事にする。
「何かご心配されているのかもしれませんが、大丈夫ですよ」
「何がだ!」
「私たちは旅の途中ですから。ここの人たちを癒しましたら、早急にこの町を離れまして、世界の果てを目指しますので」
「世界の、果てだと?」
「はい。世界の果てでは闇の力が強くなっていると聞きます。ですから、そこに行き、解決しようかと」
「……本気なのか?」
「え? えぇ。勿論」
「死ぬかもしれないんだぞ」
「そうですね」
「なら!」
「ですが、私が行かねば他の方が危険な目に遭うだけです」
そう。
私がやらねば、リリィが危ない目に遭うのだ。
それだけは絶対に認める訳にはいかない。
リリィを護る為に私は旅に出たのだから。
「という事ですので、病気や怪我をされている方はどちらでしょうか?」
私は、私に出来る方法で世界を平和にする。
ただ、それだけなのだ。
宿屋の人に連れてこられたのだが、リアムさんが怒らないかだけが心配だ。
「よく来たな。聖人様?」
「いえ。私の事は聖人ではなく、アメリアと呼んでくだされば」
「んだよ。聖人って事は隠しておきたいってか? まぁ良いけどな」
「えっと」
「アンタが癒しの力を持っているってのは昨日露店で見せてもらった」
「あ、はい」
「そこでだ。お前に頼みがある」
「なんでしょうか?」
「貧民街の連中を治してやってはくれねぇか?」
「分かりました」
「そ、そうか。話が早くて助かるぜ。それで報酬の話だが、聖人様だって言うんなら相場より大分安くても……」
「報酬など要りません。そんな事よりも、病気か怪我の方はどちらですか?」
「……は? なに?」
「いえ。ですから、病気か怪我の方はどちらですか?」
「違う。そうじゃない。報酬が要らないだと? どういう事だ」
「どういうも何も、必要無いから必要ないと言いました」
「何故だ!」
「いや、何故と言われても困るのですが……」
だって、別に要らないし。
今の所お金には困っていないし。
お金無くて宿に泊まれないなら野宿すれば良いし。
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そう。森には食べられる物がいっぱいある。無理してお金を使う必要は無いのだ。
「お、お前は癒しの力があるんだろう!?」
「はい」
「なら、なんで金を欲しがらない!?」
「……?」
えっと、どういう事だ?
癒しの力を使えるのならばお金を欲しがらないといけない。
……ううーん。よく分からない!
「どういう事でしょうか?」
「っ! だから!」
それから幾度か話をしたけれど、何度聞いてもよく理解出来ない事ばかりだった。
しかし途中から、もしかしたらこれは町のルールなのかもしれないと思い始めた。
ならば、と私は男の人に自分の事情を話す事にする。
「何かご心配されているのかもしれませんが、大丈夫ですよ」
「何がだ!」
「私たちは旅の途中ですから。ここの人たちを癒しましたら、早急にこの町を離れまして、世界の果てを目指しますので」
「世界の、果てだと?」
「はい。世界の果てでは闇の力が強くなっていると聞きます。ですから、そこに行き、解決しようかと」
「……本気なのか?」
「え? えぇ。勿論」
「死ぬかもしれないんだぞ」
「そうですね」
「なら!」
「ですが、私が行かねば他の方が危険な目に遭うだけです」
そう。
私がやらねば、リリィが危ない目に遭うのだ。
それだけは絶対に認める訳にはいかない。
リリィを護る為に私は旅に出たのだから。
「という事ですので、病気や怪我をされている方はどちらでしょうか?」
私は、私に出来る方法で世界を平和にする。
ただ、それだけなのだ。
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