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第一章
最終話
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目を凝らして見てみると、村長の両脇に立っていたのは、私のお父さんとお母さんだった。
「お前たちには相応の責任を負ってもらう」
村長は厳しい表情で何やらそう発言したように聞こえたが、相手が誰なのかは分からないし、その意図も甚だ不明瞭だった。
されど重々しい語気は妙に私の注意を引いた。
いよいよ心細くなり、私は状況説明を、アルクの代わりに両親に求めることにした。
だが一歩踏み出した時、変な感触があった。
足元に注意を向けた。
アルクだ。
正真正銘、アルクだった。
顔は抉れ、頬からは歯が見えていたが、アルクだった。
アルクだった。
アルクだったのだ。
突然、私の手足は動かなくなり、涙が滝のように溢れ出した。
「ああ、お父さ…」
私は無意識の内に何より信頼できる両親の方を見ていた。
その時に、気付いたのだ。
二人は私を凝視していた。
だが、その目は娘に向けられているものではない。
その目は、私を今まで虐げてきた村の連中と全く同じだった。
「悪魔」を見る目だ。
「こいつは両手を折っているし、衰弱しておる。今なら仕留められるだろう」
村長の声に呼応し、息子たちが群衆の中から歩み出てきた。
その手には、狼を追い払う時に使う農具とは到底思えない、恐ろしい物が握られていた。
その造形には覚えがあった。
彼らが装備しているのは、かつて村長宅の内部に飾ってあった、あの剣と鎧だ。
ここで彼らの殺意を初めて理解した。
「ああ、ああ…!!」
私は次の瞬間、群衆に向かって走り出した。
彼らは左右に退いたので、なんとか抜け出すことが出来た。
少し離れてから振り返ると、遠くに十一年間両親と慕った人の顔が見えた。
同時に全ての記憶がフラッシュバックし、その苦痛の為に私は意図せず足を速めた。
今日、私は大事なものを三つ喪失した。
一つは最近やっと好きになれた故郷。二つ目は私を外の世界へと連れ出し、今の私たらしめ、初めての恋をくれたアルク。
そして三つ目は、迫害の十一年間、常に私の味方になってくれ、苦痛にまみれた人生を継続する唯一の意味であった、掛け替えのない両親。
いつしか足は止まり、私は暗い大地に倒れ込んだ。
意識が遠くなっていくのを感じながら、目を閉じた。
「お前たちには相応の責任を負ってもらう」
村長は厳しい表情で何やらそう発言したように聞こえたが、相手が誰なのかは分からないし、その意図も甚だ不明瞭だった。
されど重々しい語気は妙に私の注意を引いた。
いよいよ心細くなり、私は状況説明を、アルクの代わりに両親に求めることにした。
だが一歩踏み出した時、変な感触があった。
足元に注意を向けた。
アルクだ。
正真正銘、アルクだった。
顔は抉れ、頬からは歯が見えていたが、アルクだった。
アルクだった。
アルクだったのだ。
突然、私の手足は動かなくなり、涙が滝のように溢れ出した。
「ああ、お父さ…」
私は無意識の内に何より信頼できる両親の方を見ていた。
その時に、気付いたのだ。
二人は私を凝視していた。
だが、その目は娘に向けられているものではない。
その目は、私を今まで虐げてきた村の連中と全く同じだった。
「悪魔」を見る目だ。
「こいつは両手を折っているし、衰弱しておる。今なら仕留められるだろう」
村長の声に呼応し、息子たちが群衆の中から歩み出てきた。
その手には、狼を追い払う時に使う農具とは到底思えない、恐ろしい物が握られていた。
その造形には覚えがあった。
彼らが装備しているのは、かつて村長宅の内部に飾ってあった、あの剣と鎧だ。
ここで彼らの殺意を初めて理解した。
「ああ、ああ…!!」
私は次の瞬間、群衆に向かって走り出した。
彼らは左右に退いたので、なんとか抜け出すことが出来た。
少し離れてから振り返ると、遠くに十一年間両親と慕った人の顔が見えた。
同時に全ての記憶がフラッシュバックし、その苦痛の為に私は意図せず足を速めた。
今日、私は大事なものを三つ喪失した。
一つは最近やっと好きになれた故郷。二つ目は私を外の世界へと連れ出し、今の私たらしめ、初めての恋をくれたアルク。
そして三つ目は、迫害の十一年間、常に私の味方になってくれ、苦痛にまみれた人生を継続する唯一の意味であった、掛け替えのない両親。
いつしか足は止まり、私は暗い大地に倒れ込んだ。
意識が遠くなっていくのを感じながら、目を閉じた。
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