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第1章 異世界の男は転生する
第3話
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なんだ?
死ぬ直前に目にしたのと同じ青空が見える。
……ああ、きっと夢だな。
ズキン。
「…………痛みがあるって事は現実なのか」
ふと気がつけば俺は仰向けに倒れていた。
本当に死ぬ前と同じだなと苦笑して、ゆっくり立ち上がり身体の状態を確かめると上半身の服が袖を残して燃えカスになっており胸や腹には火傷が広がっていた。
この火傷が痛みの原因か。
手足は上半身に比べたら軽い打撲程度で特に問題は無い。
次に周りを見ると俺は闘技場のような場所に立っている事に気づく。
そうか、学園の闘技場での決闘の途中だったな。
……待て、なんで俺は初めて見るこの場所が学園の闘技場だってわかったんだ?
…………ああ、これはこの身体の本来の持ち主である俺が包み込んだ鶴見秋臣の記憶か。
どうやら俺は秋臣の身体に宿る形で生き返ったようだ。
俺の魂の奥底に秋臣が眠っているのも、ちゃんと認識できる。
泣きながら眠っているという決して正常なものではないが確かに俺の中にいる。
今はゆっくり眠れ。
俺が秋臣に意識を向けていると、イラついた声が聞こえてきた。
「まだ意識があるのか。ぜい弱な器物級ごときが、これ以上俺に時間をかけさせるな」
この金髪蒼眼のフランス人はアラン=システィーゾは秋臣の決闘相手で、秋臣が死にかけた原因。
それにしても器物級ね……。
秋臣の記憶によると、この世界の人間の約3割くらいが異能力を持っていて、その能力は器物級・魔導級・精霊級の3段階に分けられている。
厳密に言えば特殊な分類不可の能力もあるらしいが、ほとんどは3段階のどこかに分類されており、秋臣の能力は1番下の器物級で、システィーゾは1番上の精霊級で炎を生み出し操る能力者だ。
「さっさと沈め」
システィーゾは左右の掌にバレーボール大の火球を1つずつ生み出すとボールを投げるように放ってくる。
はあ……、まったく1度死んで他人の身体に宿って生き返り、俺の生きていた世界では大昔の伝説やおとぎ話の中にしかないものを目にするのだから、人生というのは何が起こるかわからないものだな。
俺は真っ直ぐ向かってきた2発の火球を横に跳んで避ける。
「ほう、それならこれはどうだ?」
システィーゾがパチンと指を鳴らせばシスティーゾの周りに今度は野球ボール大の火球がボボボボボボッと音を立てながら生み出される。
数は……ざっと数えて20以上か?
これだけの数を安定して制御できてるのはさすが精霊級といったところだなと、俺が感心していたらシスティーゾがニヤリと笑い右掌を俺に向けて突き出した。
火球が一斉に俺に向かってくる。
さっきのバレーボール大の火球より速いが……。
「まあ、問題はない」
「なんだと?」
俺は右手を伸ばし秋臣の能力を発動させた。
すぐに右掌に小さな光の玉が現れ、それをつかむと手の中で硬く重い黒い木刀に変わる。
これが秋臣の触った事がある武器を再現する能力だ。
武器を持ち運ばなくても良いし武器を盗まれもしないという、前世でなら絶対にほしかったと思える素晴らしい能力だな。
なぜ秋臣の能力を俺が使えるのかは疑問だが、おそらく秋臣の記憶をある程度共有しているためだと考えておく。
それよりも目の前まで来た火球に対処するため、身体を駒のように回転させ木刀を振り1番近くの火球を弾き飛ばす。
……急激な動きで火傷のある身体が痛むが、前世でのもっとひどい状態だった時に比べたら全然マシだな。
俺は勢いを失くさないように回転を続けて木刀で全ての火球を打ち払った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
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死ぬ直前に目にしたのと同じ青空が見える。
……ああ、きっと夢だな。
ズキン。
「…………痛みがあるって事は現実なのか」
ふと気がつけば俺は仰向けに倒れていた。
本当に死ぬ前と同じだなと苦笑して、ゆっくり立ち上がり身体の状態を確かめると上半身の服が袖を残して燃えカスになっており胸や腹には火傷が広がっていた。
この火傷が痛みの原因か。
手足は上半身に比べたら軽い打撲程度で特に問題は無い。
次に周りを見ると俺は闘技場のような場所に立っている事に気づく。
そうか、学園の闘技場での決闘の途中だったな。
……待て、なんで俺は初めて見るこの場所が学園の闘技場だってわかったんだ?
…………ああ、これはこの身体の本来の持ち主である俺が包み込んだ鶴見秋臣の記憶か。
どうやら俺は秋臣の身体に宿る形で生き返ったようだ。
俺の魂の奥底に秋臣が眠っているのも、ちゃんと認識できる。
泣きながら眠っているという決して正常なものではないが確かに俺の中にいる。
今はゆっくり眠れ。
俺が秋臣に意識を向けていると、イラついた声が聞こえてきた。
「まだ意識があるのか。ぜい弱な器物級ごときが、これ以上俺に時間をかけさせるな」
この金髪蒼眼のフランス人はアラン=システィーゾは秋臣の決闘相手で、秋臣が死にかけた原因。
それにしても器物級ね……。
秋臣の記憶によると、この世界の人間の約3割くらいが異能力を持っていて、その能力は器物級・魔導級・精霊級の3段階に分けられている。
厳密に言えば特殊な分類不可の能力もあるらしいが、ほとんどは3段階のどこかに分類されており、秋臣の能力は1番下の器物級で、システィーゾは1番上の精霊級で炎を生み出し操る能力者だ。
「さっさと沈め」
システィーゾは左右の掌にバレーボール大の火球を1つずつ生み出すとボールを投げるように放ってくる。
はあ……、まったく1度死んで他人の身体に宿って生き返り、俺の生きていた世界では大昔の伝説やおとぎ話の中にしかないものを目にするのだから、人生というのは何が起こるかわからないものだな。
俺は真っ直ぐ向かってきた2発の火球を横に跳んで避ける。
「ほう、それならこれはどうだ?」
システィーゾがパチンと指を鳴らせばシスティーゾの周りに今度は野球ボール大の火球がボボボボボボッと音を立てながら生み出される。
数は……ざっと数えて20以上か?
これだけの数を安定して制御できてるのはさすが精霊級といったところだなと、俺が感心していたらシスティーゾがニヤリと笑い右掌を俺に向けて突き出した。
火球が一斉に俺に向かってくる。
さっきのバレーボール大の火球より速いが……。
「まあ、問題はない」
「なんだと?」
俺は右手を伸ばし秋臣の能力を発動させた。
すぐに右掌に小さな光の玉が現れ、それをつかむと手の中で硬く重い黒い木刀に変わる。
これが秋臣の触った事がある武器を再現する能力だ。
武器を持ち運ばなくても良いし武器を盗まれもしないという、前世でなら絶対にほしかったと思える素晴らしい能力だな。
なぜ秋臣の能力を俺が使えるのかは疑問だが、おそらく秋臣の記憶をある程度共有しているためだと考えておく。
それよりも目の前まで来た火球に対処するため、身体を駒のように回転させ木刀を振り1番近くの火球を弾き飛ばす。
……急激な動きで火傷のある身体が痛むが、前世でのもっとひどい状態だった時に比べたら全然マシだな。
俺は勢いを失くさないように回転を続けて木刀で全ての火球を打ち払った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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