上 下
91 / 246

第28話『最高の教育』③

しおりを挟む
お礼言ってばっかりだけど、分かってるのかなぁ。

なんか不安になるな。

ちゃんと駄目押ししておくか。

「定期的に会うだけじゃなくて、この子たちが何か病気になった時には、お医者さんに診せますが、料金はお二人に請求しますからね!」

「ありがとうございます!」

「いや、お金を請求するんですよ? 分かってますか?」

「はい。問題ありません!」

「何か二人が困ってたらちゃんと話を聞いてあげるんですよ? 突然そちらの国に転移するかもしれないですけど、ちゃんとその日の内に会ってくださいね? 出来ますか?」

「勿論です! そこまで考えてくださっているとは……! 流石はシーラ様」

「何が流石ですか。このくらいは当然です」

「その通りでございますね」

ペコペコと頭を下げる二人に、何だかこれ以上下げさせるのも嫌なので、とりあえず話を終わらせる。

とにかくだ。

双子ちゃんを預かって、他の子と同じ様に簡単な魔法を教えたりすれば良いんでしょ?

それで何もなければそれでおしまい、と。

まぁ、大した仕事じゃないし。やるかぁ。



そして、双子を預かってから一年。

色々な事があったが、双子は実に真面目に魔法を学び、一年が経つ頃にはまだ幼い子供にしては、十分に素晴らしい魔法使いの卵となった。

うんうん。親の心配なんてなんのその。

子供とは親の想像を超えて、成長してゆくものなんだなぁ。

と、私は二人の成長に関心していた……のだが!

事態は私の想像とはまるで違う方向へと全力で転がり始めた。

なんと。私が育てたから、この二人が魔法の才能に目覚めた。なんて噂が世界中に流れ始めたのだ。

「ど、どうしてこんな事に」

「シーラ様。大変残念ですが、これは当然の流れかと思います」

「えぇ!? そうなのですか!? お、オリヴァー君もそう思いますか?」

「そうですね。俺はてっきりシーラ様は最初からこういう事になると、想定されて動いていると思っていましたが」

「ふん。まだまだ甘いですね。シーラ様はご自分への評価が低い。その様な想定などしませんよ。ま! 私は気づいてましたけどね!」

「いちいち絡んでくるな。というかどういう自慢だそれは。シーラ様を困らせてどうする」

「困った時に手助けした方が褒められるじゃないですか!」

「不忠者め」

イチャイチャとしている二人をそのままに、私は窓から幼女エルフの像を撃ち抜きながら叫ぶのだった。

どぼぢで、こーなるの!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

旦那様は大変忙しいお方なのです

あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。 しかし、その当人が結婚式に現れません。 侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」 呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。 相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。 我慢の限界が――来ました。 そちらがその気ならこちらにも考えがあります。 さあ。腕が鳴りますよ! ※視点がころころ変わります。 ※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)

【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

処理中です...