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決戦にて さらなる先制攻撃と残りのものとの対面
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教団の本拠地の中から魔石の叫び声が聞こえなくなると屋内の様子を界気化で感知できるようになった。…………中に人はいないね。
「みんな、思いっきりやって良いよ」
「中がわかるようになったのか?」
「うん。たぶん中の魔石が僕の魔力を通りづらくしてたみたい。今は隅々まで見通せて監禁されてる人がいないのもわかる」
「はは、そういう事なら遠慮はいらねえな‼︎」
再びラカムタさん達は胸に魔力を集めて、ナイルさん達は強化魔法の出力を上げていき、鬼熊は爪に破壊猪は鼻にディグリは腕に力を溜め始めた。……そういえばミックは素の姿だと遠距離攻撃は無いんだったな。あ、破壊猪の姿に変わっていくからミックも参加する気満々だね。僕も負けてられないので、もう一度魔法を準備する。
「緑盛魔法・純粋なる緑を纏う魔弾」
みんなの準備が終わったの見計らい僕が魔弾を撃ちだすと、ラカムタさん達の竜人息・ナイルさん達の魔力を込めた拳圧・鬼熊の魔力刃・破壊猪とミックの鼻息弾・ディグリの魔力砲が炸裂した。…………よし、どんどん爆発が起きていき建物が崩壊していく。なんか僕達の魔法や攻撃が干渉しあってるのか爆発が起き続けてて、爆発の規模もどんどん大きくなっていった。
「みんな、いったん退避で」
「そ、そうだな。下がるぞ‼︎」
さすがのみんなも爆発の大きさに顔が引き攣っていてためらわず下がり、台地の頂上と地面をつなぐ斜面まで走って避難すると一番大きな爆発が起きた。僕達は斜面にいるから爆風とかの影響が小さかったけど振動がけっこう来るね。ナイルさんが大穴の近くで待機してる人達に自分達の無事を知らせる合図を送ってくれたから混乱は収まったはず。
「ヤートと三体が引き起こした大神林の一部を吹き飛ばした爆発に比べたら小さいが、それでも激しかったな」
「父さん、そこでそれを言わないで」
ナイルさん達が父さんの発言を聞いて、僕をそんなバカなという目で見てくる。何回も僕が、そういう事したっていうのを聞いてだけど実感ができてなかったのかな?
「…………そうなの。ヤート君もけっこう激しいところがあるのね」
「あの時は、とにかく三体に負けたくなかったから植物達の力を貸してもらって全力を出した結果だよ」
僕と三体の戦いを説明してると教団の本拠地を消し飛ばしている爆発がおさまってきた。それにしても妙に爆発が長いのは、僕達の魔法以外に何か爆発物があったためかもしれない。斜面から顔だけ出して見ていたラカムタさんが戻ってくる。
「熱と音と爆風がうっとうしすぎる。ヤート、爆心地の様子を感知できるか?」
「爆発でだいぶ乱れてるけど、集中して探ればできると思う」
「そうか、それなら頼む」
「わかった」
僕が目を閉じて感知に集中すると、みんなは静かにしてくれた。…………教団の本拠地があったところは魔力と熱がすごいな。これだけの爆発に巻き込まれたら普通は生き残れない。でも、相手はずっと昔から生き残ってた魔石だから油断はできないので、僕は慎重に探っていき見つけた。
「ラカムタさん」
「どうした?」
「爆発の中に生きてるものが二体いる」
「……あの爆発に巻き込まれて生きてるのか」
「ギリギリ耐えてるって感じだね」
「追撃をしてとどめを刺すぞ」
ラカムタさんが言うと、みんなも動き始めたから僕は待ったをかける。
「これ以上魔法を撃ち込むのは、爆発の規模と威力がどう変わるのか読めないから賛成できない」
「それなら……このまま見てるしかないのか?」
「うん、爆発が完全に止まるまで待って直接とどめを刺すべきだと思う」
「…………わかった」
ラカムタさん達が爆発の中にいる奴らをにらみながら待つ事数分、ようやく爆発が全ておさまった。本当に長かったな。何でここまで持続したのかはよくわからないね。ただ、これだけの爆発にさらされ続けたんだから、巻き込まれた奴らが消耗してるのは間違いない。全員で斜面を上り台地を見渡せる場所まで出たら、少し前に僕達が見た景色と全く違う状況になっていた。
「…………退避して正解だったわ」
「私もそう思ってるところよ。これは山火事や嵐とは比較にならないわね」
ナイルさんと黄河さんが爆発後の頂上の感想を言ってるけど、僕も同じだ。まさか、見上げる高さの教団の本拠地が跡形もなく消し飛んで、台地の頂上にお椀型の巨大な爆発痕ができているとは思わなかったよ。爆発自体はおさまってるけど、ものすごく焦げ臭いからはっきり言ってさっさと離れたい。でも、我慢して僕は最高精度の界気化した魔力を爆心地とその周辺に放った。
「…………ヤート、どうだ?」
「うん、見つけた。あれ」
僕が指でさした先には爆発痕の斜面を転がっている二つの塊がある。ラカムタさん達は本当かっていう感じで僕を見てくるから説明をしておく。
「爆発に耐えるために自分の周りを粘度の高い汚泥で覆ってるみたい。しかも衝撃波と熱で表面が吹き飛んでも次々中から汚泥を補充して形を保つっていう、なかなか器用な使い方をしてる。もしかしたらリザッバやあの叫んでた三人より格上かも」
「ほう、それは楽しみだ。ところでヤート」
「何? ラカムタさん」
「あいつらは直接見えてるから攻撃して良いよな?」
「えーと……」
「良いよな?」
ラカムタさんが目をギラギラさせながら聞いてくる。爆発が続いてる時に攻撃できなかったから本当にイラついてたんだね。
「うん、あいつらに反撃の余裕はないだろうし好きなだけ攻撃して」
「その言葉を待っていた……ぞ‼︎」
ラカムタさんが転がりながら爆発後の熱に耐えているだろう二つの塊に竜人息を放ったけど命中しなかった。なぜなら多少の凹凸があるものの球体に近い見た目だった二つの塊の表面から無数の鋭い棘と蜘蛛の足のような突起が数本伸び、それ使ってシャカシャカと不規則に移動を始めたからだ。…………棘の防御と不規則な動きを見てると大霊湖で戦った魔石の動きを思い出すね。
「チッ、やっぱり近づくと面倒くさい奴か……。おい、遠距離で攻めて潰すぞ。お前らも手伝え」
ラカムタさんに言われて、みんなも竜人息を始めとした遠距離攻撃を放っていく。僕も攻撃に加わろうかとも思ったけど見てたらみんなの攻撃が全て避けられてるので、僕は純粋なる緑を纏う魔弾の軌道をバラけさせ二つの塊の動ける範囲を制限するのに専念した。
それなりの時間攻撃を続けたけど結局攻撃を当てる事ができず、爆発痕内の熱が冷めるまで逃げ切った二つの塊は爆発痕の底でピタリと動きを止める。そして二つの塊からピシッという音が鳴りヒビが入った。そのヒビはどんどん縦に長くなっていき最終的に塊を縦に一周した次の瞬間二つの塊は割れ、中から一見普人族に見える奴らが出てきて僕をにらんでくる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「みんな、思いっきりやって良いよ」
「中がわかるようになったのか?」
「うん。たぶん中の魔石が僕の魔力を通りづらくしてたみたい。今は隅々まで見通せて監禁されてる人がいないのもわかる」
「はは、そういう事なら遠慮はいらねえな‼︎」
再びラカムタさん達は胸に魔力を集めて、ナイルさん達は強化魔法の出力を上げていき、鬼熊は爪に破壊猪は鼻にディグリは腕に力を溜め始めた。……そういえばミックは素の姿だと遠距離攻撃は無いんだったな。あ、破壊猪の姿に変わっていくからミックも参加する気満々だね。僕も負けてられないので、もう一度魔法を準備する。
「緑盛魔法・純粋なる緑を纏う魔弾」
みんなの準備が終わったの見計らい僕が魔弾を撃ちだすと、ラカムタさん達の竜人息・ナイルさん達の魔力を込めた拳圧・鬼熊の魔力刃・破壊猪とミックの鼻息弾・ディグリの魔力砲が炸裂した。…………よし、どんどん爆発が起きていき建物が崩壊していく。なんか僕達の魔法や攻撃が干渉しあってるのか爆発が起き続けてて、爆発の規模もどんどん大きくなっていった。
「みんな、いったん退避で」
「そ、そうだな。下がるぞ‼︎」
さすがのみんなも爆発の大きさに顔が引き攣っていてためらわず下がり、台地の頂上と地面をつなぐ斜面まで走って避難すると一番大きな爆発が起きた。僕達は斜面にいるから爆風とかの影響が小さかったけど振動がけっこう来るね。ナイルさんが大穴の近くで待機してる人達に自分達の無事を知らせる合図を送ってくれたから混乱は収まったはず。
「ヤートと三体が引き起こした大神林の一部を吹き飛ばした爆発に比べたら小さいが、それでも激しかったな」
「父さん、そこでそれを言わないで」
ナイルさん達が父さんの発言を聞いて、僕をそんなバカなという目で見てくる。何回も僕が、そういう事したっていうのを聞いてだけど実感ができてなかったのかな?
「…………そうなの。ヤート君もけっこう激しいところがあるのね」
「あの時は、とにかく三体に負けたくなかったから植物達の力を貸してもらって全力を出した結果だよ」
僕と三体の戦いを説明してると教団の本拠地を消し飛ばしている爆発がおさまってきた。それにしても妙に爆発が長いのは、僕達の魔法以外に何か爆発物があったためかもしれない。斜面から顔だけ出して見ていたラカムタさんが戻ってくる。
「熱と音と爆風がうっとうしすぎる。ヤート、爆心地の様子を感知できるか?」
「爆発でだいぶ乱れてるけど、集中して探ればできると思う」
「そうか、それなら頼む」
「わかった」
僕が目を閉じて感知に集中すると、みんなは静かにしてくれた。…………教団の本拠地があったところは魔力と熱がすごいな。これだけの爆発に巻き込まれたら普通は生き残れない。でも、相手はずっと昔から生き残ってた魔石だから油断はできないので、僕は慎重に探っていき見つけた。
「ラカムタさん」
「どうした?」
「爆発の中に生きてるものが二体いる」
「……あの爆発に巻き込まれて生きてるのか」
「ギリギリ耐えてるって感じだね」
「追撃をしてとどめを刺すぞ」
ラカムタさんが言うと、みんなも動き始めたから僕は待ったをかける。
「これ以上魔法を撃ち込むのは、爆発の規模と威力がどう変わるのか読めないから賛成できない」
「それなら……このまま見てるしかないのか?」
「うん、爆発が完全に止まるまで待って直接とどめを刺すべきだと思う」
「…………わかった」
ラカムタさん達が爆発の中にいる奴らをにらみながら待つ事数分、ようやく爆発が全ておさまった。本当に長かったな。何でここまで持続したのかはよくわからないね。ただ、これだけの爆発にさらされ続けたんだから、巻き込まれた奴らが消耗してるのは間違いない。全員で斜面を上り台地を見渡せる場所まで出たら、少し前に僕達が見た景色と全く違う状況になっていた。
「…………退避して正解だったわ」
「私もそう思ってるところよ。これは山火事や嵐とは比較にならないわね」
ナイルさんと黄河さんが爆発後の頂上の感想を言ってるけど、僕も同じだ。まさか、見上げる高さの教団の本拠地が跡形もなく消し飛んで、台地の頂上にお椀型の巨大な爆発痕ができているとは思わなかったよ。爆発自体はおさまってるけど、ものすごく焦げ臭いからはっきり言ってさっさと離れたい。でも、我慢して僕は最高精度の界気化した魔力を爆心地とその周辺に放った。
「…………ヤート、どうだ?」
「うん、見つけた。あれ」
僕が指でさした先には爆発痕の斜面を転がっている二つの塊がある。ラカムタさん達は本当かっていう感じで僕を見てくるから説明をしておく。
「爆発に耐えるために自分の周りを粘度の高い汚泥で覆ってるみたい。しかも衝撃波と熱で表面が吹き飛んでも次々中から汚泥を補充して形を保つっていう、なかなか器用な使い方をしてる。もしかしたらリザッバやあの叫んでた三人より格上かも」
「ほう、それは楽しみだ。ところでヤート」
「何? ラカムタさん」
「あいつらは直接見えてるから攻撃して良いよな?」
「えーと……」
「良いよな?」
ラカムタさんが目をギラギラさせながら聞いてくる。爆発が続いてる時に攻撃できなかったから本当にイラついてたんだね。
「うん、あいつらに反撃の余裕はないだろうし好きなだけ攻撃して」
「その言葉を待っていた……ぞ‼︎」
ラカムタさんが転がりながら爆発後の熱に耐えているだろう二つの塊に竜人息を放ったけど命中しなかった。なぜなら多少の凹凸があるものの球体に近い見た目だった二つの塊の表面から無数の鋭い棘と蜘蛛の足のような突起が数本伸び、それ使ってシャカシャカと不規則に移動を始めたからだ。…………棘の防御と不規則な動きを見てると大霊湖で戦った魔石の動きを思い出すね。
「チッ、やっぱり近づくと面倒くさい奴か……。おい、遠距離で攻めて潰すぞ。お前らも手伝え」
ラカムタさんに言われて、みんなも竜人息を始めとした遠距離攻撃を放っていく。僕も攻撃に加わろうかとも思ったけど見てたらみんなの攻撃が全て避けられてるので、僕は純粋なる緑を纏う魔弾の軌道をバラけさせ二つの塊の動ける範囲を制限するのに専念した。
それなりの時間攻撃を続けたけど結局攻撃を当てる事ができず、爆発痕内の熱が冷めるまで逃げ切った二つの塊は爆発痕の底でピタリと動きを止める。そして二つの塊からピシッという音が鳴りヒビが入った。そのヒビはどんどん縦に長くなっていき最終的に塊を縦に一周した次の瞬間二つの塊は割れ、中から一見普人族に見える奴らが出てきて僕をにらんでくる。
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