12 / 129
第1章 異世界の男は転生する
第12話
しおりを挟む
システィーゾとの決闘から1週間が経過して、流々原先生の再診でも問題のなかった俺は日常生活に戻っていた。
まだまだこっちの生活に驚く事も多いが、俺が秋臣ではないとボロを出さない程度には慣れてきたらしいと授業を受けながら思う。
前の世界で何かしらの教育機関に所属できるのは、いわゆる王族に貴族なんかの上流階級や裕福な商人のみ。
俺はどうだったかと言えば、戦場の前線に出される奴隷同然の傭兵だった俺は、当然まともな教育を受けた覚えはない。
そんな俺が何の支障もなく読み書きができて、授業についていけてるから秋臣には感謝しかないな。
「ようし、これまでの「異能学」をまとめるぞ。間違いなくテストに出るから、少なくとも書き写し漏れがあったなんて事はないようにしろ」
この教官の言った「異能学」とは異能力について研究し、なぜ異能力持ちが現れたか、異能力がどのような原理で現象を起こして世界に干渉するのかなどを研究する学問なのだが、秋臣の在籍している中等部ではそこまで専門的な事はやらない。
せいぜい一般的な異能力の分類や対処法に、この世界に異能力持ちが現れてからこれまでの歴史を学ぶ程度だ。
しかし、この世界の外からやってきた俺にとっては、もっとも重要な授業の1つだと言えるだろう。
「まず異能力の分類についてだが、基本的には器物級・魔導級・精霊級の3段階に分かれている。各級の説明をすると、器物級は物質を生み出し、魔導級は何かしらの特殊な性質を持つ物質を生み出し、精霊級は火・水・風などの自然物を生み出したり一般に奇跡と呼べるような事を起こしたりもできる。鶴見、全人口中の異能力持ちの割合と、全異能力者における各級の割合を言ってみろ」
「はい」
俺が教官に呼ばれて立つと周りは一瞬ピリッと緊張する。
どうやらシスティーゾとの決闘の最中に突然動きが変わり格上の精霊級を倒した事から、キレると危ない奴みたいな感じに思われているらしい。
まあ、ケンカを売られない限り俺から何かする気は今のところないが、すまん、秋臣。
俺は秋臣の記憶を思い出しながら先生に答えていく。
「現在の世界人口は約70億人で、その内の30%に当たる約20億人が異能力持ちと言われています。次に各級の割合ですが、器物級80%、魔導級15%、精霊級5%です」
「正解だ。それじゃあ異能力の系統は答えられるか?」
「戦闘系・補助系・製作系・治癒系・特殊系に分かれています」
「そうだな。さらに詳しく付け加えるなら、鶴見の言った系統は後半になるほど割合が低くなり、治癒系にいたっては3%以下で特殊系は1%を下回る。一応お前達に言っておくが、その少なさから製作系・治癒系・特殊系は優遇されているのは確かだ。しかし、決して戦闘系・補助系が劣るというわけではない事を肝に銘じておけ。級や系統で一喜一憂するな。ひたすらに己を鍛えて高めろ。良いな」
この教官は中々に良い事を言うなと感心して授業を受けていたらチャイムが鳴った。
「よし、座学はここまでだ。次は実技の授業だから全員着替えて外に出ろ。鶴見は流々原先生から聞いている通り、激しく動くなよ」
「わかりました」
さて待ちに待った時間がやってきた。
秋臣と同年代の実力を確認する意味でも楽しみだな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
と思ったら
お気に入りの登録を、ぜひお願いします
また感想や誤字脱字報告もお待ちしています。
まだまだこっちの生活に驚く事も多いが、俺が秋臣ではないとボロを出さない程度には慣れてきたらしいと授業を受けながら思う。
前の世界で何かしらの教育機関に所属できるのは、いわゆる王族に貴族なんかの上流階級や裕福な商人のみ。
俺はどうだったかと言えば、戦場の前線に出される奴隷同然の傭兵だった俺は、当然まともな教育を受けた覚えはない。
そんな俺が何の支障もなく読み書きができて、授業についていけてるから秋臣には感謝しかないな。
「ようし、これまでの「異能学」をまとめるぞ。間違いなくテストに出るから、少なくとも書き写し漏れがあったなんて事はないようにしろ」
この教官の言った「異能学」とは異能力について研究し、なぜ異能力持ちが現れたか、異能力がどのような原理で現象を起こして世界に干渉するのかなどを研究する学問なのだが、秋臣の在籍している中等部ではそこまで専門的な事はやらない。
せいぜい一般的な異能力の分類や対処法に、この世界に異能力持ちが現れてからこれまでの歴史を学ぶ程度だ。
しかし、この世界の外からやってきた俺にとっては、もっとも重要な授業の1つだと言えるだろう。
「まず異能力の分類についてだが、基本的には器物級・魔導級・精霊級の3段階に分かれている。各級の説明をすると、器物級は物質を生み出し、魔導級は何かしらの特殊な性質を持つ物質を生み出し、精霊級は火・水・風などの自然物を生み出したり一般に奇跡と呼べるような事を起こしたりもできる。鶴見、全人口中の異能力持ちの割合と、全異能力者における各級の割合を言ってみろ」
「はい」
俺が教官に呼ばれて立つと周りは一瞬ピリッと緊張する。
どうやらシスティーゾとの決闘の最中に突然動きが変わり格上の精霊級を倒した事から、キレると危ない奴みたいな感じに思われているらしい。
まあ、ケンカを売られない限り俺から何かする気は今のところないが、すまん、秋臣。
俺は秋臣の記憶を思い出しながら先生に答えていく。
「現在の世界人口は約70億人で、その内の30%に当たる約20億人が異能力持ちと言われています。次に各級の割合ですが、器物級80%、魔導級15%、精霊級5%です」
「正解だ。それじゃあ異能力の系統は答えられるか?」
「戦闘系・補助系・製作系・治癒系・特殊系に分かれています」
「そうだな。さらに詳しく付け加えるなら、鶴見の言った系統は後半になるほど割合が低くなり、治癒系にいたっては3%以下で特殊系は1%を下回る。一応お前達に言っておくが、その少なさから製作系・治癒系・特殊系は優遇されているのは確かだ。しかし、決して戦闘系・補助系が劣るというわけではない事を肝に銘じておけ。級や系統で一喜一憂するな。ひたすらに己を鍛えて高めろ。良いな」
この教官は中々に良い事を言うなと感心して授業を受けていたらチャイムが鳴った。
「よし、座学はここまでだ。次は実技の授業だから全員着替えて外に出ろ。鶴見は流々原先生から聞いている通り、激しく動くなよ」
「わかりました」
さて待ちに待った時間がやってきた。
秋臣と同年代の実力を確認する意味でも楽しみだな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
と思ったら
お気に入りの登録を、ぜひお願いします
また感想や誤字脱字報告もお待ちしています。
0
お気に入りに追加
103
あなたにおすすめの小説
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)
IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。
世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。
不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。
そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。
諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる……
人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。
夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ?
絶望に、立ち向かえ。
目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
底辺男のミセカタ 〜ゴミスキルのせいで蔑まれていた俺はスキル『反射』を手に入れて憎い奴らに魅せつける〜
筋肉重太郎
ファンタジー
俺は……最底辺だ。
2040年、世界に突如として、スキル、と呼ばれる能力が発現する。
どんどん良くなっていく生活。
いくつもの世界問題の改善。
世界は更により良くなっていく………はずだった。
主人公 田中伸太はスキルを"一応"持っている一般人……いや、底辺男であった。
運動も勉学も平均以下、スキルすら弱過ぎるものであった。平均以上にできると言ったらゲームぐらいのものである。
だが、周りは違った。
周りから尊敬の眼差しを受け続ける幼馴染、その周りにいる"勝ち組"と言える奴ら。
なんで俺だけ強くなれない…………
なんで俺だけ頭が良くなれない…………
周りからは、無能力者なんて言う不名誉なあだ名もつけられ、昔から目立ちたがりだった伸太はどんどん卑屈になっていく。
友達も増えて、さらに強くなっていく幼馴染に強い劣等感も覚え、いじめまで出始めたその時、伸太の心に1つの感情が芽生える。
それは……
復讐心。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる