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再会

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 ─昔ながらの商店街やレトロなカフェなど、古き良き町並みが残っている月ヶ山町つきがやまちょう。その町唯一の病院『霧ヶ夜きりがや診療所』。その裏手にある二階建ての家の一室で、鏡とにらめっこをしている少年がいた。
「うーん、何かこう…。もう少し…大人っぽくならないのかな…?」
 少年は、真新しい制服に身を包み、クルクルと回っては髪を整えてを繰り返し、鏡に映った自分の姿を凝視してため息をいた。

季節は春。
GWが明けた今日から、少年─東雲しののめ瑞穂みずほは、みんなより一ヶ月遅れて高校に入学する。
…そんなおめでたい日に、瑞穂はすっかり落ち込んでいた。
(違う…。僕が目指していた高校生は…
・身長が175cm以上
・ガッシリとした身体
・低くてセクシーな声
・いつも余裕のある態度  …だったのに!)
自分が理想としていた高校生の姿を思い浮かべながら、もう一度鏡を見ると、そこには全く正反対の容姿が映っていた。
身長は160cmと小柄で、ガッシリとした体格とは無縁の華奢な身体。そして見た目も、天使の輪が見える程のサラサラの黒い髪に、常に潤んで見える大きくて丸い目。そして髪と目がまっ黒なのとは対照的に、雪のように白く、赤ちゃんのように柔らかくもシミ一つない肌。
…総合すると、どこからどう見ても高校生のコスプレをしている中学生にしか見えなかった。
「ぐぅっ…!身長がっ…身長があと10cmあればっ!…どこに行ったんだよ、僕の成っ長っ期!」
「ぐわぁぁぁ!」と頭を抱えて現実と理想のギャップに絶望していると、階下から「瑞穂くーん、朝ごはん出来たよー」と呼ぶ声が聞こえた。
「…はぁーい!」
まぁ、現実と理想は同じになるとは限らないよな…と諦めた瑞穂は美味しいごはんでこの悲しみを忘れることにした。

 一階に降りると、廊下にまで食欲をそそる味噌汁の香りが漂っていた。
(ん~、いい匂い!)
リビングに行くと、ふわっとしたブラウンの髪に丸い眼鏡、そして紺色のエプロンをつけた男性がダイニングテーブルに朝ごはんを並べていた。
「先生、おはよー」
「あぁ、おはよう」
 先生─霧ヶ夜きりがやみお先生は僕と血が繋がっているわけではないけど、僕の保護者みたいな人でこの家に一緒に住んでいる。32歳という若さでこの家と同じ敷地内にある霧ヶ夜診療所の院長をやっていて、地域の人たちからは『カッコよくて、穏やかで優しい、頼りになる先生』として、とても信頼されている。その噂が他の地区にも広がり、わざわざ娘とのお見合い写真を持ってくる強者つわもの主婦までいた。
そんな先生は、「霧ヶ夜医院とこの家は中の通路で繋がっているから、朝はゆっくりしてても大丈夫なんだ~」と言って、白衣っではなく、エプロンを着けて毎朝ごはんを作ってくれていた。
「そういえば瑞穂くん、さっき上が騒がしかったようだけど、何かあ……わぁ!」
先生はすぐにお皿を並べていた手を止めて、リビングの入口にいる僕の前までパタパタと走って来た。
「瑞穂くん、制服すごく似合ってるよ!」
「そうかなぁ?…うーん、何か中学生のコスプレに見えない?」
「全然そんなことないよ!充分かわっ…カッコいいよ!あ、高校入学記念に写真撮ってもいい?」
「うん!決めポーズするから、カッコよく撮ってね!」
「もちろんだよ。…じゃあいくよ。はいチーズ!」
先生は嬉しそうにスマホのシャッターをきると、「この写真を飾る額縁を買わなきゃ」と言ってスマホを見てニヤニヤしていた。
「先生、そろそろごはん食べよー」
「…あぁ、そうだったね。ついテンションが上がってしまって、朝ごはんのこと忘れていたよ」
僕と先生は席に着いて、「「いただきます」」とごはんを食べ始めた。
「そうだ、瑞穂くん。ちゃんと持ち物は確認した?忘れ物はないかい?」
「昨日のうちから準備万端!」
「ふふふっ、さすがだね。あっ、ちゃんとペンダントは持ってくんだよ?」
「わかってるって。たとえ、授業道具は忘れても、これとお弁当だけは忘れずに持ってくよ!楽しみだからね!」
「そっかぁ。お弁当も楽しみにしてくれてるんだ~。先生、そんなこと言われたら毎日頑張っちゃう!」
そんな和やかな朝食を終え、準備を整えた僕は先生と一緒に玄関にいた。
「いってらっしゃい、瑞穂くん。…『伊月先輩』見つかるといいね。何かあったら連絡するんだよ?」
「うん!行ってきます、先生!」
そう元気よく挨拶をした僕は、玄関を開けて新しい一歩を踏み出して行った。

 温かな太陽の光が優しく木々を照らしている。行き交う人々の中には、ひどく焦って歩いている人もいれば、眠そうに目をこすりながら歩いている人、友人と話をしながら歩いている人など様々だ。
 そんな賑やかな朝の風景の中、瑞穂は『鷹ヶ丘高校』の校門前に立っていた。
目の前の学校をじっと見上げた瑞穂は、「よしっ!」と頬を叩いて気合いをいれると門の中へと入っていった。

 僕は手元の学校案内図を参考にしながら、廊下を歩いていた。
(職員室、職員室…。えっと、こっちかな?)
どうにか『職員室』と書かれた部屋の前にたどり着くとコンコンと扉をノックして中に入った。
「失礼します。
今日から登校予定の、東雲瑞穂です。」
すると、奥から「おーい、東雲」と手を振っている人がいた。
(あの人が担任の先生かな?)
僕はその人のところまで行き、改めて自己紹介をした。
「おはようございます。
今日から登校を開始します、東雲瑞穂です。
よろしくお願いします!」
「おう。
俺は1─B担任の結城ゆうきじんだ。よろしくなー」
眠そうな目をこすりながら挨拶をしてくれた担任の先生は、どこかゆるい雰囲気をもつ30歳くらいの男の人だった。肩につくかつかないかぐらいの髪を後ろできゅっと結び、少し無精髭を生やしているがそれが絶妙に色気となっている。
(おぉ、霧ヶ夜先生とは別タイプのイケメンさんだ…)
「まぁ、何かわからんことがあったらいつでも相談してこいよー。
出来る範囲で答えてやるからなー。
あー、でもガキ共の恋愛には興味ねーから、そういう相談はなしなー」
結城先生がそう言った途端、隣にいた女性の先生がスパーンッとハリセンのようなもので結城先生に突っ込みをいれた。
「結城先生、生徒の前で『ガキ』とか言わないでください!」
「えー。涼実すずみ先生、俺だけに厳し過ぎじゃないですかー?」
「結城先生がしっかりしてないからでしょ!」
(結城先生…ゆるい。けど、怒られながらこっちに手を振ってるし、いい先生そう…!)

 職員室で今後関わることが多い先生たちへの挨拶が終わった僕は、クラスメイトたちへの自己紹介も済ませて、朝のHRの連絡事項を聞いていた。

「─ということで、
今週までには入りたい部活決めとけよ。来週の月曜日には部活の顔合わせがあるからなー」
「「「はーい!」」」

 部活か…何部にしようかな…?と考えているうちにHRが終わり、先生が教室から出ていくと、僕の周りにわっとクラスメイトが集まってきた。
「ねぇねぇ、一ヶ月遅れての入学って珍しいね。このへんに住んでるの?」
「東雲くんってケーキ好き?
俺、河野かわのって言うんだけど、
家がケーキ屋やってるから今度買いにきてよ。」
「お前、クラスメイトに営業すんなよ!
あ、俺は近藤こんどうだよー。東雲って呼び捨てで呼んでいい?」
「てゆーか東雲くん、めっちゃ肌白くない!?羨ましいんだけどー!」

(えぇー…高校生ってこんなに勢いがすごいんだ…)
僕は内心で焦りながら何とか答える。
「そうなんだよ。家の都合で一ヶ月遅れちゃって…。住んでるのはここから結構離れたところだよ。
河野くんの家、ケーキ屋さんなんだ!今度買いに行きたいから、お店の名前教えてよ!
近藤くん、むしろ呼び捨てにしてくれた方が嬉しいな!僕も近藤って呼んでいい?
俺の肌が白いのは、あまり外に出歩かないからなんだよー。
まぁそのせいで、若干不健康気味なんだけど…。あはははは」

 質問ラッシュが一段落すると、キーンコーンカーンコーンとチャイムがなり、一時間目の授業が始まった。高校生になって初めての授業だっけど、僕の意識は全く別の方に向いていた。
(…『伊月先輩』ここにいるんだよね…?唯一の手がかりは僕より一つ年上…二年生っていうことだけ。昼休みにでも二年生の教室に探しに行ってみようかな…)
そうして、窓の外を見て先輩ことを考えてるうちに、あっという間に昼休みになった。

 フラフラと二年生の教室が集まる廊下を歩いて『伊月先輩』を探す。
でも、他学年の廊下を歩くと少なからず目立つので、すれ違う先輩たちからは、「何でここに一年生が?」という目で見られることもしばしば。
そして、ついにはガラの悪い先輩二人組に絡まれてしまった。
「ねぇねぇ、そこの君。
こんなところでどうしたのー?誰か探してるの?
俺が有料で探すの手伝ってあげようかぁ?」
「ぎゃはは!お前、金とるのかよ!」
「ったりめーだろ!
男を無償で助けるわけねーだろ、ばーか!てゆーかコイツ、チビ過ぎて中学生にしか見えねぇんだけど!」
そう言って先輩たちはまた「ぎゃはは!」と笑った。
(中学生じゃないしっ…!ていうか、こういう場合ってどうすれば…)
 僕は助けを求めて周りを歩いている人たちを見たが、ほとんどの人がこちらから目を逸らし関わらないようにしていた。
「どうしよう…」とうつむいていると、後ろから「おい」と声が聞こえた。
振り返ると、制服を着崩し、ビニール袋を持った二年生がこちらを見ていた。少し長めの金髪に、鋭い目、耳にはピアスが二、三個ついていて─
(伊…月……先輩…?)
「そこいると邪魔なんだけど」
大声ではないのに、他を圧倒するような低くお腹に響く声で言った。
すると、僕に絡んでいた先輩たちが少したどたどしく「おっ、おう。伊月、悪ぃーな」と言って伊月先輩がいる方とは逆の方向に走って行った。
(やっぱり伊月先輩だ!)
一部始終をぼーっと見ていた僕ははっとすると、すぐ横を通り過ぎようとする伊月先輩に声をかけた。
「あのっ、伊月先輩!さっきは助けてくれてありがとうございました!」
すると、伊月先輩はチラリと僕を見ると「助けた覚えはねーよ」と言ってまた歩きだそうとした。
(あっ、行っちゃう…!)
「伊月先輩、この後少し時間をいただけないでしょうか!」
僕は反射的に先輩の制服をきゅと握って言った。
先輩は迷惑そうにこっちを見て、
「手ぇ離せ。…まぁ、用があるなら勝手について来れば?」
と言ってどこかに向かって歩きだした。
「はい!ありがとうございます!」
僕はどんどん歩いていく伊月先輩の後を追いかけた。

 着いた先は屋上だった。そこには二年生の先輩が一人いて、こちらに向かって手を振っていた。
伊月先輩はその人のところに行くと、手に持っていた袋からあんパンとコーヒーを渡し、隣に座った。
斗真とうま、悪ぃ。待たせた」
「いいよ。購買混んでたのか?」
「いや、廊下でギャーギャー騒いでる奴らがいて、それどかしてた」
「あはは!それは災難だったな」
斗真と呼ばれた先輩は「それで?」と僕の方にチラリと視線を向けてから、伊月先輩に質問した。
「この一年生はどうしたの?また理音りおとのファン?」
(先輩の下の名前゛理音〝って言うんだー!名前もカッコいい!!)
僕が感激している間に、伊月先輩はパンの袋を開けながら答えた。
「知らねぇ。何か話があるって言うから連れてきた」
「へぇ」
と言うと、斗真先輩は僕の方に顔を向け、
「はじめまして。
理音りおとの幼馴染みで親友の井川いがわ斗真とうまです。よろしく。
とりあえず、君の名前を教えてもらっていいかな?」
「あっ、はじめまして。
1―Bの東雲瑞穂といいます。よろしくお願いします」
「うん。よろしくー。
それで、さっそくなんだけど、東雲くんは理音とどういう知り合いなの?」
その質問に僕はハッとした。
(そういえば、先輩を探しにここまで来ちゃったけど…そもそも僕のこと覚えてるのかな…?)
「あ、えーと…。昔に伊月先輩に会ったことがあって…」
チラリと伊月先輩の様子を伺いながら話していると、先輩がふとこちらを見上げ、僕の顔をじっと見た。
(えっ、ちょ、そんなじっくり見られると恥ずかしいんですが…!?)
僕らは少しの間見つめ合った後、伊月先輩が先にふっと視線を落とした。
「覚えてねー」という言葉と共に。
(そっか、そうだよね…。会っていた時間もそう多くなかったし…)
「そ、そうですよねー!もしかしたら覚えてるかもっ!って伊月先輩を探してたんですけど、やっぱり覚えてないですよね!あはは」
無意識に笑顔をつくりながらそう答えていた。

─大丈夫。忘れてる可能性だって最初からあったじゃないか。
そうだよ、これから思い出してもらえばいいんだ。
だから、大丈夫─

そう自分自身に言い聞かせ、明るく振る舞う。これが瑞穂がこの十五年の間に身に付けた、人と関わる時の処世術だった。
 僕と伊月先輩との間に無言の時間が流れたのに気を使ったのか、斗真先輩が質問を変えた。
「瑞穂くんは、どこで理音と会ったの?」
「あっ、三年ぐらい前に黒月病院で、その時にした約束を…」
そう僕が言った途端、ガシャンッ!とフェンスが大きな音をたてた。見ると伊月先輩が手でフェンスを殴っていた。
「せ、先輩…?」
伊月先輩は無言で立ち上がると出口に向かった。
咄嗟に「っ伊月先輩!」と追いかけようとした僕を、「待って、東雲くん!」と斗真先輩が呼び止めた。
その声に振り返ってた間に伊月先輩はそのまま屋上から姿を消した。
 斗真先輩は「はぁー」と大きなため息を吐くと、先程までの友好的な態度とは逆に僕の方を睨みつけるように見ながら、
「それで、君は理音のことをどれだけ知ってるの?」と聞いてきた。
「し、知っていることはそんなに多くないです。
ただ、三年前に病院の屋上で伊月先輩に初めて会って…
それからは、ちょくちょく屋上で一緒に遊んでたんです」
「その時、何で理音が病院に居たのかも知ってるの?」
「はい。『お母さんのお見舞いに来てる』って言ってました」
「…他に何か話したことある?」
「えっと…。『歌を作ってお母さんに送ってる』って。それで、『将来は歌手になりたい』って話もしてました」
そこまで答えると、斗真先輩はもう一度「はぁ」とため息を吐き、僕に聞こえないような声で「あいつにとって一番会いたくない奴かもな」とボソッと呟くと僕にピッと人差し指を向けてきた。
「とりあえず、君がアイツに余計なことを言わないように、少し事情を話すけど、これから話すことを他の人に言い触らさないって誓える?」
「っはい!絶対に誰にも言いません」
そう僕が言うと、斗真先輩は春の青空を仰いだ。そして、少しをおくと、静かに話を始めた。

「四年ぐらい前に理音のお母さんは肺を悪くして、入院をしたんだ。
理音のお母さんは入院する前に、『理音が元気な姿を見せてくれれば、すぐに病気を治して退院してみせるわ』と理音に言ってたみたいなんだ。
だから理音は、学校帰りに毎日のように病院に行って『お母さんが元気になるように』って歌を送っていたよ。
─でも、そんな親子の頑張りを引き裂くかのように、理音のお母さんの容態は悪くなる一方で、その一年ちょっとあとにお母さんは亡くなったんだ」
そこまで話し、斗真先輩は「んーっ」と伸びをすると、伊月先輩が出ていった屋上のドアを見つめた。
「正直、お母さんが亡くなった後の理音は荒れていて、俺でも近づけなかったよ。
夢だって、お母さんが生きていた頃は『歌手』になるって言っていたのに、今は『歌なんか歌ったって意味ねぇよ』って、諦めてしまったみたいだしね」
斗真先輩はバッと立ち上がると、僕の方を指さし、
「だから、理音の前で三年前の話をするのは禁止!
君が昔の話をする度に、あいつは思い出したくない辛い過去がでてくるんだよ。今もあいつの傷は治ってないんだから、これ以上えぐるような真似をするなよ!」
そう言って屋上から出ていった。

一人残された屋上。
僕はフェンスのそばに立ち、校庭で遊んでいる生徒たちを見つめる。

『─もしお前が──時は、俺が──やるよ』

思い出すのは先輩からもらった約束。
(この約束があったから僕は─)

溢れそうになったものを誤魔化すかのように青空へと目を向け、強すぎる太陽の光に目を細める。
(…僕が昔の話をするだけで先輩が傷つく…。なら、さっき先輩に病院で会ったことを話したのは…)

「…失敗……しちゃったな…」

僕の呟きは春風と共に誰にも聞かれることなく消えていった。

─こうして、先輩との再会は最悪な形で終わりを迎えた。
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