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第15話『私のママ』(ジュリア視点)②
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シーラ様にご褒美を貰う約束をして、私は玄関へと向かった。
大きな扉を少し開き、客人の姿を確認する。
どこの誰だろうかと思っていたら、少し前のシーラ様が助けた冒険者の人だった。
「あぁ、ジュリアちゃんか」
「うん。オジサン、無事に帰れたんですねぇ」
「まぁね。シーラ様に助けられた以上、何がなんでも無事に帰るさ」
「そうですかぁ」
私はオジサンの言葉に安心しながら息を吐いた。
そう。オジサンは……いやオジサンだけじゃないけど、冒険者の人たちはよくシーラ様に助けられているのだ。
森で魔物に襲われてどうしようもない人を見つけると、シーラ様はこっそりと魔法で助けて、その報酬なのか、魔物の体を持って帰っていく。
勿論命のお礼が魔物だけで良いと思う人なんてこの町には居なくって、助けられた人はこっそり人助けをしているシーラ様の気持ちを考えて、こっそりとお返しにくるのだ。
シーラ様が大切にしている孤児院の子供たちに。
「今日は冒険者組合で、甘いお菓子を貰ってね。是非みんなで食べてくれ」
「うん。ありがとーございます!」
「いやいや。じゃあシーラ様にもよろしく伝えてくれ」
「うん。じゃあ、お気をつけてー!」
「あぁ」
お菓子を渡すだけ渡して去っていく冒険者さんに手を振りながら、私は貰ったお菓子の中から一つを食べてみた。
確かに言っていた通り、甘いお菓子だ。
とても美味しい。
思わず私はもう一個袋から取り出して食べようとしたのだけれど、その行動に待ったを掛ける人が現れた。
そう。孤児院に来てからの親友。エミリーちゃんだ。
「ジュリア! 何持ってるの?」
「え? あ、これは、その。えと。甘いお菓子」
「へぇ。誰かの贈り物?」
「えと、いや、拾い物?」
「何で疑問形なのよ。どうせ貰い物でしょ。それで? 何処の誰?」
「……」
「言わないつもり? ふぅーん。そっか。そっかぁ。ジュリアは悪い子になっちゃったんだね。これはシーラ様にも伝えないとなぁ」
「ち、違うの! シーラ様にはちゃんと言うつもりだったよ!? でも、その……美味しかったから、二人で分ければ良いかなぁって」
「もー! ジュリア! 駄目でしょ!? 他の子だって美味しいお菓子は食べたいんだから独り占めしたら。シーラ様だって幸せはみんなで分かち合いましょうってよく言ってるじゃない」
「それは、そうだけど」
「まったくしょうがない子なんだから。ほら、黙っててあげるから、すぐにシーラ様の所へ持って行こう? それでみんなで分ける。良い?」
「……うん」
「はいはい。いじけないの。どうせ今日助けた冒険者さんから貰ったんでしょ? なら、一番頑張ったジュリアが多く貰えるから。ね?」
「……うん」
「まったく。しょうがない子だなぁ。ジュリアは」
ケラケラと笑うエミリーちゃんに甘えた後、私は甘いお菓子を大人しく献上した。
そして、みんなで食べながら、シーラ様と二人だけの味にしたかったなぁ。と少し思うのだった。
でも、きっとその願いを叶えると、悪い子になっちゃうから、シーラ様に嫌われてしまうし。難しい問題なのであった。
大きな扉を少し開き、客人の姿を確認する。
どこの誰だろうかと思っていたら、少し前のシーラ様が助けた冒険者の人だった。
「あぁ、ジュリアちゃんか」
「うん。オジサン、無事に帰れたんですねぇ」
「まぁね。シーラ様に助けられた以上、何がなんでも無事に帰るさ」
「そうですかぁ」
私はオジサンの言葉に安心しながら息を吐いた。
そう。オジサンは……いやオジサンだけじゃないけど、冒険者の人たちはよくシーラ様に助けられているのだ。
森で魔物に襲われてどうしようもない人を見つけると、シーラ様はこっそりと魔法で助けて、その報酬なのか、魔物の体を持って帰っていく。
勿論命のお礼が魔物だけで良いと思う人なんてこの町には居なくって、助けられた人はこっそり人助けをしているシーラ様の気持ちを考えて、こっそりとお返しにくるのだ。
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「今日は冒険者組合で、甘いお菓子を貰ってね。是非みんなで食べてくれ」
「うん。ありがとーございます!」
「いやいや。じゃあシーラ様にもよろしく伝えてくれ」
「うん。じゃあ、お気をつけてー!」
「あぁ」
お菓子を渡すだけ渡して去っていく冒険者さんに手を振りながら、私は貰ったお菓子の中から一つを食べてみた。
確かに言っていた通り、甘いお菓子だ。
とても美味しい。
思わず私はもう一個袋から取り出して食べようとしたのだけれど、その行動に待ったを掛ける人が現れた。
そう。孤児院に来てからの親友。エミリーちゃんだ。
「ジュリア! 何持ってるの?」
「え? あ、これは、その。えと。甘いお菓子」
「へぇ。誰かの贈り物?」
「えと、いや、拾い物?」
「何で疑問形なのよ。どうせ貰い物でしょ。それで? 何処の誰?」
「……」
「言わないつもり? ふぅーん。そっか。そっかぁ。ジュリアは悪い子になっちゃったんだね。これはシーラ様にも伝えないとなぁ」
「ち、違うの! シーラ様にはちゃんと言うつもりだったよ!? でも、その……美味しかったから、二人で分ければ良いかなぁって」
「もー! ジュリア! 駄目でしょ!? 他の子だって美味しいお菓子は食べたいんだから独り占めしたら。シーラ様だって幸せはみんなで分かち合いましょうってよく言ってるじゃない」
「それは、そうだけど」
「まったくしょうがない子なんだから。ほら、黙っててあげるから、すぐにシーラ様の所へ持って行こう? それでみんなで分ける。良い?」
「……うん」
「はいはい。いじけないの。どうせ今日助けた冒険者さんから貰ったんでしょ? なら、一番頑張ったジュリアが多く貰えるから。ね?」
「……うん」
「まったく。しょうがない子だなぁ。ジュリアは」
ケラケラと笑うエミリーちゃんに甘えた後、私は甘いお菓子を大人しく献上した。
そして、みんなで食べながら、シーラ様と二人だけの味にしたかったなぁ。と少し思うのだった。
でも、きっとその願いを叶えると、悪い子になっちゃうから、シーラ様に嫌われてしまうし。難しい問題なのであった。
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