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決戦後にて 水上移動の方法と予想を超えてくる植物
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イーリリスさんに島の地面へと降ろしてもらい地面の状態を確かめる。……うん、大霊湖の水源近くあるに土だけあって魔力が隅々まで行き渡ってるね。これならここで魔法を発動させても問題ない。でも、一応イーリリスさんに聞いておこうかな。
「イーリリスさん、この島で魔法を使っても大丈夫?」
「それほど規模が大きくないなら構いませんよ」
「わかった。ありがとう」
僕はイーリリスさんに礼を言って腰の小袋から種を取り出し足もとに埋めて魔法を発動させた。
「緑盛魔法・超育成・緑葉船」
種は僕の魔法をきっかけに土中から水源の魔力を吸収して発芽し双葉の状態まで成長すると、片方の葉が枯れ残ったもう一方の葉がどんどん大きくなっていく。そして残った葉が前世の数人乗りのモーターボートくらいまで大きくなったら、葉が茎と繋がっている葉柄部分がプチッと切れて地面にゴロンと転がる。僕は発芽した植物を種の状態に戻して回収し、緑葉船を持ち上げ運んで大霊湖の水面に浮かせた。
「イーリリスさん、これに乗って」
「…………」
「イーリリスさん?」
「は、はい」
イーリリスさんが緑葉船に乗り込む。始めその動作は恐る恐るだったのが、乗り込んで体重をかけても沈まないとわかってからは、積極的に緑葉船を端から端まで移動しつつ、あちこちを叩いたり各部を見て回っていた。
僕もそんなイーリリスさんの様子を見ながら乗り込み葉柄部分の近くに座って、腰の小袋から別の種を三つ取り出し葉柄部分に置いて魔法を発動させる。
「緑盛魔法・超育成・風吹き花」
三つの種が成長して葉柄部分に根付き、それぞれ黄色の花を咲かせた後にもう一度蕾の状態になって蕾の先を緑葉船の後ろに向ける。
「ヤート殿、その花は何ですか?」
「これは風吹き花っていう名前で、危険を感じると蕾の状態に戻って蕾から風を吹き出す性質がある花だよ。もちろん大神林だけの植物」
「風を吹き出す……?」
「そう、この風吹き花の風は、かなり強力で自分よりも大きな草食獣を撃退したり、自分の種を遠くに飛ばしたりする」
「なるほど、さすがは大神林の植物ですね」
「イーリリスさんは僕が何で風吹き花を成長させたのかが、気になってるみたいだから見せるね。あ、急に動くから緑葉船に捕まってて」
「……わかりました」
僕はイーリリスさんが緑葉船に捕まったのを確認してから風吹き花に触り、風を吹き出してとお願いした。そうすると……、緑葉船が風吹き花の吹き出す風を推進力に大霊湖の水上を進みだす。要は前世の世界にあったモーターボートを魔法を使って再現したというわけだ。
しばらく大霊湖の水上を進んでるわけだけど、遮蔽物のない水上で風をかき分ける感じは二体の背中に乗って爆走した時とも違って楽しいな。
「私も長く生きていますが、自分の力を使わずに突き進むこの感覚は初めて味わいます。とても素晴らしいですね。ヤート殿」
イーリリスさんも楽しんでくれてるみたいだから、この移動方法を選んで良かった。
さらに進むと進行方向の湖面に緑が拡がってきた。どうやらようやく僕が青の村の広場で発動させた樹林緑地界降臨の効果範囲に到達したみたい。苔達の地面に横付けするように緑葉船を止めて周りを見渡しても青の村も僕が沈んでいた泉の島も見えない。
「魔石の動きを封じるために効果範囲を最大限にしたとはいえ、ここまで広がってるとは思わなかった」
「私もヤート殿を源泉の島に運んでる時、ずいぶん驚きました」
「そうか、イーリリスさんは源泉の島まで僕を運んでくれたんだよね。慣れない事をさせてごめん」
「いえいえ、大霊湖の上を歩けたという貴重な体験ができたので気にしないでください」
僕の改めての謝罪をイーリリスさんは笑って受け止めてくれたから、この事はこれ以上言わないようにして、今僕のできる事をやろう。
「このまま苔達が水面を覆ってるのは、大霊湖の生物達にも悪いから苔達に動いてもらうよ」
「ヤート殿、今大規模な魔法を使うのは身体に障ります」
「僕はきっかけになるだけだから、その点は大丈夫」
「……わかりました。ただ、私がまずいと判断したら止めますので、そこはご了承ください」
「わかった。それじゃあ始めるね。緑盛魔法・苔巨人兵」
僕の魔法の発動とともに水面を覆っていた苔達が緑色に発光し動き出す。まず僕達から少し離れたところの苔達が集まりボコッと盛り上がり、そこに周りから他の苔達が集まってきて大きさが増していく。このままこの盛り上がりが苔巨人兵になるんだなって思い様子を見ていると、始めに盛り上がった部分以外にも次々ボコッと盛り上がってきた。
「あれ?」
今回の場合、僕は一体の苔巨人兵になってもらうつもりだったんだけど、最終的に十体になったのは予想外だ。イーリリスさんも目の前に並んでる苔巨人兵達を見て絶句していた。なんか大霊湖の膨大な魔力に触れた植物達が見せる動きは、僕の予想を超えるから驚きだよ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「イーリリスさん、この島で魔法を使っても大丈夫?」
「それほど規模が大きくないなら構いませんよ」
「わかった。ありがとう」
僕はイーリリスさんに礼を言って腰の小袋から種を取り出し足もとに埋めて魔法を発動させた。
「緑盛魔法・超育成・緑葉船」
種は僕の魔法をきっかけに土中から水源の魔力を吸収して発芽し双葉の状態まで成長すると、片方の葉が枯れ残ったもう一方の葉がどんどん大きくなっていく。そして残った葉が前世の数人乗りのモーターボートくらいまで大きくなったら、葉が茎と繋がっている葉柄部分がプチッと切れて地面にゴロンと転がる。僕は発芽した植物を種の状態に戻して回収し、緑葉船を持ち上げ運んで大霊湖の水面に浮かせた。
「イーリリスさん、これに乗って」
「…………」
「イーリリスさん?」
「は、はい」
イーリリスさんが緑葉船に乗り込む。始めその動作は恐る恐るだったのが、乗り込んで体重をかけても沈まないとわかってからは、積極的に緑葉船を端から端まで移動しつつ、あちこちを叩いたり各部を見て回っていた。
僕もそんなイーリリスさんの様子を見ながら乗り込み葉柄部分の近くに座って、腰の小袋から別の種を三つ取り出し葉柄部分に置いて魔法を発動させる。
「緑盛魔法・超育成・風吹き花」
三つの種が成長して葉柄部分に根付き、それぞれ黄色の花を咲かせた後にもう一度蕾の状態になって蕾の先を緑葉船の後ろに向ける。
「ヤート殿、その花は何ですか?」
「これは風吹き花っていう名前で、危険を感じると蕾の状態に戻って蕾から風を吹き出す性質がある花だよ。もちろん大神林だけの植物」
「風を吹き出す……?」
「そう、この風吹き花の風は、かなり強力で自分よりも大きな草食獣を撃退したり、自分の種を遠くに飛ばしたりする」
「なるほど、さすがは大神林の植物ですね」
「イーリリスさんは僕が何で風吹き花を成長させたのかが、気になってるみたいだから見せるね。あ、急に動くから緑葉船に捕まってて」
「……わかりました」
僕はイーリリスさんが緑葉船に捕まったのを確認してから風吹き花に触り、風を吹き出してとお願いした。そうすると……、緑葉船が風吹き花の吹き出す風を推進力に大霊湖の水上を進みだす。要は前世の世界にあったモーターボートを魔法を使って再現したというわけだ。
しばらく大霊湖の水上を進んでるわけだけど、遮蔽物のない水上で風をかき分ける感じは二体の背中に乗って爆走した時とも違って楽しいな。
「私も長く生きていますが、自分の力を使わずに突き進むこの感覚は初めて味わいます。とても素晴らしいですね。ヤート殿」
イーリリスさんも楽しんでくれてるみたいだから、この移動方法を選んで良かった。
さらに進むと進行方向の湖面に緑が拡がってきた。どうやらようやく僕が青の村の広場で発動させた樹林緑地界降臨の効果範囲に到達したみたい。苔達の地面に横付けするように緑葉船を止めて周りを見渡しても青の村も僕が沈んでいた泉の島も見えない。
「魔石の動きを封じるために効果範囲を最大限にしたとはいえ、ここまで広がってるとは思わなかった」
「私もヤート殿を源泉の島に運んでる時、ずいぶん驚きました」
「そうか、イーリリスさんは源泉の島まで僕を運んでくれたんだよね。慣れない事をさせてごめん」
「いえいえ、大霊湖の上を歩けたという貴重な体験ができたので気にしないでください」
僕の改めての謝罪をイーリリスさんは笑って受け止めてくれたから、この事はこれ以上言わないようにして、今僕のできる事をやろう。
「このまま苔達が水面を覆ってるのは、大霊湖の生物達にも悪いから苔達に動いてもらうよ」
「ヤート殿、今大規模な魔法を使うのは身体に障ります」
「僕はきっかけになるだけだから、その点は大丈夫」
「……わかりました。ただ、私がまずいと判断したら止めますので、そこはご了承ください」
「わかった。それじゃあ始めるね。緑盛魔法・苔巨人兵」
僕の魔法の発動とともに水面を覆っていた苔達が緑色に発光し動き出す。まず僕達から少し離れたところの苔達が集まりボコッと盛り上がり、そこに周りから他の苔達が集まってきて大きさが増していく。このままこの盛り上がりが苔巨人兵になるんだなって思い様子を見ていると、始めに盛り上がった部分以外にも次々ボコッと盛り上がってきた。
「あれ?」
今回の場合、僕は一体の苔巨人兵になってもらうつもりだったんだけど、最終的に十体になったのは予想外だ。イーリリスさんも目の前に並んでる苔巨人兵達を見て絶句していた。なんか大霊湖の膨大な魔力に触れた植物達が見せる動きは、僕の予想を超えるから驚きだよ。
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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