慟哭の時

レクフル

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第四章

戦闘

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前室には、拐われたであろう人達が、手枷を後ろ手に付けられて檻の様な所に入れられていた。

子供が6人、女が10人、悲痛な面持ちで身を寄せ会う様に一塊になっていた。

その近くには、十数人の護衛がいた。

俺達3人で、そいつ達を殲滅していく。

しかし、やはりここにいる奴等は手強い。

一人一人であれば問題なく勝てるだろうが、束になって来られれば、こちらは3人なので分が悪い。

フェルドが結界を駆使しながら、前衛担当の俺とアドルフが率先して倒して行く。

気が付くと横から風の刃が飛んできた!

結界の横からの攻撃に、避けようとするが間に合わない!

首を狙われていたので、腕でガードすると、左腕に刃で傷ができた。

血が飛び散ったが、構っている暇はない!

アドルフも苦戦している様だ。

フェルドも結界を保ちつつの攻撃に苦戦していた。

檻にいる人達も、怯えて隅で震えている。

すると、一際大きな風魔法、トルネードが発生した!

これは俺達だけじゃなく、檻にいる人達にも危害があるかも知れない!

その檻を庇う様に立ちはだかる。

女、子供もいるのに、何とも思わないのか!
コイツらは!

トルネードが迫ってきて、フェルドの結界が壊されていく!

トルネードの威力が収まらず、もう少しで巻き込まれそうになった時、強い光と共に、トルネードは突然消えた。

いきなりどうなったんだと、驚いて周りを見ると、舞台袖の方から男が2人、やって来た。


「貴方達は拐われた人を助けに来たのか?」


藍色の髪の、背の高い男がそう聞いてくる。


「あぁ、そうだ!俺達は『闇夜の明星』を叩きに来た!拐われた人達を助ける為に!」

「分かった。」


男はそう言うと、『闇夜の明星』相手に手を向けた。

すると、詠唱もしていないのに、男達はバタバタと倒れて行った。

一瞬で、そこにいる奴等は、声も挙げずに地面に伏していったのだ。

驚いて、ただ呆然と見ていると


「王都の冒険者達か?」

と、聞いてくる。

「そうだ。この辺りで人拐いが多発して、このオークションに出品されると聞いて助けに来た。アンタ達は何なんだ!?」

「拐われた人に知り合いがいるかも知れなくてな。」

そう言って檻を見る。

奥の方から一人の女が歩み出てきた。


「リディ!」

「姉上!やはり囚われていたのか!」


男は檻の施錠をいとも容易く壊し、中にいる人達を解放した。

解放された人達を誘導するべく、出口まで一緒に連れていく事にするが、男と、その知り合いは残ったままだった。

このままここにいては、またいつ敵が現れるか分からないので、男達に礼を言い、すぐに立ち去ることにした。


しかし、とんでもない力を持った男だな。


アイツが敵じゃなくて良かった。


出口に向かいながら、俺達は口に出さずとも、皆がそう思ったのだった。






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