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第50話『聖女シーラ爆誕』③
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マクシム君の言葉に、レナちゃんは決意を秘めた瞳で強く頷き、家の中に入った。
そして、私もレナちゃんと一緒に入り、一応外から見えない様に魔法を使う。
「じゃあ、レナちゃん。お願いします」
「え? でも」
「嘘ですよ。全部嘘。私は聖女じゃないですから」
「っ!」
「レナちゃんの名誉を奪っちゃうのは申し訳ないですけど。これが一番良いかなと思ったので……」
「でも、でも! こんな事したら、シーラちゃんが!」
「大丈夫ですよ。私は強いですから。その辺の悪党には負けません」
「……」
「さ。ナルシス君を助けたいんでしょう?」
レナちゃんは私の言葉に小さく頷いて、ナルシス君へと近づいていった。
そして、呼吸がだんだんと小さくなっているナルシス君に手を翳して癒しの魔法を使っていく。
何度か試したけど、どうやっても使う事の出来なかった魔法だ。
「……れな?」
「大丈夫。必ず助けるから」
「そうか……きみは、せいじょ。だったのだな」
ナルシス君は痛みと苦しみから出る汗をにじませながらも、酷く穏やかな顔で笑う。
そんなナルシス君にレナちゃんは少しだけ悲しそうな顔をした後、安心させる様に笑うのだった。
そして、それから少しして、ナルシス君の傷は完全に癒えた。
ただ、血を流し過ぎている為、よく休んでよく食べる様にと伝える。
「それと、レナちゃんが聖女だという事は内緒ですよ。ナルシス君」
「っ! しかし」
「大丈夫。私が聖女という事になってますから」
私の言葉にナルシス君は目を見開いて、すぐ背後に居るレナちゃんを見た。
お前の名誉奪われてんぞ。って事かな。
まぁ、そうね。としか言いようがないけど。
「なので、ナルシス君は今日ここで見た事を絶対に喋らない様に。良いですね?」
「シーラ様は、それでよいのですか?」
「当たり前でしょう! 何せ、私は褒められるだけで、何も無いですからね!」
「……シーラ様」
何だか辛そうなナルシス君に、しょうがないと私は一つの魔法を使う事にした。
「では皆さん。手を合わせてください」
ナルシス君とレナちゃんは訳も分からず、私の手に自分たちの手を重ねてゆく。
「内緒にするのも大変ですし。契約で縛りましょう。良いですか? ここで見た事は誰にも話してはいけませんよ。期間はそうですねぇ。では、私が死ぬまでという事にしましょうか!」
エルフジョークを飛ばして、私は笑うが、笑っているのは私だけだった。
うん。ごめんつまらない事言って。
「はい。これで契約成立ですね。では、儀式を終わりましょうか。癒しの儀式を」
そして、私もレナちゃんと一緒に入り、一応外から見えない様に魔法を使う。
「じゃあ、レナちゃん。お願いします」
「え? でも」
「嘘ですよ。全部嘘。私は聖女じゃないですから」
「っ!」
「レナちゃんの名誉を奪っちゃうのは申し訳ないですけど。これが一番良いかなと思ったので……」
「でも、でも! こんな事したら、シーラちゃんが!」
「大丈夫ですよ。私は強いですから。その辺の悪党には負けません」
「……」
「さ。ナルシス君を助けたいんでしょう?」
レナちゃんは私の言葉に小さく頷いて、ナルシス君へと近づいていった。
そして、呼吸がだんだんと小さくなっているナルシス君に手を翳して癒しの魔法を使っていく。
何度か試したけど、どうやっても使う事の出来なかった魔法だ。
「……れな?」
「大丈夫。必ず助けるから」
「そうか……きみは、せいじょ。だったのだな」
ナルシス君は痛みと苦しみから出る汗をにじませながらも、酷く穏やかな顔で笑う。
そんなナルシス君にレナちゃんは少しだけ悲しそうな顔をした後、安心させる様に笑うのだった。
そして、それから少しして、ナルシス君の傷は完全に癒えた。
ただ、血を流し過ぎている為、よく休んでよく食べる様にと伝える。
「それと、レナちゃんが聖女だという事は内緒ですよ。ナルシス君」
「っ! しかし」
「大丈夫。私が聖女という事になってますから」
私の言葉にナルシス君は目を見開いて、すぐ背後に居るレナちゃんを見た。
お前の名誉奪われてんぞ。って事かな。
まぁ、そうね。としか言いようがないけど。
「なので、ナルシス君は今日ここで見た事を絶対に喋らない様に。良いですね?」
「シーラ様は、それでよいのですか?」
「当たり前でしょう! 何せ、私は褒められるだけで、何も無いですからね!」
「……シーラ様」
何だか辛そうなナルシス君に、しょうがないと私は一つの魔法を使う事にした。
「では皆さん。手を合わせてください」
ナルシス君とレナちゃんは訳も分からず、私の手に自分たちの手を重ねてゆく。
「内緒にするのも大変ですし。契約で縛りましょう。良いですか? ここで見た事は誰にも話してはいけませんよ。期間はそうですねぇ。では、私が死ぬまでという事にしましょうか!」
エルフジョークを飛ばして、私は笑うが、笑っているのは私だけだった。
うん。ごめんつまらない事言って。
「はい。これで契約成立ですね。では、儀式を終わりましょうか。癒しの儀式を」
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