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第5話『君に出会えた奇跡』(オリヴァー視点)①

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シーラ様と森で偶然出会ってから、約三年の月日が経った。

あれから俺は騎士団に入り、ジェイク団長に戦い方を教わったり、騎士団の中で模擬戦を行う様な日々だ。

その訓練のお陰か、俺は前よりも随分と強くなった。

だというのに、俺は満たされない気持ちを抱えていた。

「おかわり!」

俺はグラスをカウンターに置きながら、店主に追加の飲み物を要求した。

そして、果汁ジュースを一気飲みしながら、イライラとした気持ちを再びカウンターにぶつける。

「荒れてるな。オリヴァー」

「……団長」

「しかし、いくら荒れても酒は飲むなよ? 俺がシーラ様に怒られちまう」

「俺はもうガキじゃない!」

「そう言っている内はガキだよ。オヤジ! 酒くれ。酒!」

「あいよ」

「ケッ!」

俺の隣に座って酒を飲み始めた団長に俺は悪態をつきながら、果汁ジュースを飲んだ。

酒でも飲めれば、シーラ様も俺を認めてくれるのだろうか。

「酒か。店主! 俺にも酒をくれ!」

「おいおい! 本気で勘弁してくれ! オヤジ! 用意しなくていい! おーい! ベン! ベンジャミン! ちょっと手伝ってくれ!」

「何ですか? こっちは今楽しく飲んでるんですけど?」

「オリヴァーのアホが酒飲もうとしてるんだよ! 止めるの手伝ってくれ!」

「別に飲みたいのなら、飲ませれば良いのでは? これも経験ですよ」

「何お前もアホ言ってんだ! 俺がシーラ様に怒られる! 健全に育ててくれと言われてんだよ!」

「酒を飲んだだけで不健全だなんて、貴方の口から聞くとは思いませんでしたよ。団長殿」

「なに怒ってんの? もしかして新人歓迎会で新人に酒飲ませて潰した事、まだ怒ってんの?」

「当たり前でしょうが! あの後、誰が始末書を書いたと思ってるんですかね!?」

「申し訳ございません!! 副団長殿!」

副団長に頭を下げる団長を見ながら、俺はサッと団長のグラスを奪おうとした。

しかし、副団長に見つかり手を叩かれてしまう。

「はしたない真似は止めなさい。そんな事まで団長の真似をしなくてもよろしい」

「……!」

「何を焦っているのか、何となくは想像できますがね。オリヴァー。あえて言いましょう。その焦りは無意味です」
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