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プロローグ
P-05
しおりを挟むこの日もまた、偶然にも雨天であった。
いつもと違い、時間になってもロキが現れないのでソウは胸騒ぎを覚えていた。
少年の鋭敏な直感が残酷な事実へ辿り着く為の標となった。
隠れ家から数百m離れた所で、ボロボロに切り刻まれ、頭部にグラディア用の大剣が突き刺さった死体が横たわっていた。
最初見た時、ソウは目の前の肉塊がロキだとは思えなかった。
起因したのは拒否反応だけではない。
損害が激しく、知人が見ても、実際に判別が困難だったのである。
ソウは雨の中呆然と立ち尽くしたが、腕時計が無事なのを見ると取り外してポケットにしまい込み、周囲に最大限目を光らせながら早急に隠れ家へと帰還した。
剣も気になったが、恐ろしくて触る気にはなれなかった。
この時、ソウの胸中には、怒りというよりも、よりどす黒い、溢れ出る憎悪のような感情が渦巻いていた。
「ロキをころしたやつを、おれがころしてやる」
この弓と一緒に、と。
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