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第80話『これからも続いてゆく日常』③

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私の言葉にセリアさんは不服そうな顔をしていたが、一応手を離してくれた。

そして、少し離れた場所へと移動する。

異動し、ジッと私を見ていた。

「……」

「……」

しゅ、集中出来ない。

「あの?」

「なんだ。もう仕事が嫌になったか? そうだろう。そうだろう。あ、そうだ。なら私が何か魔法を教えてやろうか。もしくは……」

「いえ。集中出来ないので、部屋から出て行ってもらって良いですか?」

「何故だ!」

「いや、何故、って今理由言ったじゃ無いですか。集中出来ないんですって」

「集中出来ないという事は、仕事を嫌だと思っている証拠だ!」

「セリアさんが見ているから集中出来ないんです! 一人なら出来ます」

「そんな事はない! さ、子供は遊べ! 遊ぶんだ!」

私は無理やり椅子から立たせようとするセリアさんにため息を吐いて、冒険者組合に居るオリヴァーさんに連絡を取り、転移して来てもらう。

「またアンタか」

「また貴様か!!」

そしてセリアさんはオリヴァーさんに捕まり、部屋の外に追い出される。

それから私は落ち着いた部屋で、一人仕事をこなしてゆくのだった。



レナちゃんと寝なくなってから5日が経った。

しかし、あれからレナちゃんは何も言わず、無理に迫ってくる事もない。

それで平穏が保たれているのだが……少し寂しい気持ちがあるのも確かだった。

我儘だなぁ。

私は自分のズルさに息を吐きながら、レナちゃんに謝ろうとレナちゃんの部屋の前に転移して部屋をノックする。

が、返事がない。

そして、何度かノックしたが、部屋の中から物音はするのに出て来なくて。

私は何か大事件かと部屋の中へと転移して……それを目撃した。

「シーラちゃん!」

「……何をやっているんですか?」

「っ!!!?」

ベッドの中でもぞもぞとやっていたレナちゃんは私の声に飛び起きて、ベッドの上に人形を落とす。

私はそれを白い目で見ながらとりあえずレナちゃんに転移魔法で服を着せた。

「……レナちゃんには私が居なくても問題なかったみたいですね」

「え? あれ? もしかして、シーラちゃん。今嫉妬してる?」

「別に! してません!!」

「嫉妬! 嫉妬だ!! シーラちゃんが!」

「だから、してま……きゃっ!」

「大丈夫。私にはシーラちゃんだけだから!」

「ちょ、待って下さい! 明日は朝早くから仕事が……!」



色々なトラブルはあったけれど、何だか良く分からないままエンディングを迎えてしまった私。

レナちゃんの相手に選ばれたのは、何故かヒーローではない私だったけど、レナちゃんもみんなも幸せそうだし、多分これで良いのだろう。

いつかレナちゃんが居なくなるとしても、その時までは……。

「愛してますよ。レナちゃん」

私は寝ているレナちゃんにそう告げて、窓から差す朝陽の中、眠りにつくのだった。
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