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第64話『あなたへの想い』③
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私は突然の事で、焦った様にシーラちゃんの名前を呼んだのだが、シーラちゃんは私の方は見ておらず、真っすぐに離れた場所を見ている。
何だろうと、シーラちゃんと同じ方を見てみれば、知らない女の人が立っていた。
笑っている。
笑っているのに……何故か、怖い。
「別に。そこまで大した用事じゃないですよ。ただ、酷く気持ちが悪い気配を感じまして」
「気持ちが悪い気配……?」
「そう。そこのガキが、私の先輩を寝取ろうとしている様な気配を、ね」
次の瞬間、景色が変わり、私はシーラちゃんに抱きかかえられながら、星空の海を泳いでいた。
そして、流星の様に流れる魔法の攻防が目の前で行われる。
シーラちゃんも、現れた女も私とは比べ物にならないくらい強くて、魔法闘争で魔法を止める隙すら存在しない。
ただ、速く、ただ鋭い。
それが互いの体を傷つけてゆき、終わりのない殺意に満ちた光を互いに放ってゆく。
私が知る限り、シーラちゃんはどんな相手にも負けたことがない。
いつだって強くて、いつだって勝ち続けてきた。
傷を負った所すら見たことが無い。
しかし、シーラちゃんを追い詰める女は強く、少しずつだが、シーラちゃんが追い詰められている様に見えた。
「先輩。分かっているんでしょう?」
「はぁ……はぁ……何がっ!」
「その子を捨てないと、死にますよ?」
「だとしても、子供を捨てる様な大人にはなりたくないので」
「悲しい事ですね。この世界でも先輩を亡くす事になるなんて……」
女は視界の全てを埋め尽くす様な魔法を放った後、転移して逃げたシーラちゃんの背後に転移して左肩を打ち抜いた。
シーラちゃんは急いで転移して逃げたけれど、体勢は安定せず、私は地面に激しく転がるシーラちゃんから転げ落ちて、地面を転げまわった。
しかし、覚えたばかりの転移で、シーラちゃんのすぐ傍に転移すると、シーラちゃんの傷を治すべく意識を集中して癒しの魔法を使うのだった。
「れ、な……ちゃん、逃げて」
「逃げる場所なんて無いよ! どこへ逃げたって私じゃ殺されちゃう。だから! ここでシーラちゃんを助ける方が大事だ!」
「あらあら。そう。貴女がこの世界の聖女だったのね。それで先輩が。なるほど」
私は余裕な表情で歩いてきた女に怯えながらそれでもシーラちゃんの治療は止めない。
しかし、どうやらその女はこれ以上の攻撃をするつもりは無いようだった。
その理由は分からないけれど、良くない事だという事は分かる。
「これは、思っていたよりも面白い事になるかもしれないわね。ふふ。先輩。聖女ちゃん。今日の所は見逃してあげる。じゃあね」
そして、意味も分からないまま女は消え、私はシーラちゃんの傷を治しながら、いつまでも周囲を見渡し続けるのだった。
何だろうと、シーラちゃんと同じ方を見てみれば、知らない女の人が立っていた。
笑っている。
笑っているのに……何故か、怖い。
「別に。そこまで大した用事じゃないですよ。ただ、酷く気持ちが悪い気配を感じまして」
「気持ちが悪い気配……?」
「そう。そこのガキが、私の先輩を寝取ろうとしている様な気配を、ね」
次の瞬間、景色が変わり、私はシーラちゃんに抱きかかえられながら、星空の海を泳いでいた。
そして、流星の様に流れる魔法の攻防が目の前で行われる。
シーラちゃんも、現れた女も私とは比べ物にならないくらい強くて、魔法闘争で魔法を止める隙すら存在しない。
ただ、速く、ただ鋭い。
それが互いの体を傷つけてゆき、終わりのない殺意に満ちた光を互いに放ってゆく。
私が知る限り、シーラちゃんはどんな相手にも負けたことがない。
いつだって強くて、いつだって勝ち続けてきた。
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しかし、シーラちゃんを追い詰める女は強く、少しずつだが、シーラちゃんが追い詰められている様に見えた。
「先輩。分かっているんでしょう?」
「はぁ……はぁ……何がっ!」
「その子を捨てないと、死にますよ?」
「だとしても、子供を捨てる様な大人にはなりたくないので」
「悲しい事ですね。この世界でも先輩を亡くす事になるなんて……」
女は視界の全てを埋め尽くす様な魔法を放った後、転移して逃げたシーラちゃんの背後に転移して左肩を打ち抜いた。
シーラちゃんは急いで転移して逃げたけれど、体勢は安定せず、私は地面に激しく転がるシーラちゃんから転げ落ちて、地面を転げまわった。
しかし、覚えたばかりの転移で、シーラちゃんのすぐ傍に転移すると、シーラちゃんの傷を治すべく意識を集中して癒しの魔法を使うのだった。
「れ、な……ちゃん、逃げて」
「逃げる場所なんて無いよ! どこへ逃げたって私じゃ殺されちゃう。だから! ここでシーラちゃんを助ける方が大事だ!」
「あらあら。そう。貴女がこの世界の聖女だったのね。それで先輩が。なるほど」
私は余裕な表情で歩いてきた女に怯えながらそれでもシーラちゃんの治療は止めない。
しかし、どうやらその女はこれ以上の攻撃をするつもりは無いようだった。
その理由は分からないけれど、良くない事だという事は分かる。
「これは、思っていたよりも面白い事になるかもしれないわね。ふふ。先輩。聖女ちゃん。今日の所は見逃してあげる。じゃあね」
そして、意味も分からないまま女は消え、私はシーラちゃんの傷を治しながら、いつまでも周囲を見渡し続けるのだった。
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