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第2章 異世界の男は鎮圧する
第23話
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俺達は鈴 麗華の先導の元、ある場所へ向かっていた。
そして、その最中に吾郷学園の学園長である黒鳥夜 綺寂の説明を受ける。
「学園長は、確認されている中で最古の異能力者の一人と言われているわ」
「ええと女性の年齢を聞くのは失礼だと思うのですが、おいくつなんですか?」
「そうねえ、この世界に異能力者が現れた時からいると聞いているわね」
「え? それは……」
「学園長はご自身の能力の影響で寿命を超越されているのよ」
「すごいですね」
鈴 麗華の言っている事が本当なら、空間へ自在に干渉し長い時間存在している神にも等しい存在だな。
「おい、鈴 麗華。俺達はどこに向かっているんだ?」
「学園中央棟の地下よ。そこに学園長室があるわ」
「待て。学園長室は中央棟の最上階のはずだぞ」
「そっちはフェイク……とも言えないわね。とにかく本当の学園長室は地下にあるのよ」
「精霊級でもトップクラスのシスティーゾが知らないという事は、本当に限られた人しか開示されてない情報なんですね」
「基本的に学園長と直接会えるのは聖に所属しているものだけなの」
その鈴 麗華の言葉を聞いて、俺は生徒会長の龍造寺を見た。
「俺達生徒会は学園長と会話しかした事がないよ」
「会長達も緊張してるんですか?」
「ははは……まあね」
「学園長は僕とどんな話がしたいのだと思います?」
「正直なところ全く想像できないよ」
「そうですか……」
それを最後に俺達の会話は途切れて無言で廊下を進んでいった。
◆◆◆◆◆
俺達が無言のまま歩いていると、鈴 麗華が突き当たりの影になっている場所へ向かっているのに気づく。
「鈴先輩、あそこの突き当たりが学園長のいる地下への入り口なんですか?」
「そうと言えばそうだし、違うと言えば違うわね」
「あ? どういう意味だ?」
「学園長のいると場所は隔離されていて、どことも繋がってないのよ」
「つまり、学園長のところへ行くには学園長に招いてもらわないとダメという事ですか……」
「そういう事。この学園の影、暗闇、夜は全て学園長の支配下にあるわ」
『学園の闇を支配するもの、カッコいいと思いませんか?』
「ヒャ……」
突き当たりの影から聞こえてきた学園長の声に全員が身体をビクつかせ驚く。
…………というか、小さく聞こえた悲鳴は誰のだ?
「学園長……、慣れていないものばかりなんですから、からかわれては困ります」
『相変わらず麗華はかたいわね。そう思わない? 鶴見君』
「そこで僕に話を振られる意味がわからないですが、とりあえずノーコメントでお願いします」
『あらあら』
その後も楽しそうな学園長に話しかけられながら、俺達は突き当たりの影をくぐり抜けた。
◆◆◆◆◆
まとわりつくような影独特の感触に少し眉をひそめつつ辿り着いた場所は、体育館くらいの広さと高さのある空間。
天井からのライトに照らされた壁や床を観察すると、金属なのか樹脂なのかよくわからない妙な建材でできていた。
そして、この空間でもっとも目を引くのは、俺達の顔くらいの高さに浮いている全く光を反射しない黒い球体と、それを守るような位置取りで立っている奴ら。
「鈴先輩、あの人達は?」
「聖の構成員よ」
なるほどな。
どいつもこいつも実力者なわけだ。
とても玄坐達とは比べ物にならないな。
「学園長、鶴見君を連れてきました」
『麗華、ありがとう。下がっててちょうだい』
「わかりました」
俺達の先頭にいた鈴 麗華が俺の後ろに下がると黒い球体は俺の前まで近づいてくる。
…………大きさは膝を抱えた状態の人の二回りくらい大きいくらいか。
あと球体といっしょに近づいてくる聖の奴らが、俺を見る目がどんどん鋭くなるのは何でだ?
『あなた達、今日この場に鶴見君がいるのは私が呼んだためです。無闇に警戒するのはやめなさい』
球体から学園長の声が聞こえると、聖の連中は俺と学園長から渋々少し距離をとった。
「やっぱり学園長なんですね」
『驚いたかしら?』
「はい。……どういう状態なのか聞いても?」
『構わないわ。今の私は能力を使い過ぎて能力に囚われてしまった状態なの』
「能力に囚われる……」
『あの時は必要だったから後悔はしてないけれど、常にこの状態だから不便と言えば不便ね』
「素人の質問ですみませんが、会長の能力で解除はできないんですか?」
『うーん、この先の健の成長次第では可能性があるわね』
「つまり今は無理と」
『そうよ……』
学園長の言葉に諦めとか寂しさを感じる。
この人はどれだけの時間、この状態だったのだろう。
秋臣も俺と同じように考えていて、どうにかしてあげたいと思っている。
…………やってみるか。
「あの学園長は僕に何か用があるんですよね?」
『いろいろと聞きたい事があるわ』
「それなら、その前に一つ試させてください」
『試す? 何を?』
「学園長を包んでいる球体を僕に斬れるかどうかをです」
俺が言うと、システィーゾ以外の生徒会や聖の連中に流々原先生は殺気立つが、今は外野の事はどうでも良い。
『あなたに斬れるのかしら?』
「今のところシスティーゾの炎と鈴先輩の氷は斬っているので、少しは可能性があると思います」
『そうだったわね……』
「学園長‼︎ 御身にもしもの事があれば大問題となります‼︎ お辞めください‼︎」
鈴 麗華が叫ぶと他の連中も学園長を思いとどまらせるために、次々と説得を始める。
この状態になっていても自分の事を真剣に考えてくれる奴らがいるのは羨ましい。
前の世界だと同じ傭兵団にいた奴らからも、俺はこんな風に心配された事はほぼなかったな。
『…………良いでしょう。鶴見君、試してみてください』
「学園長‼︎」
『私は、この状態になってずいぶん経ちます。そろそろ変化がほしいのですよ』
学園長の言葉に何も反論できなくなっている奴らを尻目に、俺は学園長との位置関係が俺の一番得意な間合いになるよう調整してから木刀を握り構えた。
秋臣にこれから俺がやる事を全部感じるように伝えた後、呼吸を整え意識を学園長だけに向けて集中していく。
…………ああ、確かに球体の真ん中に人の気配があるな。
今の学園長は分厚い殻に覆われた状態で、これから俺はその殻のみを必ず斬る。
「学園長」
『いつでも構いません』
「わかりました。いきます」
学園長の返事を聞いた俺は一度深呼吸をして色と音のない世界に入った。
そして俺と秋臣以外がほぼ止まっている状況の中、さらに集中力を上げ絶対に斬るという意思を木刀に込める。
全ての準備を整え迷いや不安を消した俺は、いつものように前へ倒れつつ加速しながら跳んで、学園長のすぐ前に着地と同時に上から下へ木刀を振り切った。
◆◆◆◆◆
「ゴハァ、ハー、ハー」
色と音が戻った世界で俺は吹き出す汗とともに荒く呼吸をする。
…………痛、頭痛がひどいな。
確実に集中し過ぎた反動だが、それだけの意味はあった。
俺の目の前で黒い球体は俺に斬られた部分からサラサラと崩れていく。
そして、そう時間をかけず球体は消えさり、あとに残ったのは身長より長い波打つ黒髪の目を見開いて驚いている女の子。
「実際に対面するのは初めてなので改めてのあいさつです。初めまして学園長、僕は鶴見 秋臣と言います」
「え……、あ、ありがとうございます。本当にありがとうございます」
泣いてるが笑っているこの表情を見れたなら、それで良いと満足しながら俺は意識を手放した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった!」、「続きが気になる、読みたい!」、「今後どうなるのっ……!」と思ったら、お気に入りの登録を、ぜひお願いします
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「学園長は、確認されている中で最古の異能力者の一人と言われているわ」
「ええと女性の年齢を聞くのは失礼だと思うのですが、おいくつなんですか?」
「そうねえ、この世界に異能力者が現れた時からいると聞いているわね」
「え? それは……」
「学園長はご自身の能力の影響で寿命を超越されているのよ」
「すごいですね」
鈴 麗華の言っている事が本当なら、空間へ自在に干渉し長い時間存在している神にも等しい存在だな。
「おい、鈴 麗華。俺達はどこに向かっているんだ?」
「学園中央棟の地下よ。そこに学園長室があるわ」
「待て。学園長室は中央棟の最上階のはずだぞ」
「そっちはフェイク……とも言えないわね。とにかく本当の学園長室は地下にあるのよ」
「精霊級でもトップクラスのシスティーゾが知らないという事は、本当に限られた人しか開示されてない情報なんですね」
「基本的に学園長と直接会えるのは聖に所属しているものだけなの」
その鈴 麗華の言葉を聞いて、俺は生徒会長の龍造寺を見た。
「俺達生徒会は学園長と会話しかした事がないよ」
「会長達も緊張してるんですか?」
「ははは……まあね」
「学園長は僕とどんな話がしたいのだと思います?」
「正直なところ全く想像できないよ」
「そうですか……」
それを最後に俺達の会話は途切れて無言で廊下を進んでいった。
◆◆◆◆◆
俺達が無言のまま歩いていると、鈴 麗華が突き当たりの影になっている場所へ向かっているのに気づく。
「鈴先輩、あそこの突き当たりが学園長のいる地下への入り口なんですか?」
「そうと言えばそうだし、違うと言えば違うわね」
「あ? どういう意味だ?」
「学園長のいると場所は隔離されていて、どことも繋がってないのよ」
「つまり、学園長のところへ行くには学園長に招いてもらわないとダメという事ですか……」
「そういう事。この学園の影、暗闇、夜は全て学園長の支配下にあるわ」
『学園の闇を支配するもの、カッコいいと思いませんか?』
「ヒャ……」
突き当たりの影から聞こえてきた学園長の声に全員が身体をビクつかせ驚く。
…………というか、小さく聞こえた悲鳴は誰のだ?
「学園長……、慣れていないものばかりなんですから、からかわれては困ります」
『相変わらず麗華はかたいわね。そう思わない? 鶴見君』
「そこで僕に話を振られる意味がわからないですが、とりあえずノーコメントでお願いします」
『あらあら』
その後も楽しそうな学園長に話しかけられながら、俺達は突き当たりの影をくぐり抜けた。
◆◆◆◆◆
まとわりつくような影独特の感触に少し眉をひそめつつ辿り着いた場所は、体育館くらいの広さと高さのある空間。
天井からのライトに照らされた壁や床を観察すると、金属なのか樹脂なのかよくわからない妙な建材でできていた。
そして、この空間でもっとも目を引くのは、俺達の顔くらいの高さに浮いている全く光を反射しない黒い球体と、それを守るような位置取りで立っている奴ら。
「鈴先輩、あの人達は?」
「聖の構成員よ」
なるほどな。
どいつもこいつも実力者なわけだ。
とても玄坐達とは比べ物にならないな。
「学園長、鶴見君を連れてきました」
『麗華、ありがとう。下がっててちょうだい』
「わかりました」
俺達の先頭にいた鈴 麗華が俺の後ろに下がると黒い球体は俺の前まで近づいてくる。
…………大きさは膝を抱えた状態の人の二回りくらい大きいくらいか。
あと球体といっしょに近づいてくる聖の奴らが、俺を見る目がどんどん鋭くなるのは何でだ?
『あなた達、今日この場に鶴見君がいるのは私が呼んだためです。無闇に警戒するのはやめなさい』
球体から学園長の声が聞こえると、聖の連中は俺と学園長から渋々少し距離をとった。
「やっぱり学園長なんですね」
『驚いたかしら?』
「はい。……どういう状態なのか聞いても?」
『構わないわ。今の私は能力を使い過ぎて能力に囚われてしまった状態なの』
「能力に囚われる……」
『あの時は必要だったから後悔はしてないけれど、常にこの状態だから不便と言えば不便ね』
「素人の質問ですみませんが、会長の能力で解除はできないんですか?」
『うーん、この先の健の成長次第では可能性があるわね』
「つまり今は無理と」
『そうよ……』
学園長の言葉に諦めとか寂しさを感じる。
この人はどれだけの時間、この状態だったのだろう。
秋臣も俺と同じように考えていて、どうにかしてあげたいと思っている。
…………やってみるか。
「あの学園長は僕に何か用があるんですよね?」
『いろいろと聞きたい事があるわ』
「それなら、その前に一つ試させてください」
『試す? 何を?』
「学園長を包んでいる球体を僕に斬れるかどうかをです」
俺が言うと、システィーゾ以外の生徒会や聖の連中に流々原先生は殺気立つが、今は外野の事はどうでも良い。
『あなたに斬れるのかしら?』
「今のところシスティーゾの炎と鈴先輩の氷は斬っているので、少しは可能性があると思います」
『そうだったわね……』
「学園長‼︎ 御身にもしもの事があれば大問題となります‼︎ お辞めください‼︎」
鈴 麗華が叫ぶと他の連中も学園長を思いとどまらせるために、次々と説得を始める。
この状態になっていても自分の事を真剣に考えてくれる奴らがいるのは羨ましい。
前の世界だと同じ傭兵団にいた奴らからも、俺はこんな風に心配された事はほぼなかったな。
『…………良いでしょう。鶴見君、試してみてください』
「学園長‼︎」
『私は、この状態になってずいぶん経ちます。そろそろ変化がほしいのですよ』
学園長の言葉に何も反論できなくなっている奴らを尻目に、俺は学園長との位置関係が俺の一番得意な間合いになるよう調整してから木刀を握り構えた。
秋臣にこれから俺がやる事を全部感じるように伝えた後、呼吸を整え意識を学園長だけに向けて集中していく。
…………ああ、確かに球体の真ん中に人の気配があるな。
今の学園長は分厚い殻に覆われた状態で、これから俺はその殻のみを必ず斬る。
「学園長」
『いつでも構いません』
「わかりました。いきます」
学園長の返事を聞いた俺は一度深呼吸をして色と音のない世界に入った。
そして俺と秋臣以外がほぼ止まっている状況の中、さらに集中力を上げ絶対に斬るという意思を木刀に込める。
全ての準備を整え迷いや不安を消した俺は、いつものように前へ倒れつつ加速しながら跳んで、学園長のすぐ前に着地と同時に上から下へ木刀を振り切った。
◆◆◆◆◆
「ゴハァ、ハー、ハー」
色と音が戻った世界で俺は吹き出す汗とともに荒く呼吸をする。
…………痛、頭痛がひどいな。
確実に集中し過ぎた反動だが、それだけの意味はあった。
俺の目の前で黒い球体は俺に斬られた部分からサラサラと崩れていく。
そして、そう時間をかけず球体は消えさり、あとに残ったのは身長より長い波打つ黒髪の目を見開いて驚いている女の子。
「実際に対面するのは初めてなので改めてのあいさつです。初めまして学園長、僕は鶴見 秋臣と言います」
「え……、あ、ありがとうございます。本当にありがとうございます」
泣いてるが笑っているこの表情を見れたなら、それで良いと満足しながら俺は意識を手放した。
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