246 / 246
第80話『これからも続いてゆく日常』③
しおりを挟む
私の言葉にセリアさんは不服そうな顔をしていたが、一応手を離してくれた。
そして、少し離れた場所へと移動する。
異動し、ジッと私を見ていた。
「……」
「……」
しゅ、集中出来ない。
「あの?」
「なんだ。もう仕事が嫌になったか? そうだろう。そうだろう。あ、そうだ。なら私が何か魔法を教えてやろうか。もしくは……」
「いえ。集中出来ないので、部屋から出て行ってもらって良いですか?」
「何故だ!」
「いや、何故、って今理由言ったじゃ無いですか。集中出来ないんですって」
「集中出来ないという事は、仕事を嫌だと思っている証拠だ!」
「セリアさんが見ているから集中出来ないんです! 一人なら出来ます」
「そんな事はない! さ、子供は遊べ! 遊ぶんだ!」
私は無理やり椅子から立たせようとするセリアさんにため息を吐いて、冒険者組合に居るオリヴァーさんに連絡を取り、転移して来てもらう。
「またアンタか」
「また貴様か!!」
そしてセリアさんはオリヴァーさんに捕まり、部屋の外に追い出される。
それから私は落ち着いた部屋で、一人仕事をこなしてゆくのだった。
レナちゃんと寝なくなってから5日が経った。
しかし、あれからレナちゃんは何も言わず、無理に迫ってくる事もない。
それで平穏が保たれているのだが……少し寂しい気持ちがあるのも確かだった。
我儘だなぁ。
私は自分のズルさに息を吐きながら、レナちゃんに謝ろうとレナちゃんの部屋の前に転移して部屋をノックする。
が、返事がない。
そして、何度かノックしたが、部屋の中から物音はするのに出て来なくて。
私は何か大事件かと部屋の中へと転移して……それを目撃した。
「シーラちゃん!」
「……何をやっているんですか?」
「っ!!!?」
ベッドの中でもぞもぞとやっていたレナちゃんは私の声に飛び起きて、ベッドの上に人形を落とす。
私はそれを白い目で見ながらとりあえずレナちゃんに転移魔法で服を着せた。
「……レナちゃんには私が居なくても問題なかったみたいですね」
「え? あれ? もしかして、シーラちゃん。今嫉妬してる?」
「別に! してません!!」
「嫉妬! 嫉妬だ!! シーラちゃんが!」
「だから、してま……きゃっ!」
「大丈夫。私にはシーラちゃんだけだから!」
「ちょ、待って下さい! 明日は朝早くから仕事が……!」
色々なトラブルはあったけれど、何だか良く分からないままエンディングを迎えてしまった私。
レナちゃんの相手に選ばれたのは、何故かヒーローではない私だったけど、レナちゃんもみんなも幸せそうだし、多分これで良いのだろう。
いつかレナちゃんが居なくなるとしても、その時までは……。
「愛してますよ。レナちゃん」
私は寝ているレナちゃんにそう告げて、窓から差す朝陽の中、眠りにつくのだった。
そして、少し離れた場所へと移動する。
異動し、ジッと私を見ていた。
「……」
「……」
しゅ、集中出来ない。
「あの?」
「なんだ。もう仕事が嫌になったか? そうだろう。そうだろう。あ、そうだ。なら私が何か魔法を教えてやろうか。もしくは……」
「いえ。集中出来ないので、部屋から出て行ってもらって良いですか?」
「何故だ!」
「いや、何故、って今理由言ったじゃ無いですか。集中出来ないんですって」
「集中出来ないという事は、仕事を嫌だと思っている証拠だ!」
「セリアさんが見ているから集中出来ないんです! 一人なら出来ます」
「そんな事はない! さ、子供は遊べ! 遊ぶんだ!」
私は無理やり椅子から立たせようとするセリアさんにため息を吐いて、冒険者組合に居るオリヴァーさんに連絡を取り、転移して来てもらう。
「またアンタか」
「また貴様か!!」
そしてセリアさんはオリヴァーさんに捕まり、部屋の外に追い出される。
それから私は落ち着いた部屋で、一人仕事をこなしてゆくのだった。
レナちゃんと寝なくなってから5日が経った。
しかし、あれからレナちゃんは何も言わず、無理に迫ってくる事もない。
それで平穏が保たれているのだが……少し寂しい気持ちがあるのも確かだった。
我儘だなぁ。
私は自分のズルさに息を吐きながら、レナちゃんに謝ろうとレナちゃんの部屋の前に転移して部屋をノックする。
が、返事がない。
そして、何度かノックしたが、部屋の中から物音はするのに出て来なくて。
私は何か大事件かと部屋の中へと転移して……それを目撃した。
「シーラちゃん!」
「……何をやっているんですか?」
「っ!!!?」
ベッドの中でもぞもぞとやっていたレナちゃんは私の声に飛び起きて、ベッドの上に人形を落とす。
私はそれを白い目で見ながらとりあえずレナちゃんに転移魔法で服を着せた。
「……レナちゃんには私が居なくても問題なかったみたいですね」
「え? あれ? もしかして、シーラちゃん。今嫉妬してる?」
「別に! してません!!」
「嫉妬! 嫉妬だ!! シーラちゃんが!」
「だから、してま……きゃっ!」
「大丈夫。私にはシーラちゃんだけだから!」
「ちょ、待って下さい! 明日は朝早くから仕事が……!」
色々なトラブルはあったけれど、何だか良く分からないままエンディングを迎えてしまった私。
レナちゃんの相手に選ばれたのは、何故かヒーローではない私だったけど、レナちゃんもみんなも幸せそうだし、多分これで良いのだろう。
いつかレナちゃんが居なくなるとしても、その時までは……。
「愛してますよ。レナちゃん」
私は寝ているレナちゃんにそう告げて、窓から差す朝陽の中、眠りにつくのだった。
1
お気に入りに追加
126
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
悪役令嬢の生産ライフ
星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。
女神『はい、あなた、転生ね』
雪『へっ?』
これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。
雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』
無事に完結しました!
続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。
よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる