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第53話『ヤンデレキャラのバッドエンドはハッピーエンド』③
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あぁ、愛があるので、そういう行為も当然してくるぞ。R18じゃないから、具体的な所までは出さないけど。
なんならグッドエンドよりも、そういう描写が多いせいで、トリスタン推しは、このバッドエンドがトゥルーエンドとか言っている人も居るくらいだ。
いや、まぁ、気持ちは分からなくも無いけどさ。
遊び人風のイケメンが自分を監禁してる癖に捨てないでとか縋ってくるのは、まぁ独特の良さがあるよね。癖というか。
冷静に考えると早く病院に行け。案件な訳だけど。
退廃的な世界にしかない良さもあると言えばある。
私は理解のある女。受け入れますよ。そんなキャラもね。
ただ、まぁ。それもこれもゲームならという話だ。
ここはゲームの世界ではない。現実の世界である。
レナちゃんを監禁などさせてたまるかという話だ。
いや、レナちゃんが、レナちゃんとトリスタンの二人きりの世界が良いと思っているのなら、邪魔をするのはどうかと思うけど。
少なくとも私が知っている限り、そういう趣味をレナちゃんは持っていなかった筈である。
ならば、いざレナちゃんが敗北したとしても、私がバッドエンドになる事を防げば良い。
簡単な話だ。
「おや。シーラ様。こんにちは」
「あぁ、トリスタン君。こんにちは」
「シーラ様も決闘をご見学に?」
「そうですね。レナちゃんもトリスタン君も私の生徒ですから」
私がいつもの笑顔でそう答えるとトリスタン君はチャラ男らしい笑顔で笑った。
なんやねん。
「何か?」
「いえいえ。シーラ様も嘘を吐くのだなと」
「嘘……?」
「シーラ様が気になったのは、レナが俺に負けた時どうなるか。という所でしょう?」
スッと細められた目で射抜かれて、私は思わず一歩後ずさってしまった。
「ご心配なさらなくても、レナは俺が大切に、大切に保護しますよ」
「大切にするというのは、世界から隔離するという事ではありませんよ!」
何かトリスタン君が怖くて、思わず口走ってしまったが、トリスタン君は私の言葉に疑問を持つ事はなく、より深い笑みで私を真っすぐに見据えた。
「そこまでご存知でしたか。であれば話は早いですね。もしレナが負けた時はシーラ様も楽園にお越しください」
「え!? わ、私も!?」
「当然でしょう。レナには貴女が必要だ」
「……」
私はトリスタン君を警戒しつつ、魔法を使おうとした。
決闘自体をなかった事にしようと。
しかし。
「あぁ、ソレは止めた方が良いですよ。俺もこの学園を壊したくはないですから。孤児院もね」
「っ」
「そんな怖い顔で睨まなくても、貴女が邪魔をしなければ何もしませんよ。ただ俺とレナを見守ってくれていればね」
「……分かりました」
私は右手を握りしめながら、決闘を見守る事にした。
トリスタン君が明確に敵であるならば、止める事も可能だけど、今はまだその時じゃない。
それに、そうだ。
レナちゃんが決闘に勝てば良いのだ。
レナちゃんが今どんな称号なのか、それは分からないけど。
多分『ふつうの女の子』か『優しい一輪花』のどちらかだろう。慈愛の値高そうだし。
間違っても、『特別教室の狂戦士』ではない筈だ。
もし、一番下の称号だったら、相当危険だけど……大丈夫だよね? レナちゃん。
私は両手を握りしめながらレナちゃんを見守るのだった。
なんならグッドエンドよりも、そういう描写が多いせいで、トリスタン推しは、このバッドエンドがトゥルーエンドとか言っている人も居るくらいだ。
いや、まぁ、気持ちは分からなくも無いけどさ。
遊び人風のイケメンが自分を監禁してる癖に捨てないでとか縋ってくるのは、まぁ独特の良さがあるよね。癖というか。
冷静に考えると早く病院に行け。案件な訳だけど。
退廃的な世界にしかない良さもあると言えばある。
私は理解のある女。受け入れますよ。そんなキャラもね。
ただ、まぁ。それもこれもゲームならという話だ。
ここはゲームの世界ではない。現実の世界である。
レナちゃんを監禁などさせてたまるかという話だ。
いや、レナちゃんが、レナちゃんとトリスタンの二人きりの世界が良いと思っているのなら、邪魔をするのはどうかと思うけど。
少なくとも私が知っている限り、そういう趣味をレナちゃんは持っていなかった筈である。
ならば、いざレナちゃんが敗北したとしても、私がバッドエンドになる事を防げば良い。
簡単な話だ。
「おや。シーラ様。こんにちは」
「あぁ、トリスタン君。こんにちは」
「シーラ様も決闘をご見学に?」
「そうですね。レナちゃんもトリスタン君も私の生徒ですから」
私がいつもの笑顔でそう答えるとトリスタン君はチャラ男らしい笑顔で笑った。
なんやねん。
「何か?」
「いえいえ。シーラ様も嘘を吐くのだなと」
「嘘……?」
「シーラ様が気になったのは、レナが俺に負けた時どうなるか。という所でしょう?」
スッと細められた目で射抜かれて、私は思わず一歩後ずさってしまった。
「ご心配なさらなくても、レナは俺が大切に、大切に保護しますよ」
「大切にするというのは、世界から隔離するという事ではありませんよ!」
何かトリスタン君が怖くて、思わず口走ってしまったが、トリスタン君は私の言葉に疑問を持つ事はなく、より深い笑みで私を真っすぐに見据えた。
「そこまでご存知でしたか。であれば話は早いですね。もしレナが負けた時はシーラ様も楽園にお越しください」
「え!? わ、私も!?」
「当然でしょう。レナには貴女が必要だ」
「……」
私はトリスタン君を警戒しつつ、魔法を使おうとした。
決闘自体をなかった事にしようと。
しかし。
「あぁ、ソレは止めた方が良いですよ。俺もこの学園を壊したくはないですから。孤児院もね」
「っ」
「そんな怖い顔で睨まなくても、貴女が邪魔をしなければ何もしませんよ。ただ俺とレナを見守ってくれていればね」
「……分かりました」
私は右手を握りしめながら、決闘を見守る事にした。
トリスタン君が明確に敵であるならば、止める事も可能だけど、今はまだその時じゃない。
それに、そうだ。
レナちゃんが決闘に勝てば良いのだ。
レナちゃんが今どんな称号なのか、それは分からないけど。
多分『ふつうの女の子』か『優しい一輪花』のどちらかだろう。慈愛の値高そうだし。
間違っても、『特別教室の狂戦士』ではない筈だ。
もし、一番下の称号だったら、相当危険だけど……大丈夫だよね? レナちゃん。
私は両手を握りしめながらレナちゃんを見守るのだった。
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