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第五章
戦いの準備
しおりを挟む体調が良くなったとは言え、やはり気になるので、一旦空間移動でインタラス国まで戻った。
そこで魔素を集めて、もう一度エリアスに回復魔法をかけようとするが、マルティノア程ではなかったけど、ここの魔素も少なかった。
どれだけ広範囲の魔素を奪っていたんだろう……
それから、少なくなった食材の購入と、ヘクセレイに行って魔道具も購入した。
私が支払っていると、エリアスが何やら申し訳ない顔をしている。
そんなこと、気にしなくて良いのに……
「魔素が回復するまで待ってから首都へ行くか?」
「でもそうすると、首都に着くまで日がかかる……なるべく早くにこの状況を打破したい。」
「そうだな。どれだけ魔素が戻るか分かんねぇけど、とりあえず首都まで行ってから魔素が戻るまで待ちゃぁいいか。場所さえ分かれば、いつでも行けるしな。」
「進むのに警戒しなければいけないけど、それで良いか?」
「俺の意見を聞いてくれんのか?」
「いつも聞いてるだろ?」
「肝心な事は聞いてくれねぇけどな。」
「そう、かな……?」
「ハハハ、気にしてくれんのか?まぁいいよ、それで行こう。」
空間移動をして、野宿していた場所辺りまで戻る。
捕らえた男達に、光魔法で浄化させて縄を解く。
まだ魔力がちゃんと戻ってないから、どこまで効いてるかは分からなかったが、様子を見ると改心したようだったので、男達を解放したのだ。
その後、辺りを警戒しながら、マルティノア教国の首都であるアルゲノアまで進んで行く。
アルゲノアまでは、ここからだと、徒歩で大体15日程かかる。
それまで魔素が戻ってくれれば良いんだけど……
魔物もなかなか見つからないが、弱い魔物はさっぱり見かけない。
時たま見つけるのは、かなり凶悪な魔物で、それもAランクに匹敵する位の強さを持っていた。
魔物を見つけたエリアスは嬉しそうに、率先して倒していく。
なるべく魔力を温存したいからと、魔眼を使ってから剣で倒していくが、上級の魔物はやはり魔眼の効果が効きにくい。
それでも、これは剣の鍛練になる、と言って、私の援護を必要とせずに、エリアスは一人で魔物を倒して行った。
「やっぱりエリアスは凄いな!魔法を使わずにこの魔物を倒せるなんて!」
「魔法に頼りっきりじゃいけねぇな。今回の事で身に染みたぜ。あんな矢を払いきれなかったなんてよ。」
「それでも、剣の腕は大したものだ!私にも教えて欲しい位だ。」
「俺で良ければいつでも教えるぜ?」
そんな感じで、2人で順調に進んで行く。
アフラテス教からの刺客らしい者達からも、何度も襲いかかられた。
人相手だと、エリアスの魔眼で怯ませてから程なく倒せて行ける。
ただ、遠距離から弓で攻撃されると、魔眼が効かないので、その時は私が魔法で対応した。
いきなり火魔法で炙られそうになったり、土魔法の矢が襲ってきたり、石化魔法や麻痺、毒魔法を放ってくる者もいたが、魔法であればエリアスが無効化できるし、私は耐性があるので状態異常にならずに、程なく倒せていけた。
魔力もかなり戻って来ていたので、普通に使う分には問題なく使える様になった。
「本当にしつけぇな、コイツら。でも、アシュレイと一緒だと楽に倒せるから疲れねぇ。」
「私もエリアスと一緒だと、やることが少なくて楽だ。」
「魔力も大分戻って来たんじゃねぇか?」
「あぁ、魔力もだけど、魔素もかなり戻って来ている様だ。良かった!」
「あともう少しでアルゲノアだ。それまでに万全で挑めそうだな。」
「エリアスも大丈夫か?今度はエリアスの魔力を奪わない様にしないと……」
「もしもの時の為に、出来るだけ魔力は残しときてぇな。」
「これだけ襲って来ているのなら、向こうも私達の対策をしているだろうしね。」
「そうだな。気合い入れ直して行かなきゃな。」
明日にはアルゲノアまで着くだろう、と言うところで野宿をする。
魔素もほぼ元通り迄になっているし、私とエリアスの魔力も問題なく回復している。
ここまで来る道のりでの野宿では、普段は張らない結界を張る様にしていた。
結界の張り方をエリアスが教えて欲しいと言うので伝えると、それもすぐに習得した。
エリアスの魔法のセンスは、やはり抜群だった。
それから、2人で使える魔法を教えあって習得していったり、どんな状況でも対応出来るように作戦を練った。
明日はいよいよ首都アルゲニアに行く。
無事にこの国の犠牲になっている人達を救う事ができるのか……
エリアスと私は再度、しっかり気持ちを引き締めたのだった。
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