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第24話『第1回シーラ様杯開幕』②

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気合十分で始まった第一回戦。

相手はどこぞの地方で冒険者をやっているという男だった。

「ここまで勝ち残ってきたという事は、かなりの使い手とみた。よろしく頼むよ」

「……はい」

私は目の前に立つ男を見た。

軽装の鎧は、小さな傷が多くあり、顔にも大小様々な傷があるという事は、それなりに修羅場を歩んできたのだろう。

しかも、おそらくは利き腕ではない方の腕に付いている傷の付き方から考えるならば、誰かを庇って付いたような傷だと思われる。

無論、この人が迂闊でついた傷という可能性もあるけれど。

応援席でこの人の応援をしている人が多い事から考えると、それだけ慕われているという事になる。

なるほど。

でも駄目!!

全然ダメ!!

だって髭を整えてないし、髪だってぐちゃぐちゃ!

とてもじゃないけど、シーラ様の隣に立つ相手として相応しくない!!

シーラ様はあんなにもお綺麗なのに、その隣がこんな見るからに山で生きてます。みたいな人では釣り合わない。

だから……人としては良いかもしれないけど、私が気に入らないから不合格だ。

「……倒します」

私は武器を構えて、飛び込んだ。

一回戦目の男は非常に強く、上手く私の攻撃を受け流すが、途中からハッキリと弱点が見えた。

そう。なるべく私を傷つけない様にしているのだ。

無理に一歩踏み出しても攻撃しないし、その攻撃が私の体を傷つける可能性があるのなら、遠ざけてしまう。

そうなれば、どれだけ実力差があろうとも、勝てるわけがないのだ。

結果、彼は破れ。辛くも私の勝利となった。

「私の負けか」

「貴方が手加減をしていなければ、私が負けていました。ですが、その甘さは、シーラ様を危険にさらします。そんな人を勝たせる訳にはいきません」

「……そうだな。私には覚悟が足りなかった様だ。今日は実に楽しかったよ」

「一応確認ですが、貴方は勝って、何を求めていたんですか?」

「いや大した事は無いんだ。ただ、私の弟子がね。昔シーラ様に助けられたという事で礼を言いたいと、な。ただ、シーラ様に近づくのは難しくてな、こうしてトーナメントに参加しただけさ」

「そうですか。では、私の方からシーラ様に話を通しておきます。トーナメントが終わってから学園にある孤児院に来てください」

「良いのか?」

「はい。貴方は甘い人でしたが、強く正しい人でしたから」

護衛じゃないから別に良い。

護衛だったら色々と駄目だけど。

そして私は冒険者の人と別れ、次に進んだ。
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