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第78話『恋の終わりと新しい始まり』(ナルシス視点)②

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オリヴァー殿は私たちの前に出て、剣を抜く。

そして、その半歩後ろでエミリー殿も魔法を構えるのだった。

いや、違う。あれは魔法闘争か!!

「シーラ様は我ら人間の希望だ。お前たちに奪わせる訳にはいかないな! 我らが守らせていただく!」

「脆弱な人間が! 誰が誰を守るだと!?」

エルフは魔法を放とうとしたが、それをエミリー殿が魔法闘争で止め、更に神速で踏み込んだオリヴァー殿がエルフを順に斬り捨ててゆく。

「くっ!? 何故、私の魔法が」

「先ほど、刺された程度では死なぬと聞いた。ならば斬られても死ぬまい!」

オリヴァー殿は叫びながら次なるターゲットへと走り、エミリー殿と絶妙な連携を繰り返しながらエルフを制圧し、道を作ってゆくのだった。

私たちもその背に付いて走る。

「レナ!!」

「っ!? ナルシス君!?」

そして、たった一人でシーラ様を守るべく魔法を使おうとしているレナの名を叫んで、エルフ達に向かって飛び掛かった。

無論、オリヴァー殿だけではなく私たちもである。

レナやエミリー殿の様に魔法が強い訳ではない。

オリヴァー殿の様に剣術が使える訳じゃない。

だが、それでも友の為、愛した者の為、私たちは戦う事が出来る。

「エルフ! 覚悟!!」

「この! 人間が!!」

「俺のレナちゃんとシーラ様は返してもらうよ!」

「誰がお前のシーラサマか! ふざけるなよ! トリスタン!」

「何で仲間内で喧嘩してるんだ……」

私は何故か仲間内で争っているトリスタンとルイを見ながら進み、エルフの魔法を封じ、剣で倒して、遂にレナとシーラ様の傍にたどり着く事が出来た。

そして、オリヴァー殿とエミリー殿が協力してシーラ様の拘束を解く。

「ありがとうございます。まぁ、私の出番は殆どなかった様ですが」

「シーラ! 君が人間を可愛がっているのは分かったが、それなら里に連れてくれば良いだろう!?」

「その理屈で言うのなら、私が人間の世界に行っても同じですよ」

「違う! 人間は危険なんだ。私たちを見ろ! みんな人間に傷つけられたんだ!」

「当然ですよ。みんなが人間さんの事を傷つけようとしたんですから。仕返しされてもしょうがないでしょう」

「くっ!」

「それと! 私はこの里を出てゆきますが、もしこの事で人間さんに酷い事をしたら絶対に許しませんからね!!」

「それほどまでに……おのれ、人間め」
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