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第一章
第十二話
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「裁判」は初回以上に円滑に進められた。
既に「証言」は得られていたし、私が悪で、その保護者たる両親も罪人であることは自明のこととして扱われていたからである。
私達には発言権さえ与えられない。
「では、お前たちが受ける罰について説明するからよく聞け」
村長が咳払いをし、判決まで一秒の間が空いた。
その一秒間で私の脳内を、数百もの思考が飛び交った。
一年前、一回目の裁判において私達三人に与えられた罰は、五日間の絶食だった。
水だけは摂ることが許可されていたので乗り越えることが出来たが、みんな身体が動かなくなったり、お父さんが自分の指を食べようとしたり、悲惨だった。
次はどんな目に遭うのかわからない。
だがきっと初回より過酷なものだろう。
私達は、全身を耳にした。
ついに、村長の重い口が開かれる。
「お前たちが受ける罰はーー」
「待ってくれ」
誰かの声が村長の言葉を遮った。
皆が一斉に入り口の方を向く。
そこにはアルクが立っていた。
「グレアは悪くねえ! 悪いのは俺なんだ! 裁くなら俺にしろ!」
彼は村長の方を直視して言った。
村長は頭をポリポリ掻き、首を傾げた。
「お前は、エグの所の息子だな。どういうことだ?」
アルクは事件の経緯を冷静に説明し、私に科はないこと、自らの責任を強調した。そして、村長のすぐ前まで歩いてきて、五体投地した。
「お願いだ。グレアを助けてくれ」
村長は彼をしばらく黙って見下ろしていた。
「坊主、お前さんの言いたいことはよく分かった」
村長はやがてそう言った。
「だがな、他の子供の親の言っていることとお前の言っていることは違うぞい。お前は自分が嘘をついていないと誓えるか?」
「ああ!」
アルクは力強く返事した。
「もし嘘をついていたなら、お前さんの親父を通じて、お前にきつい罰をきっと与えるぞ。それでも誓えるか?」
「ああ!」
アルクは再度力強く答えた。
村長は目を瞑り、しばらくすると言った。
「エグの息子の言葉に免じて、無罪とする」
確かに、そう言ったのだった。
建物から出てすぐ、私達が跪こうとすると、アルクは慌てて止めた。
「悪いのは俺なんだ。そんなのよしてくれ」
彼は私と二人きりになりたいと言った。
お母さんとお父さんにも許しを得て、私達はいつもの芝生の上に座った。
アルクが、静かに切り出した。
「実は俺は母さんに逆らってここに来たんだ。だから、明日から会えなくなるかもしれねえ。ごめんな」
申し訳無さそうに笑うアルクの顔を見て、私は言葉を詰まらせていた。
思うように動かない唇から辛うじて返答が出てきた。
「今までありがとうね。アルクと一緒に居られて、楽しかったよ」
既に「証言」は得られていたし、私が悪で、その保護者たる両親も罪人であることは自明のこととして扱われていたからである。
私達には発言権さえ与えられない。
「では、お前たちが受ける罰について説明するからよく聞け」
村長が咳払いをし、判決まで一秒の間が空いた。
その一秒間で私の脳内を、数百もの思考が飛び交った。
一年前、一回目の裁判において私達三人に与えられた罰は、五日間の絶食だった。
水だけは摂ることが許可されていたので乗り越えることが出来たが、みんな身体が動かなくなったり、お父さんが自分の指を食べようとしたり、悲惨だった。
次はどんな目に遭うのかわからない。
だがきっと初回より過酷なものだろう。
私達は、全身を耳にした。
ついに、村長の重い口が開かれる。
「お前たちが受ける罰はーー」
「待ってくれ」
誰かの声が村長の言葉を遮った。
皆が一斉に入り口の方を向く。
そこにはアルクが立っていた。
「グレアは悪くねえ! 悪いのは俺なんだ! 裁くなら俺にしろ!」
彼は村長の方を直視して言った。
村長は頭をポリポリ掻き、首を傾げた。
「お前は、エグの所の息子だな。どういうことだ?」
アルクは事件の経緯を冷静に説明し、私に科はないこと、自らの責任を強調した。そして、村長のすぐ前まで歩いてきて、五体投地した。
「お願いだ。グレアを助けてくれ」
村長は彼をしばらく黙って見下ろしていた。
「坊主、お前さんの言いたいことはよく分かった」
村長はやがてそう言った。
「だがな、他の子供の親の言っていることとお前の言っていることは違うぞい。お前は自分が嘘をついていないと誓えるか?」
「ああ!」
アルクは力強く返事した。
「もし嘘をついていたなら、お前さんの親父を通じて、お前にきつい罰をきっと与えるぞ。それでも誓えるか?」
「ああ!」
アルクは再度力強く答えた。
村長は目を瞑り、しばらくすると言った。
「エグの息子の言葉に免じて、無罪とする」
確かに、そう言ったのだった。
建物から出てすぐ、私達が跪こうとすると、アルクは慌てて止めた。
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「実は俺は母さんに逆らってここに来たんだ。だから、明日から会えなくなるかもしれねえ。ごめんな」
申し訳無さそうに笑うアルクの顔を見て、私は言葉を詰まらせていた。
思うように動かない唇から辛うじて返答が出てきた。
「今までありがとうね。アルクと一緒に居られて、楽しかったよ」
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