50 / 69
白雪雫
46話「スノーホワイト5」
しおりを挟む新川優希はどこへ…
「よし、じゃあ今からみんなで俺らの母校に向かいましょう!」
「このファミレスから近いの?」
「はい、歩いてすぐの所なんですよね!」
「待っててね、優君…」
「舞ちゃん…」
「大丈夫だよ、栞菜ちゃん。」
「待ってろよ、優希…」
・
・
・
「着いたな…」
「うん、だけど…」
「今日平日でまだ夕方なのになんか…」
「誰もいる空気感じないね…」
「とりあえず、俺1人で…」
「今井君、みんなで行こう。」
「わかりました。じゃあ図書室の場所はわかるんでみんなで行きましょう。」
「でもあれね、本当に不思議…誰も居ないわ、やっぱこれが未来人の力…」
「でもさ、優君はその白雪さんって人は普通の人に戻ったって言ってたよね?」
「そうなんだよ、だからあるとしたら、優希がこんな事を起こした、あるいは彼女が嘘を…」
「着いたよ~」
「よし入ろう…」
「ガチャッ…」
「優希!」
「優君!」
「兄貴!」
「優ちゃん!」
「あなたたちは…」
「こんにちは白雪さん、私は同じ学年の…」
「朝比奈風夏、早乙女萌」
「私のことまで知ってるんですね…」
「白雪先輩…優希を返して欲しいんですけど…」
「それは無理ね、だってもうこの世界は私達のものなんだから…誰にも邪魔させないわ。」
「やっぱりあんた、嘘ついて…」
「そうよ、キスすれば新川君は元の世界に帰れるわ。」
「やっぱり…なんで優希を騙したんだ!」
「だって現実は残酷なんだもの…新川君ばっかり傷ついて、そんなのあんまりじゃない?
そもそも朝比奈さんと早乙女さんは彼の記憶がないのでしょ?それなのに助ける義理がある訳?」
「だって元の世界では私が元カノだったんでしょ!」
「それよ、あなたは元の世界で散々新川君を振り回して告白させて自分の気持ちを優先させて振ったのよ。
そう言う自分勝手な所が新川君を傷つけてるのよ?」
「で、でも!」
「何?、それとも今の世界の私だから関係ないって言いたいわけ?だったらこの世界に居ても良いじゃない?」
「うぅ…」
「あなたもよ、早乙女さん。」
「え?」
「あなただって新川君の事好きで仕方ないのに自分が嫌われたくないがために丁度いい後輩の位置をずっとキープして、それで分かったつもり?」
「あんたね!さっきから!」
「一番嫌いなのはあなたよ、有栖さん。
あなたがクラスの人に言わなきゃ新川君は学校でハブられる事もなかったし、元の世界であなたは小学3年生の時の未練のせいで
身体が小学生に戻って新川君に面倒見てもらって迷惑かけてるのよ。
それにお母さんが亡くなった事も知らないくせに…
みんな自分には関係ないって思うなら、私達に構わないでくれる?
「や、やめてくれよ白雪先輩…」
「翼…」
「あんたの言ってる事はもしかしたらただしいのかもな、でも優希は…あいつはそれでも元の世界に戻りたいって俺に、俺らに話してくれたんだよ。
俺だって分かってるよ、あいつは昔から茨の道を通るバカなんだけどよ、それでも、困ってる奴がいたら絶対に助けるんだよ。
不器用だけど誰よりも真っ直ぐでさ、だから辛い事があってもあいつは前に進むって決めたんだ。俺だって無茶するあいつを止めれば良かったって、
中学の時、背伸びしたあいつを止めてればって、何回も何十回も思ったよ。
でもさ、あいつはそれを含めて前に進むって決めたんだ。だから頼むよ、優希を元の世界に返して…あげてください…」
「ごめんなさい、それはできないだって…」
「雫…」
「新川君??」
「優希…」
「すいません、みんなの声が聞こえて脳は起きてたんですけど声が出なくて…」
「起きるはずないのに…」
「ここは中学の図書室ですかね、懐かしいっすね、それに風夏に萌まで居るし…凄いな…夢みたい…」
「新川君、寝てていいのに…」
「雫、やっぱり嘘ついてたのか…
みんなごめんなこんな事に巻き込んで、何も知らないのに風夏も日向先輩も萌も来てくれてありがとう。
雫、俺のために悪者やってくれたんだろ…本当は誰よりも人に優しくて誰よりも俺の話聞いてくれて…
でも、雫と付き合うのも悪くないなって思ったわ。ありがとう。
元の世界に行って謝らなきゃ、風夏に彼女なのに他の人の事ばっか気にした事、萌に過去の自分と重ねて悲しい思いさせた事、桃花に
逃げちゃった事、本当は桃香の話聞いてあげる余裕がなかった自分の弱さを謝らなきゃ…あと雫に沢山話聞いてもらった事、中学時代名前忘れちゃってた事
謝らなきゃ…だからさ、俺の最後のわがまま聞いてくれ雫…元の世界に…」
「ごめんなさい。有栖さんの時一緒で私も本当にこの世界を終わらせる方法を知ってるの。」
「それは雫に…」
「違うわ、それだとまた私は新川君にリセットをかけられるの。」
「え、じゃあ…」
「本当に運命の人だと思う人とキスをするの。この世界で。」
「ってことは…」
「やっぱり私だよね!!」
照れ臭そうに見てくるこっちの世界の風夏、正直可愛い。
「あの嫌ならいいんですけど…」
「私ね、みんなから新川君の話聞いたけどね多分こっちの世界線でも絶対好きになると思うの。
だからいいよ、私の初めてあげる…」
そういえば俺元の世界でも風夏にキスした事…
「すいません、ありがとうございます。
あとみんな本当にありがとう。この世界がこのあとどうなるか分からないけどもし俺がいたらなんでも奢ってもらってくれ…
「分かったよ、優希。じゃあ俺たち外で待ってるからな。」
図書室には俺と風夏2人きりになった。
「早くしてくれる?」
「あ、すいません。」
「あの、ありがとう。」
こうして俺はキスをした。
とても柔らかい唇だったような。
・
・
・
・
「ん…」
第二話見知らぬ天井…
なんて言ってる訳じゃない…
「俺は…」
「優希君!!」
「風夏?」
「良かった、舞ちゃん!優希君が!」
俺はなぜか病院に居た。
話によると夏休み最終日に道端で倒れていた所を誰かが助けてくれたらしい。
だが、夏休み最終日俺は誰と会っていたんだろうか…
全く思い出せない。
でもなんか誰かのぬくもりとかキスとか…
ってなんて破廉恥な夢を見ていたんだ俺は。
・
・
・
こうして特に体に異常は無く無事に退院出来たのであった。
夏休みもおわって数日経っているらしい。
「やばい、復帰初日から遅刻しそう…」
ドン!
周りを見てなかった俺は人とぶつかってしまった。
「あの、大丈夫ですか?…って」
ぶつかってしまった人はロングヘアで眼鏡のかけた可愛らしい女の子だった。
でもなんか…
「すいません、怪我ないですか?」
「はい、あの以前どっかで会った事ありますか?」
「いえ、人違いじゃないでしょうか?」
「あ、そうですよねすいません。」
新手のナンパと思われても嫌だしな…
「今までありがとう。バイバイ…」ボソッ
「今なんて…」
彼女はこうして居なくなったなんだかすごく懐かしい気持ちになった。
「ヤバイ!学校遅れる!!」
こうして俺の日常がまた戻って来たのであった。
ー白雪雫編閉幕ー
ー続くー
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる