慟哭の時

レクフル

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第五章

我慢しかない

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「あれ……俺…なんで……?寝ちまってたのか……?」


まだ外は暗そうだった。
体を起こそうとしたが、俺の上になんか乗ってる……


「アシュレイ……?」


俺の肩に頭を乗せて、倒れ込んだ様にアシュレイが眠っていた。

まだ少し脇腹が痛む……

何があったのかと、昨夜の事を思い出すと……

そうか。

俺達は襲われたんだ。

それから俺は矢を払いきれなくて……

そっか……アシュレイが助けてくれたのか。

魔力も魔素も無いのに、すげぇ頑張ってくれたんだろうな。


「無理すんなって言ってんのに……」


疲れて眠っているアシュレイを抱き寄せる。


「やべ……柔らけぇっ……」


そうか……あん時は風呂上がりで……いつも胸当てとかしてるから……

これはヤバい……!

我慢できる自信がねぇ……!

それでなくても、昨夜はアシュレイの体を見ちまったんだから……

いや、ちゃんとは見てねぇ!

タオルに隠されてたから、全部は見れなかったけど……

体の線が凄く綺麗だった……

でも……

その時に見てしまった。

アシュレイの左肩にある傷痕。

それは俺が放った氷の矢の跡……

俺はアシュレイを傷モンにしてしまった……

あんな綺麗な体に……俺は何て事を……っ!


「ん……」

「あ……起きたか……?」

「うん……?」


寝惚けた目で俺を見る。

色っぽ過ぎんだろっ!!


「……エリアス……?」


アシュレイが俺の頬に手を置く……

やべぇっ!ドキドキして動けねぇっ!

俺を見るとニッコリ微笑んで


「良かった……エリアス……無事だった……」

「………っ!」


それからアシュレイはまた気を失う様に眠った。

俺の為に頑張ってくれたんだな……

だから、こんなに疲れちまってるんだろうな……

分かってる……

けど!


「何の拷問だよ……これ……っ!」


迂闊に手を出すことも出来ずに、俺の腕の中で眠るアシュレイを、ただ優しく頭や顔を撫でながらそっと抱き締めた……

アシュレイを愛しく想う気持ちが胸を締め付ける……

今俺の腕の中にいるのに……

なんで俺のもんじゃねぇんだよ……!

どうにもならない想いが俺を襲うが、アシュレイが俺にしてくれた事を考えると、これ以上何も出来なかった……


そんな想いを抱えつつ……


そのまま、アシュレイを抱き締めたまま……


俺もまた、静かに眠りに落ちて行った……






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