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第二章 前編
第一話
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私は小鳥の囀りで目を覚ました。
薄っすら開けた瞼の隙間から、朝の鮮烈な日光が差し込んできた。
ゆっくりと身体を起こし、周囲を見回して思案するに、どうやらここは森林の中であり、私は力尽きて土の上にうつ伏せ寝していたようだ。
とりあえず洗面でもして心身を整えようと、辿り着いた池の水面を覗き込んだ。
そして、そこに映った物に仰天し、腰を抜かしそうになった。
衰弱状態に加え、砂や土や体液がへばり付いた生気のない己の顔は、まるで怪物のそれと遜色なく見えた。
よく見ると服も酷い汚れ様で、所々破れて無惨であった。
気は進まないが池の水を飲んだ。それから私は周りを周囲を入念に確認して、足が届くことを確認すると脱衣して中に入った。
適度な冷たさの水が身体をリフレッシュさせ、脳を活性化させる。
心地よさから何気なく水を掻き上げ、快活に洗面した。
「あれ?」
自分の両手を見つめる。
トロールの悪あがきで折られた右腕、アルクへの猛打で砕けた左拳は、驚くべきことに、全くの無傷であった。
それだけではない。
全身の無数に入っていたであろう生傷の一つも、その瘡蓋の治癒痕すら残していないのだ。
まるで昨夜の事が全て夢であったかのように。
真に夢であったらどんなに嬉しかっただろうか。
服に付着した返り血をこすり洗いしながらふと思いを馳せた。
一通り服に対して可能な限りの処置を終えた後、一先ず下着だけを着用し、残りを木に吊るして乾かしておいた。
近くに大きめの布が落ちていたので汚れを払い落としてそれを仮の衣として使用しつつ、樹の実を拾って、遅めの朝食、或いは早めの昼食として自然に感謝しつつ食した。
「うっ」
思いの外渋味と酸味が強烈であったが、目に涙を浮かべながら平らげた。
凡そ正午を過ぎる頃には服の水分が全て蒸発してくれたので完全防備となり、一期一会の布には別れを告げた。
結局アルクの血液は落とせなかった。
しばらく歩くと、森を抜けることが出来、道が見えた。
向こう側から、馬に乗った一団がやって来た。
薄っすら開けた瞼の隙間から、朝の鮮烈な日光が差し込んできた。
ゆっくりと身体を起こし、周囲を見回して思案するに、どうやらここは森林の中であり、私は力尽きて土の上にうつ伏せ寝していたようだ。
とりあえず洗面でもして心身を整えようと、辿り着いた池の水面を覗き込んだ。
そして、そこに映った物に仰天し、腰を抜かしそうになった。
衰弱状態に加え、砂や土や体液がへばり付いた生気のない己の顔は、まるで怪物のそれと遜色なく見えた。
よく見ると服も酷い汚れ様で、所々破れて無惨であった。
気は進まないが池の水を飲んだ。それから私は周りを周囲を入念に確認して、足が届くことを確認すると脱衣して中に入った。
適度な冷たさの水が身体をリフレッシュさせ、脳を活性化させる。
心地よさから何気なく水を掻き上げ、快活に洗面した。
「あれ?」
自分の両手を見つめる。
トロールの悪あがきで折られた右腕、アルクへの猛打で砕けた左拳は、驚くべきことに、全くの無傷であった。
それだけではない。
全身の無数に入っていたであろう生傷の一つも、その瘡蓋の治癒痕すら残していないのだ。
まるで昨夜の事が全て夢であったかのように。
真に夢であったらどんなに嬉しかっただろうか。
服に付着した返り血をこすり洗いしながらふと思いを馳せた。
一通り服に対して可能な限りの処置を終えた後、一先ず下着だけを着用し、残りを木に吊るして乾かしておいた。
近くに大きめの布が落ちていたので汚れを払い落としてそれを仮の衣として使用しつつ、樹の実を拾って、遅めの朝食、或いは早めの昼食として自然に感謝しつつ食した。
「うっ」
思いの外渋味と酸味が強烈であったが、目に涙を浮かべながら平らげた。
凡そ正午を過ぎる頃には服の水分が全て蒸発してくれたので完全防備となり、一期一会の布には別れを告げた。
結局アルクの血液は落とせなかった。
しばらく歩くと、森を抜けることが出来、道が見えた。
向こう側から、馬に乗った一団がやって来た。
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