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第40話『愛とは目に見えぬモノ』②

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「オリヴァー君。オリヴァー君の好きな人を教えてください」

私は聞かなければいけないと、オリヴァー君に問うた。

多分聞かなければ後悔すると思ったからだ。

それはオリヴァー君の寿命か。もしくは別の理由か。

「残念ですが、もうそれは口にしない事に決めているんですよ」

「今日は?」

「一生です」

オリヴァー君の笑顔に私はそれ以上何も言えなくなってしまう。

「ジェイク団長が、遠征で死にかけた時、奥さんが酷く悲しんでいるのを見て、俺の想いは、きっとその方を傷つけると思ったんです。どうやっても俺の方が先に死にますからね。傷つけたくはない」

「……オリヴァー君」

「だから、誰にも知られず、その方を守りたい。そう思った。ただそれだけですよ」

「それは、寂しいですね」

「そうでも無いですよ。よく話はしますし。その方にとって、最も信頼されているという自負もありますしね」

「そうですか。オリヴァー君がそう言うのなら、私はもう何も言いません。まぁオリヴァー君にずっと想われてて、なーにも気づかない鈍感な人なんて私がていてい! って叩いてもいいくらいですけどね! まったく! 私の可愛いオリヴァー君に!」

「……あの方は愛の多い方ですからね。俺が独占は出来ませんよ」

オリヴァー君が何故か笑いながら言ったその言葉に私はオッと引っ掛かった。

待て待て。

何だその愛が多いっていうのは!

それは浮気とかする人の言葉じゃあなかろうか。

一人に決められないのよ。じゃないぞ!

くっ! オリヴァー君、騎士として頑張りすぎて、変な女に騙されてるんじゃないだろうな? いや、男かもしれないけど。

うー! オリヴァー君を騙すとは許せん奴!

こうなったら!

「オリヴァー君」

「はい。なんでしょうか。シーラ様」

「一つ保険をかけておきましょうか」

「保険、ですか?」

「そう。保険です」

私はオリヴァー君の隣に座って、オリヴァー君と話をしていたのだが、一人立ち上がり、オリヴァー君の頬にそっと口づけをした。

そして、笑う。

「もし、これから先、何があっても。私は最後の瞬間までオリヴァー君と一緒にいますからね」

だから変な女だったらすぐに逃げ出すんだよ? という事は言わない。

言っちゃうと、そんな訳無いだろ! と反発しちゃうかもしれないし。

なので、私は何かあった時の逃げ先としているだけだ。
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